■マーケット
アップルに対する税制優遇が違法?最大1.5兆円追徴
EU=ヨーロッパ連合の欧州委員会は30日、アイルランドによるアップルに対する法人税の優遇措置が、企業の公正な競争を妨げているとして最大およそ130億ユーロ、日本円で1兆4,800億円の追徴課税を求めました。アイルランドの法人税率は12.5%ですが、欧州委員会によりますとアップルの税率は2014年には0.005%にまで下がっていたということです。
《欧州委員会/ベステアー委員》
「本社とされるところに従業員はおらず、活動の実態がなかった。EU加盟国は特定の企業だけに税制上の優遇を与えることは出来ない。」
アップルは顧客向けのコメントを発表し、「違法ではない」と主張した上で、法的措置をとる方針を明らかにしました。
一方、30日の東京株式市場ではアップルに部品を供給する企業の銘柄に人気が集まりました。発端は29日、アップルが新製品の発表会を来月7日に開くと発表したためです。発表文には「7日に会いましょう」としか書かれていませんが、市場ではスマートフォン「アイフォーン」の新型機が発表されるのではとの見方が広まりました。
米 “公定歩合”で利上げの時期が…
--米国の利上げ時期を占ううえで新たな兆しが出てきました。
《中継:大和総研NY/土屋貴裕氏》
普段はそれほど注目されなかったのですが、今後は利上げを考えるうえで、公定歩合会合の議事要旨が参考になるかもしれません。公定歩合とはFRB=連邦準備制度理事会が民間の銀行に直接融資する時の金利です。変更するためにはFRBの理事会の承認が必要で、そのための会合が公定歩合会合です。
--この公定歩合会合が、なぜ利上げの時期を占ううえで注目されるのでしょうか。
どれだけの地区連銀が公定歩合の引き上げを要請しているかが利上げのヒントになります。先週発表された7月の公定歩合会合では、アメリカ経済が緩やかな改善が続いていると指摘され、12地区のうち8地区が公定歩合の引き上げを要請しました。これがおよそ9年ぶりの利上げに踏み切った去年12月の直前の状況に近付いているのです。去年9月には8地区が、10月には9地区が公定歩合の引き上げを要請していました。去年の例を踏まえれば、利上げの3ヵ月前に相当する数の公定歩合の引き上げ要請があったことになります。労働市場の改善が続けば、さらに引き上げ要請が増える可能性が高いと考えられます。以上ニューヨークからお伝えしました。
■ニュース特集
台風10号 東北縦断
大型で強い台風10号は30日夕、東北地方に上陸しました。交通は大きく混乱し、北海道・東北・秋田新幹線は上下あわせて50本以上運休。観光業にも影響が出ています。日本三景の一つ「松島」では観光客向けの施設が土のうを設置。土産物店の多くは休業に追い込まれました。農業への被害も懸念されています。台風上陸を控えたき30日午前。仙台から約30分の梨園では、農家の引地さんが作業に追われていました。風で梨が落ちないよう補強しているのです。17日の台風7号では30万円の被害が出たと言います。これ以上、手の打ちようがない引地さん、あとは台風が過ぎるのを待つだけだと言います。結局、この農園では大きな被害が出ませんでしたが、この夏の台風7号、9号、11号では農作物などへの被害が判明しているだけでも約23億円出ています。今後大幅に金額が膨らむ可能性が高いといいます。
小池都知事 築地移転延期あす表明
東京都の小池知事が、11月7日に予定されている築地市場の豊洲新市場への移転について延期する方針を固めました。31日に記者会見を開き、移転の延期を正式に表明します。豊洲の敷地を巡っては土壌汚染の問題がかねてから指摘されていて、安全性を改めて確認する必要があると判断しました。新たな移転時期は、来年2月以降とする案が有力です。一方、東京都によりますと移転を延期した場合、豊洲市場は使用していなくても維持管理費などとして、1日あたり、おそよ700万円を都が負担する必要があります。また引っ越し準備をしている関連業者への補償などが必要になる可能性があるほか、築地市場の跡地に建設される予定の都道環状2号線の完成時期にも影響を及ぼす恐れがあります。
“スメルハラスメント”を防げ!
