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オオカミになりたい(遺言)

ずっとそばにいるよ

都幾の百姿 いてしほ乃月

2017-10-06 | 月百姿

月岡芳年 月百姿

『いてしほ乃月』 

いでしおのつき

明治十九年印刷

 

いでしお=【出で汐】

満ちてくる海の潮。多く「月の出」と掛けて用いられる。

♫ 高砂やこの浦舟に帆をあげて この浦舟に帆をあげて

月もろともに出で汐の 浪の淡路の嶋かげや。。。 

 

国立国会図書館デジタルコレクション 100

 

肥後国阿蘇の宮の神主・友成は都見物へ行く途中

播州高砂の浦に立ち寄り静かな浦の景色を眺めていると

年たけた老夫婦が現れて松の木陰を掃き清めるので

有名な高砂の松はどれかと尋ね、

また高砂の松と住吉の松とは場所が離れているのに

なぜ相生の松と呼ばれるのかと問います。

老人はこれこそが高砂の松であると教え

たとえ山川万里を隔てても夫婦の愛は通いあうもので

現にこの姥は当所の者、尉は住吉の者だと言います。

そして老夫婦はさまざまな故事をひいて松のめでたさを語り

御代を寿いだ後、実は自分たちは相生の松の精であると明かし

住吉で待つと告げて沖へと消えて行きます。

友成は日の出とともに高砂の浦から舟で住吉へと急ぎます。

住吉へ着くと、残雪が月光に映える頃、波間から住吉明神が出現し

千秋万歳を祝って颯爽と舞います。

 

謡蹟めぐり「高砂」より転用

 

翁が見上げる先にはどんな月が見えているのでしょう。