東方のあけぼの

政治、経済、外交、社会現象に付いての観察

税金泥棒と呼ばれて

2005-06-04 22:26:19 | 社会・経済
税金泥棒と呼ばれて

税金泥棒と言う言葉が何時出来たのかしらない。私個人の記憶では
戦後のある時期まで、自衛隊が広く認知されていないときに、自衛
隊員をののしる言葉であった。聞いたところによると大正時代から
昭和初期にも同じ言葉があったそうだ。当時は職業軍人をさげすん
でいった言葉と言う。

職業軍人という言葉には注釈をつけないと分からないのかな。プロ
野球のことを職業野球といった。OLのことを職業婦人といった。
これから類推してくれたまえ。ちと不親切かな。

閑話休題、大正末期に真剣に軍縮が政治課題となったことがある。
そのころ、職業軍人は税金泥棒とののしられた。電車に軍服を着
て乗ると、乗客からこの罵声を浴びせられたという。親戚に職業
軍人がいたが、当時は恥ずかしくて町に出るときは軍服を背広に
着替えてから出たそうだ。

それから十年もたたないうちに、世間は軍事一色になり、国民は
「軍人さん有難う、軍人さん万歳」というようになった(もちろん
心からね)。手品のような話だが本当だ。

ようするに、軍縮と言う職業軍人のリストラを軍人官僚が抵抗して
はねかえしたわけね。結果的に利用された青年将校がいた。二二六
事件などが典型だ。結局統制派といわれる軍人たちがこの動きを利
用して軍事官僚絶対優位を達成した。

ここに厳然とした学歴社会がある。二二六事件などの首謀者は陸軍
士官学校(一部には海軍兵学校卒業生のクーデター未遂事件があっ
た。五一五事件だったか桜会だったか、必要なら調べてください)。
そしていずれも尉官クラスまでが首謀者だった。

そのなかには陸軍大学校、海軍大学校の卒業生は一人もいない。す
でに、大正時代から両大学校の卒業生でないと将官になるのは難し
かったといわれる。彼らは一連のクーデター計画には関与していな
い。クーデター計画で騒然とした社会でその収穫を刈り取ったのは
陸軍大学校、海軍大学校卒業のエリートたちである。

わたくしごとになるが、親戚に初期の陸軍士官学校を卒業したもの
がいた。エリート軍事官僚をめざして陸軍大学校を受験したが二度
とも失敗した。彼は終生前線の指揮官を勤め大佐どまりで退役し
た。彼の陸軍士官学校の同期には首相になったものが何人か、大将
も多い。いずれも、陸軍大学校を恩賜の軍刀を貰って優秀な成績で
卒業したものたちだ。ようするに、彼は学歴競争に挫折したわけだ。

戦後も何も変わっていない。軍事官僚が経済官僚に代わっただけで
ある。行政改革と言う一連のリストラに成功しないと、エリート官
僚に逆襲されて戦前の二の舞をふみますよ。小泉さん。

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