職場などで起きるニオイに関するトラブル「スメルハラスメント」。男性化粧品メーカーのマンダムは正しい知識と対策を教えるセミナーを開いています。受講した企業側は、ニオイに関する意識改革を社員全員が行えば、そういった問題が起きない環境がつくれると期待しています。専門家は、強いミドル脂臭は健康を損なっているということだけでなく、ニオイによって本人は自信がなくなり、周囲にも不快感を与えることから仕事上の影響もあるといいます。ミドル脂臭は2013年にマンダムが発見。抑制効果のある商品を販売し新たな市場を開拓しました。タクシー大手の日本交通では、通称「ファブタク」の運行を始めました。エアコン部分には、ファブリーズがセットされています。乗車前には運転者が2人1組となって、お互いのニオイをチェックしています。ニオイ対策で差別化を図ることで、乗車率の増加につなげたい考えです。
【企業が注目“スメルハラスメント”・ニオイを未然に防げ!】
意外と深刻なスメルハラスメント。対応に乗り出す企業だけでなく、スメルハラスメントをビジネスに繋げようとする動きも出てきた。
職場などで起きる臭いに関するトラブル・スメルハラスメント。これをなくすため男性用化粧品メーカーのマンダムではニオイについて正しい知識を学んでもらおうと、2年前から企業向けのセミナー(ニオイケアセミナー)を開催している。しかし、スメルハラスメントの解決には「指摘しにくい」という大きな壁があった。だからこそ受講した企業側は「集団の意識改革を始めたい」と話している。
【女性が嫌いな“体のニオイ”とは、大江キャスターが体験!】
体から出る嫌なニオイには、汗臭・ミドル脂臭・加齢臭がある。この中で一番きついと言われているのが30~50代のニオイ「ミドル脂臭」。これは男性にはわかりづらく、女性のほうが自分からあまり出ない匂いなので敏感になる匂いだ。主に後頭部から発生するので、枕に匂いが付きやすい。この「ミドル脂臭」は10代から20代の汗臭もまだ残っており、さらに加齢臭も出始めているということで、これがミックスされた匂い、いわゆる雑巾のような匂いになる。
このミドル脂臭はどのような問題を引き起こしているのか。ニオイや汗に関する治療を専門とする五味クリニックの五味常明院長によると、ニオイは健康に直結し、仕事の上でも損失は大きいという。
《五味クリニック/五味常明院長》
「もう一つ大切なのは、ビジネスマンが体臭を気にすると、自分が匂っているんじゃないか、人に迷惑をかけているんじゃないか、ということで自信がなくなる。対人関係で積極性がなくなる。さらに本当に体から出ている匂いは他人を不快にさせる。社員の士気にも影響するので、体臭というのは経営にも影響している。」
【女性が嫌いな“ミドル脂臭”とは】
ミドル脂臭の素を突き止めたのは男性用化粧品メーカーのマンダム。ミドル脂臭の主な原因となるジアセチルを、2013年にマンダムが発見した。原因を突き詰める為に臭気判定士が40代男性の体臭を直接嗅いで調査。その結果、ニオイは主に後頭部から出ている事が分かった。7年間に800人のニオイを判定する事で原因を解明し、対応商品を開発した。ミドル脂臭に対応する商品には「40才から」を強調。ターゲットを絞った事で差別化に成功し、売り上げも伸びている。
【ニオイ対策でタクシー会社も集客!】
ニオイ対策をする事で新たな集客に繋げようとする動きもある。日本交通は芳香剤シェアトップのP&Gと共同でファブリーズタクシー(ファブタク)の運行を始めた。エアコン部分にファブリーズがセットされていて、車内の快適空間を実現している。さらに乗務員は勤務前にニオイチェックしている。日本交通がニオイで差別化を図る背景には、タクシーに乗車した人の8割以上が車内が臭かった事が「よくある」「たまにある」と答えている現状があるため(しらべぇ)。ファブタクはスマートフォンのアプリで簡単に呼ぶ事ができる。日本交通はニオイ対策で差別化を図る事で乗車率の増加に繋げていきたい考えだ。
■ニュース
三菱自 8車種の販売一時停止
30日夕に都内で会見を開いた三菱自動車の益子会長。国土交通省から軽自動車以外の9車種でも不正が指摘され、三菱自側は新たに規定通りに再測定したものを国交省に提出していましたが、国交省の確認試験の結果と異なりました。実は複数回の測定のうち結果が良かったものだけ「いいとこ取り」していたのです。これを受け三菱自は、新燃費値を申請することにしました。さらに、9車種のうち8車種の販売を一時停止、損害賠償として新たに70億円を特別損失に計上しますが、業績見通しに変更はないとしています。日産自動車との提携に関しても、これまで通り続けていくことを強調しました。
