月岡芳年が女性のしぐさを「~したい」と描いた美人画
見立多以尽(みたてたいづくし)より
『おしてもらいたい』
国立国会図書館デジタルコレクション
大蘇芳年筆
詞書
積もるという字が癪の根檬(たね)と 古き俚謡(はうた)にならねども
酒宴の仕舞をお積りといい 酌と癪とは音(おん)通ずれば
贔屓に招きまねかるる 座敷の数のつもりては
酌の手先を引きよせつ 煖(あたた)め過ぎて熱くなる
燗の加減も狐疑(まわりぎ)から 銚子のくるう對酌(さけごと)に
恥話が増長(こうじ)ていつとなく 欝悶(じれったい)よの青っきり
手酌は癪にいよいよ害なり
轉々堂主人録
癪(しゃく):胸や腹が急に痙攣を起こして痛むこと。さしこみ。 積(せき)ともいう
はうた(端唄): 江戸時代後期から幕末にかけて流行した当時の流行歌。
まわりぎ(回り気): 気を回して心配したり疑ったりすること。
青っ切り: 酒をなみなみとつぐこと また それをあおるように威勢よく飲むこと。