Die Mondsonde -イギリス航海日誌-

2011年春よりLondon勤務。WEのミュージカルと日々の生活を綴ります。
Twitterはmondsonde。

Jekyll & Hyde 【6/2】

2012-06-04 15:04:35 | ミュージカル
うわー、すごいものを観てしまいました。お友達がさらにそのお友達からチケットを譲ってもらったということで、Diamond Jubilee(エリザベス女王在位60年お祝い)の4連休初日に観に行ったJekyll & Hyde。言葉になりません。迫力満点、ステージセットもいいし、役者もいい。フリンジで日本だったら大きな劇場で上演される規模のミュージカルがみれるとはおもっていませんでした。チケット譲っていただいたかた、本当にありがとうございます!

劇場は、Cityからテムズを渡ったところのSouthwark St.から徒歩2分くらいのUnion Theatreという、ちーちゃい劇場。このあたりはよく自転車で通るのですけど、劇場なんて気がつかないくらいの、ちいちゃい劇場でした。この日も自転車で15分弱で到着。劇場の大きさは、どうでしょう?15m×15mくらい?客席は真ん中の通路を挟んで1列6-8人×8-9列くらいでした。ステージが狭いので、当然客席真ん中、横の通路も使うわけですが、そのためにステージと客席の間の段差はありません。椅子も、普通の椅子が置いてあるだけなので、我々は2列目にすわりましたけど、1番前だと多分役者が一番前までくると1m間がないくらい(2列目でよかった!)。

バンドメンバーは5人、ピアノ、キーボード、チェロ、ギター、フルート(サックス持ち替え)。いや、フルートの人上手!フルート良い音!サックスも凄い上手!サックス、アルトよりちっちゃかったような気がしたけど・・・・(調べたら、カーブド・ソプラノサックスってあるんですね。これかなあ?)。サックス吹くときはハンカチつめてました。

【本日のキャスト】(といってもUnderstudyなんてないですが)
Jekyll/Hyde:Tim Rogers
Lucy Harris:Madalena Alberto
Emma Carew:Joanna Strand
Danvers Carew:Mark Turnbull
John Utterson:Mark Goldthorp

【あらすじ】
舞台は、現代、ロンドン。精神のバランスを崩して亡くなった父親を看取ったSt Jude病院の精神科医のHenry Jekyllは、人間の精神から善と悪を分離することを考え、実験許可と予算承認を求めて理事会に提案書を出した。が、理事会では7人の理事のうち、Jekyllの婚約者Emmaの父であるSir Danversが棄権、残りの6人は反対し、却下されてしまう。

同日夜、JekyllとEmmaの婚約PartyがEmmaの友人、Jekyllの親友John、理事会のメンバーを招待して行われた。婚約しているEmmaに言い寄る理事のメンバーのストライド。Jekyllは若干変わっているけど大丈夫か、とEmmaに再確認するSir Danversに、パパが結婚するわけじゃないからいいでしょとJekyllを愛するEmmaは答える。一方のJekyllは、やはり実験への未練をぬぐい去りがたく、若干心ここにあらずの態。そんなJekyllをみて、親友で弁護士のJohnは結婚前に飲みに行こう、と町へ連れ出す。

2人が飲みに来たショーパブRed Ratでは、赤いドレスをきた娼婦のLucyを中心にショーが繰り広げられる。ショーの終わりと同時に、客を捕まえては裏に消える娼婦たち。Lucyは、飲んでいるだけのJohnとJekyllのテーブルへやってきて、最初Johnの膝に、次にJekyllの膝に座り、Jekyllの胸ポケットから名刺を一枚抜き取る。

べろべろに酔っぱらったJohnと別れ、自宅へ戻ったJekyllは、今こそ時が来たのだ、と言い、自宅の冷蔵庫に保管してあった悪と善を分ける薬を自分に服用する。自分のPCで実験経過を録画するJekyllだったが、すぐに薬の効果が表れ、指の先がちかちかする、頭が痛い、でも生きている感じがする、と七転八倒ののちに、Henry Jekyllは消え去り、そこにいたのはEdward Hydeだった。眼鏡をはずし、パーカーを目深にかぶったEdward Hydeは、夜のロンドン、Red Ratへと出かけていく。Lucyを見かけ、近づくHydeは、Jekyllだと気がつかずに相手をするLucyの背中にかみつき、傷を負わせる。

