ゴダールよりもデ・パルマが好き(別館)

ホンも書ける映画監督を目指す大学生monteによる映画批評。

ワールド・オブ・ライズ

2009-04-01 12:09:46 | 映画(や・ら・わ行)
2008年・アメリカ・Body of Lies
監督:リドリー・スコット
(IMDb:7.3 Metacritic:57 Rotten:51)
公式HP

原題のBody of Lies(ボディ・オブ・ライズ)がなぜいけないのか。
訳されているでもなく、中途半端に英語のままの「ワールド・オブ・ライズ」がなぜ採用されたのか。
よく分からない邦題になったリドリー・スコットの新作。



「ワールド・オブ・ライズ」が賞狙いの作品であることは、
主演にレオナルド・ディカプリオ・ラッセル・クロウという二人のオスカー俳優を
起用していることからも明らかだ。
「タイタニック」のさわやか少年のイメージをよほど払拭したいのかレ
オナルド・ディカプリオがまたもや、薄汚い髭を生やし登場する。
俳優側としても賞を取りたくて出演したのだろう。



しかし、リドリー・スコットが近年、監督を務めた
「プロヴァンスの贈り物」「アメリカン・ギャングスター」「ワールド・オブ・ライズ」のいづれもが
賞レースで苦戦を強いられている。
なぜ、今になって巨匠リドリー・スコットが賞を取れなくなってしまったのか、本作を元に考えてみると・・・。

一言で言うならば、過程におけるドラマの欠如だ。
賞を取るために最も重要な要素の一つが登場人物たちの心の変化を
いかに上手く切り取るかだと言われている。
しかし、本作はストーリーを語るのに精一杯で感情にまで目が行き届いていない。そのため、観客は説明的なセリフを追うのに忙しくなり、感情移入には程遠く、
登場人物たちの心を読み解く隙を与えられない。
中東を舞台としたテロ問題に関わる作品で、訴えたいことがあって作られた映画であるはずなのに、
シーンの奥にある感情や背景(何のために起こっているのか)よりも
シーンにおける行動や見世物性(なにが起こっているのか)を重視しているように感じられる。
かといってその見世物も目を見張るようなものではない。
しかもそれらをつなぐ長い会話がまた面白くもない。

これでは実際に中東で起こっている問題を扱っている作品としては重厚さに欠け、
製作者たちの真摯な態度や作品にかけるメッセージ性を感じ取ることができない。
社会派作品としては失格である。
さらに、矢継ぎ早で音声と映像がシンクロしない編集が拍車をかけ、
ますますドラマを希薄なものにしてしまっている。



リドリー・スコットの演出にはもっと判りやすい題材が向いているのではないか。
主演二人を含む俳優陣の演技が素晴らしかっただけに惜しい気持ちだ。

否定的な言葉ばかり並べてしまったが、
これはあくまで「ワールド・オブ・ライズ」がただの娯楽作品ではないことを前提とした意見であり、
本作を実在の戦争が舞台となっているだけの骨太スパイ・アクションだとして見れば、
上出来な部類に入るのではないか。

〈60点〉

今回は世間的にも評価は低い。
しかし、それにしてもリドリー・スコットとは相性が良くない。

「エイリアン」・・・怖くもなんともない。
「ブレード・ランナー」・・・世代の違いを感じる。
「ブラック・レイン」・・・おぉ、梅田の阪急の前や!
「GIジェーン」・・・見たけど記憶にない。
「ハンニバル」・・・ゲイリー・オールドマンの役者魂。
「ブラックホーク・ダウン」・・・寝た。弟は大好きらしい。

「アメリカン・ギャングスター」・・・傑作!!(なんで・・・!?)


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