ゴダールよりもデ・パルマが好き(別館)

ホンも書ける映画監督を目指す大学生monteによる映画批評。

ティム・バートンのコープス・ブライド

2010-03-10 11:13:48 | 映画(た行)
2005年・イギリス・Tim Burton's Corpse Bride
監督:ティム・バートン、マイク・ジョンソン
(IMDb:7.5 Metacritic:83 Rotten:83)



キャラクター造形や美術などティム・バートンらしさは随所に現れてはいるのだが、
どこか物足りない。77分と言う上映時間の短さからもわかるように、
きれいにまとまり過ぎていて、遊びとか、余裕というのがほとんど感じられないのが、
ティム・バートン映画としての魅力を著しく損ねているように思う。



ロシアの民話がベースになっているので、この絵本的なまとまり方は仕方がないことなのかもしれない。
しかし、あまりにも展開が見え透いているように思えたし、
主人公のビクターやエミリー、ビクトリアの感情の変化をもう少し丁寧に描いてもいいように思えた。



この作品で魅力的に見えるのは、やはり生者よりも死者のほうだ。
生者より死者のほうが生者らしく、死者よりも生者のほうが死者らしい。
生者の世界は暗く、色調も押さえられてより、非常に陰鬱な印象を受ける。
登場するキャラクターも高圧的で、主人公ビクターを苦しめる。
一方の死者の世界は真逆で、明るく、カラフルで、陽気なキャラクターたちにあふれている。
彼らが次々と披露する“死者”ギャグにはブラックさも絶妙で、笑わせられる。
ビクターが死者の世界に来た時に死者たちが歌い踊る「Remains Of The Day」は名曲だ。
さすがはダニー・エルフマンといったところ。ただし、これ以外のダニー・エルフマンの
過去の名曲と比べると水準以下だといわざる終えないのは残念だ。
ピアノ曲の評価は非常に高いようだ。



メイキングを見て、改めてストップモーション・アニメーションの凄さを思い知った。
映像でその作業の一部を見ただけで、すでに狂いそうな緻密な作業で、
その繊細さがあってこそ、あの独特な映像が生まれるのだ。
ストップ・モーションアニメの2Dアニメにも3Dアニメにもない、あの温かさ、安心感は
時間も労力もかかるが、残していかなければならない技術なのだと思う。
アニメーターの人たちがあまりにも凄すぎて、失礼ながら、ティム・バートンが何もしていないように見えた。

〈70点〉


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