翌日、病院のJekyllのもとへ彼の名刺をもったLucyが訪ねてくる。Lucyの背中の傷を手当するJekyllに去り際、キスをするLucyは帰り路でJekyllみたいな人が私のことを愛してくれたらいいのに、と希望一杯で歌う。

善と悪を分離した結果のHydeを全くコントロールできないJekyllは、研究室に閉じこもり、誰もいれないように、といい、心配して訪ねてきたEmmaにも、Johnにも会おうとしない。それでも、Jekyllを信じるEmma。

JekyllはまたもHydeになり、夜のロンドンで反対票をいれた理事会のメンバーを次々と殺していく。最初は聖職につく身でありながら買春しようとしていた司教の首を絞め、目撃者の売春婦もナイフで殺し、次に将軍の首の骨を折り、口うるさい女性理事をそのハンドバックで絞殺し、ゴミ箱に捨ててしまう。町では、その連続殺人が噂になっていくが、Jekyllは相変わらずLucyを訪ね、無理矢理その体を開いてしまう。

このままではHydeが何をするかわからない、と、Jekyllは親友のJohnを呼び出し、最終手段として劇薬を買うのを頼むとともに、Lucyに逃げるように、伝言とRepaymentだと言っていくばくかの金を託す。とまどうJohnだったが、LucyにJekyllの今夜、できるだけ早くLondonを去るようにとの伝言を伝えに、行く。Lucyは何故、JekyllじゃなくJohnがくるのかと最初は拒否するものの、Johnが悲痛に友達だからだ、と言ったことも理解し、最終的には受け取り、準備を始める。夢にまでみた新しい人生が始まるんだ、と上機嫌で準備をするLucyを背後のドアから音もなく見守ったHydeは、Lucyをナイフで刺し殺す。

劇薬を買ってきたJohnは、Jekyllの自宅でJekyllと同じ姿形をしながら全く別人のHydeを目の当たりにする。好戦的なHydeに戸惑うJohnの目の前でHydeは苦しんだかと思うと、Jekyllに戻る。この劇薬は、自分の親友を死においやるものだと気づき、渡せないJohnだが、苦悩するJekyllからの訴えで渡してしまう。Jekyllは、自分が死ぬことでしかHydeを消すことはできないのか、ともがき、苦しむ。

そうして迎えたEmmaとJekyllの結婚式。Emma、Sir Danvers、証人を勤めるJohnと招待客の前に現れたのはJekyllだったが、途中で急にのたうちまわって苦しんだかと思うとHydeにその体を乗っ取られてしまう。Emmaに乱暴に口づけするHyde。それを止めようとした理事会最後のメンバー、ストライドをあっさり殺してしまうHyde。Emmaの首に壁にかかっていた十字架をかけ、人質にし、近づくなと脅すHydeは、Emmaの言葉でJekyllへと戻るが、最早Jekyllのままでいることは不可能だと悟った彼は、自分と一緒にHydeを葬り去る決意をし、終止符を打とうとJohnに十字架で殺してくれと頼む。そんなことはできないと、Johnに拒否されたJekyllの目に留まったのは、十字架をかけていた太い釘だった。皆から後ずさりしたJekyllは、そのまま釘に自分の頭をうちつけ、絶命する。Sir Danversの腕の中で泣き崩れながらも、これでJekyllは自由になったのね、と歌うEmma。 


【所感】
さて、感想。言葉になりません、って言っておいて感想書くんかい、という感じですが・・・。
まあまあ。いやー。ほんと、いいもの観ました。PotOのUKツアーを観た時にも、思いましたが、限られた空間の中で発揮される人間の創造力って素晴らしい。特に、前例(旧プロダクション)があるものを新しい演出でするのって固定観念に捉われがちなのに。あ、といっても、私は旧プロダクションみてないので、わー、この演出全く新し!とはいえません。でも、全く新しいだろうな、すごい創意工夫だろうなってのは想像つきます、つきますよ。だって普通の家庭のリビングの広さくらいしか舞台がないんだもの!!

