オオカミになりたい(遺言)

ずっとそばにいるよ

見立多以尽 おしてもらいたい

2019-02-10 | 見立多以盡

月岡芳年が女性のしぐさを「~したい」と描いた美人画

見立多以尽(みたてたいづくし)より

『おしてもらいたい』

 

国立国会図書館デジタルコレクション

大蘇芳年筆 

 

詞書

積もるという字が癪の根檬(たね)と 古き俚謡(はうた)にならねども

酒宴の仕舞をお積りといい 酌と癪とは音(おん)通ずれば 

贔屓に招きまねかるる 座敷の数のつもりては

酌の手先を引きよせつ 煖(あたた)め過ぎて熱くなる

燗の加減も狐疑(まわりぎ)から 銚子のくるう對酌(さけごと)に

恥話が増長(こうじ)ていつとなく 欝悶(じれったい)よの青っきり

手酌は癪にいよいよ害なり

轉々堂主人録

 

癪(しゃく):胸や腹が急に痙攣を起こして痛むこと。さしこみ。 積(せき)ともいう

はうた(端唄): 江戸時代後期から幕末にかけて流行した当時の流行歌。

まわりぎ(回り気): 気を回して心配したり疑ったりすること。

青っ切り: 酒をなみなみとつぐこと また それをあおるように威勢よく飲むこと。