岡山県議会議員 森脇ひさき

2023年の岡山県議選で5期目当選させていただきました。
「命と暮らし、環境が最優先」の県政へがんばります。

中電は地震・原発事故の教訓を生かしているのか?!

2016-11-11 | 地域での活動など
 福島第一原発の事故から5年8ヶ月が経過しました。
 政府の「エネルギー基本計画」では、原発を石炭火力や水力、再生可能エネルギーの地熱と合わせて「ベースロード電源」として、エネルギー供給の大部分を依存することを掲げました。「ベースロード電源」というのは「発電コストが安くて安定している」電源ということですが、重大な事故を起こし、事故の収束や、これから本格化する廃炉、被害の賠償などのためにどれほどの時間と費用がかかるかもわからない原発を、「コストが安い」「安定している」電源と位置づけること自体、異常な感覚と言わなければなりません。政府は昨年、この「エネルギー基本計画」にもとづき、2030年の「エネルギーミックス(電源構成)」は、原子力発電を20~22%、太陽光など再生可能エネルギーを22~24%などとすることを決めました。またもや原発は「安い」などという電力会社の言いなりの決定です。そもそも、どのエネルギーにどのくらい依存するかは、国民の安全を大前提にしなければならないのではないでしょうか。原発は完成された技術ではなく、福島原発事故が示すように、いったん事故を起こせばコントロールできなくなり、国民の暮らしと環境に重大な被害を及ぼします。福井地裁は判決や仮処分決定で、「人格権は経済的な利害より優先する」として、原発の運転差し止めや再稼働中止を求めました。コストが安いという理由だけで原発依存を拡大するのは、まさに国民の安全を無視したものです。

 さて、政府の決定を受け、中国電力も他の大手電力会社と同様、島根原発2号機(島根県)の再稼動に向けた準備をすすめています。これに加え、「原発20~22%をめざすには新規の建設も必要」と、上関原発(山口県)を建設する準備もすすめています。今回おこなった中国電力への要請行動では、島根県松江市の片寄直行市議、橘祥朗市議、吉儀敬子市議、山口県の河合喜代県議らも参加しました。要請内容とやりとりは以下の通りでした。



 (1)熊本地震、鳥取中部地震と相次いで強い地震が起こっており、これらをきちんと考慮すれば日本に原発をつくるなど不可能である。島根原発のすべての原子炉を廃炉にすること。
 (2)日本共産党島根県議団や松江市議団が独自に調査した島根半島の地震性隆起について、中電としても調査すること。
 (3)現時点で安倍内閣でも原発の新設は棚上げしている。上関原発の建設は中止すること。

 (1)の回答。島根原発2号機について、新基準にもとづく耐震について審査を受ける準備をすすめている。熊本や鳥取での地震に関して新たな知見が得られれば、それに応じて適切に対応する。「エネルギー基本計画」では、電力の安定、コスト、地球温暖化防止対策などの面から原発も「ベースロード電源」と位置づけられたところであり、安全対策に万全をつくしながら再稼動に向けた準備をすすめる。
 (2)の回答。島根半島の地表に露出している平らな地形があることは承知している。これは波によって侵食されたことによるとの考えもあり、地質調査もすすめている。宍道断層についても地球物理的な調査によって断層の位置、形状などを分析している。
 (3)国は2030年のエネルギーミックスについて、原発を20~22%としており、原子力発電の比率を高める必要があり、安全性にすぐれた新規の発電所が必要。島根原発1号機の廃炉を考えれば、上関原発の建設は重要と考えている。

 (1)および(2)について、片寄松江市議は、島根原発周辺にはたくさんの活断層あること、山陰地方のプレートは複雑でひずみが大きいこと、浜田市の石見畳が浦は明治5年の浜田地震によって隆起したものであること、太田市五十猛は3段の波蝕棚(3度の隆起を示す)であること、原発に近い松江市鹿島町御津や松江市島根町の波蝕棚も地震による隆起であることなどを示し、地下構造の調査を求めました。また、宍道断層について、その長さが当初20kmとされていたものが現在25kmと、調査のたびに延びている問題を指摘し、さらに延びる可能性もあり厳密な調査を求めました。


 (片寄市議の説明資料:クリックすると拡大できます)

 中電の応対者は、議員団による調査知見は「今後の参考にさせてほしい」と述べるにとどまり、新たな調査の意思は示しませんでした。宍道断層については、「引き続き調査中であり、調査と分析が終了したら結果を公表する」と述べたものの、どのような方法で調査をしているのかなど具体的な内容については「回答できない」と述べました。
 出雲市の吉井安見さん(尾村利成島根県議秘書、出雲市議予定候補)は、最終処分施設の問題や核燃料サイクル計画などが行き詰まり先行きが見えないなかで再稼動するのは無責任であること、「安全協定は原発から30km以内の自治体」としているため出雲市の住民が不安を感じても市には何の権限もないため、市長も立ち入り調査や緊急停止を求める権限をと申し入れているが、充分な対応がなされていないことに住民の不信を大きくしていること、避難計画が自治体任せになっていることなど問題を指摘しました。
 中電の応対者は、ゆきづまっている問題について、「現時点では決まっていないが、国の今後の動きに期待したい」と述べ、安全協定については、「要望はうかがっているが、どの範囲まで認めるか難しい、できるだけ立地自治体と近いものになるよう運用面で努力したい」としました。避難計画については、「自治体にお願いするというのが国の方針。自治体任せでなく、スクリーニングや線量の測定など必要な協力はしたい」と述べました。
 参加者らは、住民の不安や、肝心な部分をあいまいにしたまま再稼動を急ぐなどというのは住民の理解は得られない。原発ありきでなく中電も自然エネルギーの積極拡大をすすめるよう求めました。

 (2)について、河合山口県議は、山口県にも福島県から避難してきている人もあり、そこでまた原発計画が動いていることに怒りの声があることを紹介し、県は埋め立て許可を出したが、新基準にもとづく原子炉の建設計画が具体的にすすめられているのか、活断層の調査はおこなったのか、原子炉の建設が確実にならないもとで埋め立てだけを先行させることはやめるよう求めました。また、原発の新設について、中電から上関への新設を国に要望しているのかただしました。
 中電の応対者は、福島県からの避難者の不安の声にこたえることなく、「今後のエネルギーミックスを考えれば新設も必要」と繰り返しました。「現時点では島根原発再稼動が優先」としながらも、新基準にもとづく原子炉の設計変更は「これから検討する」「活断層の調査はおこなっていない」と述べました。埋め立ての着手については「何をもって着手の判断とするかは未定」としながらも、埋め立て期限である「3年以内完成」をめざしてすすめる方向であることも明らかにしました。上関への立地については「中電から個別の名をあげて要請はしていない」としましたが、電力事業連合会として新設についても要望していると答えました。

 島根原発の再稼動と上関原発の建設にむけた中国電力の動きはいっそう強いものになっています。最初にも書きましたが、原発は完成された技術ではなく、福島原発事故が示すように、いったん事故を起こせばコントロールできなくなり、国民の暮らしと環境に重大な被害を及ぼします。福井地裁は判決や仮処分決定で、「人格権は経済的な利害より優先する」として、原発の運転差し止めや再稼働中止を求めました。もっとも重視しなければならない国民の安全、不安の声を無視したまま再稼動を強行することは断じて許すことができません。新設などもってのほかです。

 

 

 

 
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