地理総合の研究 付2018年センター地理AB本試・追試解説 

「地理講義」の続き。「地理総合」に「2018年センター試験地理AB本試・追試の問題と解答解説」を追加。

45.にんにく 地理総合

2019-06-30 10:55:53 | 地理講義

にんにく
国内の年間にんにく生産量は2万トン、その7割を青森県が生産する。にんにくの市場規模は大きくないし、安価な中国産が市場の半分を占めるため、国内では新たなにんにく産地が形成されない。

田子(たっこ)にんにく
青森県三戸郡田子町は火山灰土のやせ地が広がり、森林と出稼ぎの町であった。2018年の人口は5,555人、2,200世帯である。
田子町のにんにく栽培は、1962年、出稼ぎ経済からの脱却をめざして始まった。1969年に町の振興計画により大産地に成長した。国内では競合する産地はなく、瞬く間に国内市場第1位を占めることができたが、安価なアメリカ産にんにくに押されて、にんにく栽培は挫折した。それでも1990年には町で8億円の売り上げを達成した。しかし、同時に中国産の安価なにんにくの輸入が急増した。田子にんにくが1kg2,000円、中国産にんにくが1kg200円~400円であった。田子のにんにく栽培農家は1990年代に550戸から200戸に減った。

2006年(平成18年)に「たっこにんにく」としての商標登録をするとともに、産地力強化戦略が練られ、中国産の安価なにんにくとは一線を画したにんにく生産をめざした。
① 環境・品質を重視した栽培
② 担い手の育成
③ 高付加価値化
④ 農協専門部会の活性化
である。ブランド管理の具体的目標として、ブランドイメージを傷つけないような高品質化と新商品の開発が掲げられた。新品種として「たっこ1号」愛称「みろくひめ」が開発された。
田子のにんにくは年産1万トンを越え、国内最大の産地になった。


中国産にんにくとの競合


 

田子にんにくは中国産にんにくよりも高品質だが、価格は5倍である。田子にんにくの価格引き下げは、品質の維持管理、栽培規模、人件費などを考慮すれば、非常に難しい。田子の農家はにんにく以外に葉タバコ、米、肉牛飼育など、現金収入に直結する農業に手を広げている。
また、冷蔵にんにくを消費者に通信販売する通販サイトの利用も盛んになっている。この場合、数量は限定だが、1kg4,000円程度の高級にんにくも販売することが可能である。

 

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