7月失業率3.0%に改善
総務省が30日発表した7月の完全失業率は、前の月よりも0.1ポイント下がり、3.0パーセントとなりました。これは、1995年5月以来、21年2ヵ月ぶりの低い水準です。一方、厚生労働省が発表した7月の有効求人倍率は、訪日客の増加により宿泊や飲食サービス業が堅調で、前の月と同じ1.37倍でした。しかし、正社員の有効求人倍率は0.88倍と1倍を下回りました。
7月消費支出0.5%減
総務省が30日発表した7月の家計調査によりますと、1世帯あたりの消費支出は27万8,067円と、物価の変動を除いた実質で去年の同じ月を0.5%下回り、5ヵ月連続で減少しました。燃費不正問題の影響で自動車の購入が振るわなかったほか、衣料品などの落ち込みが影響しました。総務省は消費の基調について「弱い状況が続いている」と指摘しています。
臨時国会 来月26日召集へ
自民党の二階幹事長は、秋の臨時国会を来月26日に召集する方針を明らかにしました。当初、官邸側は、来月上旬に召集する方針でしたが、二階幹事長の強い意向で民進党の代表選の日程に配慮し、9月末に繰り下げた形です。また、二階幹事長は、TPP=環太平洋経済連携協定の関連法案について、臨時国会での成立を目指す考えを示しました。
宮沢税調会長 配偶者控除の見直し検討
自民党の宮沢税調会長は2017年度の税制改正で、所得税の配偶者控除の見直しを検討する考えを示しました。配偶者控除は、給与収入が年103万円以下の配偶者がいる場合、世帯主の所得から38万円を差し引く制度です。103万円を意識して働く時間を調整する傾向にあることから、人手不足を招いているとの指摘が出ていました。政府・与党は、配偶者控除を廃止する代わりに夫婦を対象に一定額を控除する「夫婦控除」の導入を目指しています。
シャープが新型冷蔵庫 凍らせ過ぎずに急速冷凍
経営再建中のシャープが30日、新しい冷蔵庫を発表しました。来月発売予定の新製品は、大容量の冷凍スペースが特徴です。タイマー機能で、凍らせすぎずに、急速に冷やせる場所を新たに設けました。ほかにも角度をつけて取り出しやすさを重視したポケットを採用するなど、機能と使いやすさでさらなるファミリー層の取り込みを狙います。
外食産業の効率化に一役
外食業界の関係者5万人の来場を見込む「外食ビジネスウィーク2016」が東京ビッグサイトで始まりました。その中で目立ったのが人手不足を解決しようというもの。アストラの「瞬助」は果物の皮が自動でむける機器を出展しました。グレープフルーツやトマトなどの皮を数秒でむくことができ、調理現場での効率化につながるといいます。また、食品メーカーの小柳津清一商店が出展したのは、果物や野菜などをパウダー状にしたものでチューハイや紅茶などに入れて使うことが出来ます。オレンジや桜など100種類以上あり、食品本来の甘みが楽しめます。
■【ロングセラー研究所】クレラップ
発売から56年、累計30億本以上が売れた日本初の家庭用ラップ「クレラップ」。原料は独自開発したプラスチック樹脂。これを溶かして、空気で膨らませて作られる。その厚みは髪の毛の10分の1。しかし、強度は高く、強い力で引っ張っても伸びにくく。140度の熱に耐えることができる。クレハは1944年(昭和19年)創業、70年以上前から続く科学メーカー。工業用の塩を分解したときに出る、副産物の塩素をに悩まされていた。この塩素を利用して1950年代に独自開発したのが、丈夫で耐水性に強い樹脂、クレハロンだった。魚肉ソーセージやハムを包むフィルムとしてヒット。しかし、フィルム自体に臭いがしたため、香りの強い食品にしか使えなかった。そこで、化学メーカーの威信をかけて研究をした結果、無臭のフィルムの開発に成功する。今では製品だけでなくホームページで使い方も紹介する。新たな使い方を日々提案し続けている。
取材先・クレハ家庭用品事業部
■【トレたま】“焼きたて”を持ち運び
このバッグにパンを入れると焼き立てのおいしさを保ったまま運べる。3206soho’s Bakery(東京都港区)でパンを購入し、ビニール袋に入れた場合と比較。バッグには小豆のピローが入っており、レンジで温めてバッグの中に入れると保温が可能になる仕組み。さらにバッグの生地は「ヘンプ」という麻の一種で、通気性が良くパンのパリパリの食感が残る。
【商品名】ヘンプブレッドバッグ
【商品の特徴】パンの焼きたてのおいしさが保てる、パンの保温
【企業名】Molfo合同会社
【住所】京都市中京区烏丸通蛸薬師南入る手洗水町647トキワビル4-C
【価格】4,600円
【発売日】2017年4月予定
【トレたまキャスター】北村まあさ
■【コメンテーター】伊藤元重氏(学習院大学教授)
