軍師が生まれたのは奈良時代であり
吉備真備(きびのまきび)は日本最古の軍師であった
国立国会図書館デジタルコレクション
大蘇芳年筆 明治十四年出版
【吉備大臣(きびだいじん)】
遣唐使は推古天皇十五年(607年)に信を隋に通ぜしより以来
博学多才の者を選び唐土へやられたるやに
霊亀二年(716年)多治比乃真人(だじひのまひと)らをつかわさしとき
吉備公 未だ下道真備(しもつみちのまきび)と称され
安部仲麻呂と共に留学生として渡航し 十九年の勉励に
政法・教法・軍法及び雅楽・陰陽道を卒業して帰朝し
再び天平勝宝三年(751年) 副使となって入唐せしに
唐人 野馬臺(やまたい)の詩を以って その戝力を試みしが
観音薩埵の霊言に因り 文字の上を行く蜘蛛(ささがに)の
いと安らかに読卒(よみおわ)り 吾国体を辱めせぬは
さすがに文武の博士なる哉。
轉々堂主人記
野馬臺詩:やまとの国についての預言詩
観音薩埵(かんのんさった):「さった」は菩提薩埵の略で「菩薩」の意