ただ、今回の演出は、この大きさの劇場だから安っぽくもならず、一体感を醸成しながら客を舞台に引き込むことに成功しているんだと思います。客席の左側にも右側にも通路、これも登場口として使います。劇場の柱さえも、Jekyllがそれにすがりついたりして使われてました。そのほかに舞台下手は壁づたいにもう一枚壁をつくっていて、ここにドアがあり、ここを舞台側からあけるときはドア入ったところのなにもない空間(人一人分の通路しかない)はJekyllの研究室に、外からあけるときは臨機応変でJekyllの部屋だったり研究室だったりになってました(だから、見てるこっちも想像力で補わないといけないのですが)。舞台奥には一見壁に見える引き戸、それから観音開きに4枚に分かれるドアと2枚ありました。その奥は通路になっていて、ここまで開放してつかっていることもしばしば。上手側はまたドアがあるのですけど、これがドアを含む壁一体が巨大な引き戸になっていて、中はLucyの部屋になってました。だから、ぐっとここを引っ張るとLucyの部屋自体が舞台中央にくるという。でも、これを日本に比べていくら小さいとはいえ、WEの劇場でやったらやっぱり浮くでしょうね。中央の通路の奥で演技しても(これは最後Emmaとの結婚式のときにJekyllからHydeへ変わる瞬間とか)ばっちりみえるし、総勢16名のキャストが最初のアンサンブルのシーンとかでぎゅうぎゅうおしあいへしあいしてる圧迫感みたいのもダイレクトに伝えられますしね(16人はいるといっぱいいっぱい)。

キャストといえば、今回の劇は総勢16名。そのうち、Jekyll/Hydeを除いた15名はアンサンブルとしてもばりばりでてくるんですよね、Lucyも、Emmaも、Emmaのお父さんのSir Danversも、Johnも。普通はLucyとかEmmaくらいのメインキャストだったらアンサンブルはしないんじゃないかとおもうんですが。

Jekyll/Hydeを演じるのはTim Rogers。短髪なんですが、ヒュージャックマンに似てるのよねー。JekyllとHydeの演じ分けが、1幕は外見(ジャケットからパーカーにし、眼鏡をはずすぐらいしか差がなかったので、ちょっと心配だったんですけど、2幕は表情も割と鬼気迫る感じになってきていてよかったです。ただ、一見してその違いが分かるという兆候がないので、最後のJekyllとHydeのぱっ、ぱって変わるところはん?今どっち?という感じでした。もうちょっと狂人っぽく演じても良かったかも。Hydeが分離したあとにJekyllが善の部分だけになるってわけでもなさそうだったので、より分かりにくかったんですかね。演じ分けを除いては、演技力も抜群でした。1幕最後あたりなんか、ほんとに目に涙ためて歌ってましたし。歌もうまかった。Lucyを襲う時に、ことさらゆっくりシャツのボタンをはずしていくのですけど、いいからだつきしてました。若いHydeならではですよね!こないだのSweeneyのTurpin判事は全く逆だったけど、それがいかにもTurpinの中年のいやらしさを表してましたからね。

最後死ぬシーンなんて、頭の高さの太い釘に背面から頭打ち付けてそれで死ぬという衝撃的な死に方なんですけど、いかにも頭です、って感じでびくびくっとなってから、ずるずる、と座り込むように壁沿いに脱力して崩れ落ちるってのが感動的にうまい。。。どうやって血のりだしたんだろう、って終わった後考えてました。釘引っこ抜いて頭に血のりぬったのかな。実は、Jekyllが十字架を降ろして太い釘があらわになった瞬間に、あ、これで死ぬんかなと思ったんですが、高さが心臓に合わないので、てっきり十字架の方で死ぬんだとおもったんですよね。したら、頭かいっ!と。頭という発想はなかったなあ。でもドラキュラじゃないから心臓を釘でさす必要はないっちゃあないのか。

Lucyは、Madalena Alberto。Les Mizの25thUKツアー版のファンティーヌらしいです。歌、うまかったです。結構小さめでしたけど、化粧の似合う顔立ちでしたね。ファンティーヌやってこっちもまた娼婦かい、と思いましたけど、もっのすごい胸ない方でした(お前がいうな、と言う感じですが)。いやー、洗濯板。また胸を強調するような赤い衣装きているから余計めだつんでしょうけど。

対象的に、Emma。ものすごいナイスバディ(今度はこっちが死語)。身長高くて、婚約パーティーの時もボディコンシャスな衣装きて、足も細くてスタイル抜群でした。ただ、歌唱力としてはLucy役の勝ちですね。ちょっと声が小さくて、バンドに負けてる部分もありました。

