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NASA公式写真家が撮った地球人 宇宙開発の歴史

2019-04-14 19:29:59 | 日記

NASA公式写真家が撮った地球人 宇宙開発の歴史 

 

ナショナルジオグラフィック日本版

2011年7月7日、スペースシャトル計画の最後のフライトを前に待機する「アトランティス号」(PHOTOGRAPH BY NASA/BILL INGALLS)

ビル・インガルズ氏は、NASAの上級契約フォトグラファーだ。世界を飛び回り、30年にわたって宇宙開発の歴史に残る貴重な瞬間を写真に収めてきた。おそらく、日本人の多くもインガルズ氏の作品を見たことがあるはずだ。例えば、若田光一さんが国際宇宙ステーション(ISS)から帰還した際にも、インガルズ氏が元気な姿を撮っている。そんなインガルズ氏の写真で、宇宙開発の歴史を語る様々な瞬間を見ていこう。

 

◇  ◇  ◇

数々の傑作写真をものにしてきたインガルズ氏。しかし彼は、今も実に謙虚だ。「30年もあれば大量の作品を撮ってきたはずですが、実際のところ『ああ、そういえばこの写真はいい出来だった』と思い出すのは、ここ5~10年くらいの作品です」

2011年11月22日、カザフスタンの荒野に着陸する宇宙船ソユーズTMA-02M。現場に到着するロシア人スタッフが見える(PHOTOGRAPH BY NASA/BILL INGALLS)

始まりは、大学時代のインターンシップ。インガルズ氏は米国ペンシルベニア州ピッツバーグで生まれ育ち、近隣のウェインズバーグ大学でビジュアルコミュニケーションなどを学んだ。「TVが私の初恋でした」と語る同氏は、NASAでのインターンシップで、ライター、テレビ制作の仕事をするかたわら、写真も撮影していた。

卒業後、しばらく教師の仕事をした後で、インガルズ氏は自分がNASAに戻りたいと願っていることに気がついた。彼はNASAに毎週電話をかけて、なにか仕事はないかと尋ねた。そしてついに、幸運が訪れた。

着陸したソユーズTMA-02M。国際宇宙ステーションでの5カ月半のミッションを終えた乗組員たちが地上に降り立つのを、スタッフが手助けする(PHOTOGRAPH BY NASA/BILL INGALLS)

「彼らはきっと私の電話に嫌気が差して、いいから机をやっておこう、隅の方に座らせておけばいい、とでも思ったんでしょう」と彼は言う。

インガルズ氏は、二つの仕事のどちらかを選ぶよう言われた。フォトリサーチャー、またはフォトグラファーだ。フォトグラファーのポジションは、アポロ計画の時代にこの仕事を独占していたビル・タウブ氏が去った後、影が薄くなっていたという。フォトグラファーを選んだインガルズ氏は、カメラ用品のキャビネットへ案内された。そこには、タウブ氏が使っていた装備がたくさん残されていた。

 

 

2019/3/10

米ユナイテッド・ローンチ・アライアンス社のロケット「デルタIVヘビー」の打ち上げを長時間露光で撮影した1枚。太陽観測ミッションに向かうNASAの探査機「パーカー・ソーラー・プローブ」が積まれている。2018年8月12日撮影(PHOTOGRAPH BY NASA/BILL INGALLS)

「わたしは道具をため込むたちで、そのキャビネットにあったものは今もすべて持っています。あの道具にはそれぞれ、逸話がありますから」。インガルズ氏秘蔵のお宝の中には、「アポロの着水と回収の際に、潜水夫たちが使ったもの」だとタウブ氏に教えられた、2台の「ニコノス」(ニコン製の水中カメラ)もあるという。

インガルズ氏は、アポロの月面着陸20周年を取材し、アラスカの火山で火口を探索するロボットを撮り、上空3000メートルを飛ぶヘリコプターから身を乗り出してロシアの宇宙船着陸を撮影し、スペースシャトルの打ち上げを記録してきた。しかし宇宙開発のあらゆる側面を記録する彼の仕事では、華やかな瞬間が、一転して重苦しいものになることもある。