・「ニオイ」マーケティングで新たな市場を開拓せよ
「スメルハラスメントというのは強烈な言葉ですよね。ここから入り口となっていろんな動きがあるんだと思うんですけどね。でも前向きに捉えると香りとかニオイというのが1つのマーケティングの手段になるのではないかと思う。だから香りやニオイの良いホテルの部屋とか、あるいはさっきのタクシーもそうですし、それからレストランなどでもそういうことができるかもしれない。よくマーケティングで言うんですけど、これまでとは違う切り口でやっていくと新しいマーケットが開ける。ニオイとか香りというものをもう1回根本から見直してみると、食べ物・空間など色々な所にビジネスチャンスがあるのかもしれない。」
--確かに人だけではなくて、空間といった意味ではまだまだビジネスチャンスが広がりますよね。
「そこで差別化ができる。」
・金融政策の情報開示・あるべき姿とは
--米国の公定歩合会合は確かにこれまであまり注目されることがなかったですよね。
「非常におもしろいですよね。今は日本も米国もどこもそうだと思うが、中央銀行の重要な特徴が2つ挙げられると思うが、1つはやっぱり誰かが独善的に決めるのではなくて、合議制でメンバーがいろんな意見を出し合いながらやっていくということですね。もう1つは、それをマーケットとどうコミュニケーションするか、ということですね。つまり驚かすことだけが金融政策ではなくて、むしろある意味ではマーケットにこちらのほうに行くんだろうなということを感じさせることができる。そしてこの2つは非常に意味があるんです。つまり合議制で議論していることは、単にマーケットに発生することだけではなくて、自分たちが真剣に何を求めているかということを、中で議論するわけですけど、それが外に伝わっていくことによって、ある意味で分かりやすいというか、信頼できる形でやっていくということで、日本の金融政策もそういう側面があると思うんですけど・・・。」
--日本はどうなんでしょうね。政策決定権者たちの考えを知る機会というのはありますか。金融政策決定会合以外ではあまりないですね。
「このアメリカのようなケースがあるかと言われてみると、なかなか難しいところで、政策委員の方たちが講演をするという形で発信をするので、もちろん努力はしているんですけど、ただそれは情報発信のための発信のような面もないわけではないですよね。ですからどこまでオープンにすればいいのか、なかなか難しいんですけど、市場との対話というのは今後、日本でも金融政策の上で非常に重要になってくるだろうと思いますね。」
--裏をかくことばかり考えているわけでもないんですか。対話するとまた変わってくるんですか。
「やっぱり裏をお互いにかく、かかれるという形になってくるのは、経済にとってあまり良くないですよね。だから本当は金融市場というのは予想と実際のマーケットと金融政策がある種うまくかみ合っていくことが重要ですね。もちろんデフレマインドが非常に深いときには、ガツンとやるということも時には必要かもせれませんけどね。」
・配偶者控除見直しの「効き目」
--自民党・宮沢税調会長が配偶者控除の見直しを検討するという考えを示しましたが、先生は政府の税調の委員でいらっしゃる。
「政府の税調でこの議論をずっとしていて、勿論、家族控除という形で。つまり専業主婦の家庭だけメリットがあるのではなく、働いていようが、あるいは働いていなくても、平等にやろうという方向の流れを議論してきた。こういう形で党の責任者が言うということは、流れが一気に動いているということだと思うんですね。」
--この配偶者控除の見直し、その先にあるのは働き方改革ということですけど・・・
「おそらく今の内閣で働き方改革が1番大きな流れになってきていると思うんですけども、その中で女性がもっと活躍出来るようにするとか、あるいは家族全体のワークバランスを見直すときに、色んなものを変えなければいけないんです。社会保障とか、扶養者手当とか。そういう中で配偶者控除というのは1つの象徴的な存在だったんです。これを外すからどうこうというよりも、これを変えない限りは他のものは動きにくいということです。動く方向で来ているということです。」
--これで本当に女性が働きやすくなるのかどうか、だけではないんですよね。
「もちろん、一方で、例えばご主人がたくさん働きすぎたら、働き過ぎを減らしていくというのも同時にやらないと、ワークライフバランスがだめになりますよね。」
--日本には103万円の壁よりもまだ大きな壁がありそうですね。
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