そしてもう一人、Nellie役のLydia Jenkins。この人も、背は多分キャスト1ちいさかったんですけど、ものすごいダイナマイトボディなんですよ(だからこれも死語。っていうよりどこ見てるんだ)。一人何役もやるので、この人も最初アンサンブル、次Emmaの友達、次娼婦(司教相手に売春するひと)、次アンサンブルで美容院のお姉さん、次シスター、次娼婦(Lucyの死んだあとのベット片づける人)、最後Emmaの友人、と目まぐるしくかわるんですけど、娼婦のときの格好とかひえーというぎりぎりの格好だし。司教と一緒に殺された時はおもいっきりJekyllにひきずられてパンツ見えてました。やるなあ。Lydia、演技もすごい上手いんですよ。娼婦のときとか、ガム口あけてわざとくちゃくちゃかんだり、そういうしゃべり方したり。歌もソプラノで上手くて。

男性陣は、John役のMark。顎が細くって背も高くて全体的にひょろって感じの外見ですが、歌はうまいし、演技もいい。LydiaとMarkは出てきた瞬間からはっと目を惹きつけられる感じでした。とくに、Johnは2幕ではJekyll/Hydeの葛藤に寄りそう人物だから重要なんですけど、最初のRed Ratのシーンでのべっろべろのよっぱらい方に始まり、アンサンブルでててくるときのフツーの感じと演じ分けてました。Jekyllに負けてLucyへの伝言を頼まれるシーンなんか、悄然としてしまって、最後ドア開けてかえるときはしょんぼり足ひきずってましたし。その直後のLucyの部屋に来る時も、辛い感じがでていました。これじゃあLucyもJohnにやつあたりできないな、って感じ。Jekyll/Hydeの苦悩も引き込まれましたが、となりのこのJohnあってだなっ!てJohnの心情にかなり感情移入してしまいましたよ、私。最後薬渡すときも、手に持ってるけどJekyllに渡そうとしないし。最後の最後でそっと、椅子の上に置くのよかったな。

まあこんなフリンジに子供は来ないからいいんでしょうけど、子供には過激で見せられない感じでしたねえ。Jekyllでさえ、Emmaの胸さわろうとしてぺしって叩かれたり(これEmmaにもいえますけど)、司教が買春する直接的な表現があったり、Lucyに乱暴するところなんてそのままみせつけるし、Lucy殺したあとも乱暴しようとするし(と理解)。衣装も思いっきり下着見えてたり下着のままだったりするし。Lucy殺した後にそのLucyの死体使ってJekyllが腹話術的に会話したりするし。(私は、Lucyが殺されるシーンから後は笑うところは一切ないと思っていたんですが、結構お客さんが笑うんですよね。最後にストライドがころされちゃうところとかも。その感情はちょっと理解不能。Sweeneyのテンポよい殺し方とか違うから。。。で、こちらの友人にきいてみたところ、ブラックユーモアなんじゃないの?と。うーん、どうでしょ?友人に観に行ってもらって確かめよう。)

それから、舞台が現代ロンドンなので、演出、小物も現代っぽくなってました。具体的には、最初のアンサンブルがいかにもロンドンの地下鉄ラッシュっぽかったり(コート全員黒。ここもいかにもロンドン)、Jekyllが研究室に閉じこもってるときに秘書?のおばちゃんが差し入れる食べ物がTESCOの袋だったり、実験結果を記すのがMac Book Airだったり、ストライドが理事会でいじってるのがI Padだったり、女の理事が殺されて詰められちゃうのがロンドンでよく見かけるタイプのゴミ箱だったり、Lucyが飲んでるのがレッドブルだったり、お金持ちの理事たちはちゃんとルイ・ヴィトンのバックでいかにもお金持ちをアピールしたり。コネタ系としては、連続殺人がNewsになった第2幕の最初なんて、Evening Standardの新聞入れがおいてあるんです。Evening StandardとはLondonの地下鉄の駅などで無料で配っている新聞(夕刊)で、駅には大抵このラックがおいてあるんですが、どっから持ってきたんだろうと思ってしまいました。また、Evening StandardだけでなくてBig Issueって声かける人もいるんですよね。これ、絶対オリジナルにはない台詞(笑)(Big Issueとは、ホームレスなどの自助生活支援のための雑誌です。これをJohn役の人が売ってた)。思わずわらっちゃいました(あとでパンフレットみたらちゃんとクレジットがあったので、ちゃんと許可とってるんですね)。Lucyに渡すお金も20ポンド札でした。でも、あれ絶対多くて200ポンド程度だよな。Repaymentとしては少ないだろー。