宇宙飛行士の格好をした少年が、ロサンゼルスに向かうスペースシャトル「エンデバー号」を見つめる。2012年10月13日撮影(PHOTOGRAPH BY NASA/BILL INGALLS)

2003年、スペースシャトル「コロンビア号」が地球に帰還する際に空中分解し、7人の乗組員全員が死亡したとき、インガルズ氏はワシントンDCのNASA本部にいた。彼は当時の副長官フレッド・グレゴリー氏が電話をかける姿を撮影した後、副長官にこう言ったという。「自分がしていることが嫌になります。こんなことをすべきではないと感じます」

インガルズ氏は、そのときのグレゴリー氏の返答を思い出すと、今でも胸が詰まると語る。「いちばん大切なのは、人々がこの日を決して忘れないことだ。この日の場面は人々に見られる必要がある。覚えておいてもらう必要がある。ごくささやかなことまで、そのすべてをだ」

カリフォルニア州のドーナツ店「ランディーズ・ドーナツ」のそばを通過するスペースシャトル「エンデバー号」。2012年10月12日、グッドイヤー社の飛行船から撮影した(PHOTOGRAPH BY NASA/BILL INGALLS)

インガルズ氏は、少年時代から宇宙に憧れていたわけではない。「ポスターを集めたり、本を読んだりといったことはまったくしませんでした」。しかし、NASAでのインターンを経て、やがて上級フォトグラファーとして働くようになった後では、宇宙はすばらしいと認めざるを得なかったそうだ。

「周りに感化されてしまったわけです。今では宇宙が大好きですよ」

次ページでも、人類の宇宙開発の歴史を思い返しながら、インガルズ氏の写真10点を紹介しよう。

 

2019/3/10

2018年2月28日、国際宇宙ステーションから帰還する3人の宇宙飛行士を乗せてカザフスタン、ジェスカスガン付近に着陸するソユーズMS-06(PHOTOGRAPH BY NASA/BILL INGALLS)
2018年10月、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地から発射されたソユーズMS-10を赤外線で撮影した1枚。搭乗しているのは、NASAのニック・ヘイグ宇宙飛行士とロシアのアレクセイ・オフチニン宇宙飛行士(PHOTOGRAPH BY NASA/BILL INGALLS)
発射台に載ったソユーズ宇宙船の脇で、報道陣に祝福を与える正教会の司祭。2012年10月22日、バイコヌール宇宙基地にて(PHOTOGRAPH BY NASA/BILL INGALLS)

2012年5月13日、列車でカザフスタンのバイコヌール宇宙基地の発射台へと運ばれる宇宙船ソユーズTMA-04M(PHOTOGRAPH BY NASA/BILL INGALLS)

2010年4月5日、スペースシャトル「ディスカバリー号」の発射後、フロリダ州ケープカナベラルの発射コントロールセンターを離れる作業員(PHOTOGRAPH BY NASA/BILL INGALLS)
2011年3月19日、ワシントンDCのリンカーン記念堂の近くにのぼるスーパームーン(PHOTOGRAPH BY NASA/BILL INGALLS)
2012年4月20日、ワシントン・ダレス国際空港にて、747型シャトル輸送機の上に載せられたスペースシャトル「エンタープライズ号」(PHOTOGRAPH BY NASA/BILL INGALLS)
カリフォルニア州ロンポックのヴァンデンバーグ空軍基地にあるNASAのオフィスビル周辺の景色。疑似カラーの赤外線画像のため、青く見えている(PHOTOGRAPH BY NASA/BILL INGALLS)
自由の女神とスペースシャトル。2012年6月6日、はしけ船に載せられたスペースシャトル「エンタープライズ号」が、ニューヨークのイントレピッド海上航空宇宙博物館に向かう。エンタープライズ号は現在、同博物館に永久展示されている(PHOTOGRAPH BY NASA/BILL INGALLS)
フロリダ州ケネディ宇宙センターの発射台に据えられたスペースシャトル「ディスカバリー号」。満月に近い月が後ろに見える(PHOTOGRAPH BY NASA/BILL INGALLS)

(文 SARAH GIBBENS、写真 CORENTIN FOHLEN、訳 北村京子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2019年2月20日付記事を再構成]

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