それから、これは演出の方ですが、Murder Murderのあたりかな、アンサンブルが携帯もって歌うんですけど、ステージのライトを全部落として個々の役者さんが持ってる携帯のバックライトだけで歌うんです。ここなんか、携帯のバックライトが役者の顔に下からあたって怪談で懐中電灯顔のしたから当ててるみたいな(まえ、Earlさんが客席で携帯つけてる客は自分が死んだ豚(だっけ?ベーコンだっけ?)みたいなことに気づいてないんだってツイートしてたけど、まさにそれ。)、ああいう感じでこれまた怖さを上手くだしてるんですよね。ううん、やるなあ。ほかにも、アンサンブルとか黒子みたな役の人は黒のパーカーのフードをかぶってでてくるので、こう個として認識できない人の怖さみたいのもよくでてました。Jekyllが懊悩するシーンで鏡をみながら俺は誰だって悩むところは、そのアンサンブルがフードかぶって鏡を一人一枚ずつ×4人で持っているのですけど、これが一人ずつばらばらの動きをして、それに客席中央、右、左の通路から懐中電灯で光をあてる、というのも唸ってしまいました。鏡にJekyllが映り、それに光が乱反射する。こう、精神がばらばらになっていくというかピースの中で自分を見失っていく感じ、うまい・・・・。おどろおどろしい音楽とか、照明とかないのに、サスペンス的な怖さというのを植え付けるのに長けてましたね。LucyがNew Lifeを歌っているときにそっとドアを開けて昏い目でLucyを見つめるHydeとか。

それから、舞台が狭くて背景の場面転換できないところは、映写を利用してうまーく補ってました。たとえば、最初の善と悪を分離すればよいってJekyllがTVインタビュー(いかにもBBCっぽい感じ)になってうつされてたり、理事会の場面だったら上のところにSt Jude Hospitalというのがかがみ文字になっていかにも窓の内側ですという雰囲気をだしていたり、Lucyが歌うシーンはいかにも貧乏人が住みそうな小さな窓をうつしていたり、LucyとEmmaga2人で歌うIn his eyesのところは後ろが窓にうつった水滴になってその水滴がつつーと動いたり(この歌よかったです!特にLucyの表情)。影の使い方も素晴らしくて、先ほどの鏡のときの懐中電灯もそうだけど、Jekyll/Hydeの内面の葛藤のときは、映写でJekyllに人間一人分の影を前から当てるんですよね。だから、舞台上には一人しかいなんだけど、彼に前から黒い影が重なって揺らめいているようにみえる。フリンジだし、予算なさそうだし、舞台も限られてて自動で動く装置なんて一個もなくて椅子だって自分で引きずってかえってたりするけど、そのシーンさえもちゃんと秘書が片づけてますって風にしたり、うまーく逆手にとってやってるんですよね。Jubilee Lineが真下を通ってるから定期的に電車のゴーって音がするんですけど、これさえも現代のロンドンにぴったり。

全体的な演出も、この話のもつ人間から強制的にひきずりだされた悪の空恐ろしさ(元のJekyllから悪の臭いがかんじられないだけに余計)、そんなとなりにいる人間にもHydeのような怖ろしい面が隠されているという部分を出していたように感じました。後から考えると、わざと誰にでもわかる日常の小物を出してきたのはそういう点を強調するためなのかな、と。それから、現代だからかどうかしらないですが、現代特有の人間関係の希薄さ(に潜む、隣人が誰かわからないという怖さも)。Lucyの死んだ後の血まみれのベットをひっくり返しただけでなんの感慨もなく使おうとする娼婦仲間たち(あんまりだわ!)なんかその典型ですね。


なんか、考えてみると役者も豪華ですし、2mの距離で体験できますし、いいなあ、こういうの!


最後にパンフレット。下の飲み物のあとみたいのは印刷です。あ、飲み物といえば、JekyllとHydeを分離する薬がちゃちかった笑 冷蔵庫から、試薬瓶×2くらいをとりだして、それを普通の水が入ったコップに垂らして飲むの。それだけか!と。。。笑


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