Die Mondsonde -イギリス航海日誌-

2011年春よりLondon勤務。WEのミュージカルと日々の生活を綴ります。
Twitterはmondsonde。

BBC Proms (3)

2013-09-11 22:46:06 | クラシック(オペラ含)
Proms Last Nightはロンドンにおいて夏の終わりを感じさせる風物詩ですが、本当にLast Nightが終わった次の日から一気に寒くなりました。
暖房つけ始めた、なんていう話もちらほら。。。いかん、Promsの感想書き終わるころには冬になっているんではなかろうか。




【Prom17:7月25日】
John McCabe/Joybox
Beethoven/Symphony No.7
Falla/The Three-Cornered Hat(Clara Mouriz mezzo-soprano)
Ravel/Bolero

BBC Philharmonic
Conducted by Juanjo Mena

今回のPromは、The Apotheosis of the Danceという副題がついていました。この文句は、ワグナーがベートーベンの7番に対して言った言葉ですね。ワグナーイヤーだからこの言葉、ということではないと思いますが、Promの各曲も踊りに関わるものばかり(BBC委嘱作品のJoyboxは知りませんが、10分弱の小品ながらも、色々パーカッションも多用して楽しい曲でした。)

冒頭のJoybox、作曲家はStallsに座っていたのですけれど、相当高齢らしく、Menaが舞台から飛び降りてアリーナつっきり、Stallsまで握手しにいっていました。普通は観客の拍手に答えて作曲家が舞台に登場するのですけど、労をかけさせたくなかったのでしょう。Menaやさしいなあ。

ベートーベンの7番、普段はメインに持ってこられることが多いようにも。というか、ベートーベンの7番好きすぎて、このPromもそれをメインにチケット抑えたのでした(といっても、Circleですが。BBCフィルとかだとCircleすごい安いから助かる)。Menaの7番、私の愛聴するフルトヴェングラーには及ばずとも、どっしりしたいい演奏でした。BBCフィルも、弦は弾ききり、管のアンサンブルもよかった。ニールセンに引き続き、ティンパニストは今日もいい仕事をしていました。ティンパニストがいい楽団の演奏はひきしまる。フルトヴェングラーの7番は、中学生のときに7番をオケで演奏することが決まったときに初めて買ったCDだったので、昔から今に至るまで、私のマスターピースな存在です。今思うと、なぜカラヤンじゃなかったのか、謎きわまりないですが、CD聴いて楽譜見て、2楽章の最初の管のアンサンブルの音の長さにびっくりした思い出が(てあれ、この話去年バレンボイムで7番みたときにしたかもしらん)。7番といえば、最近のだめで取り上げられたからか、普段クラシックを聴かない人からも7番いいね、といわれることが増えたような気がします。といっても、のだめみてないからどういう取り上げられ方をしたのか分かりませんが。ちなみに、以前、そのクラシックは全然きかないけどのだめで取り上げられたのは知ってる、という人が家に遊びにきて、前述のフルトヴェングラーの7番をCDラックから引っ張り出してかけたのですが、「これ知ってるのと違う」と同じ7番だと信じてもらえませんでした笑。のだめがどういう演奏だったかわかりませんが、まあフルトヴェングラーじゃないだろうなあ・・・。


さて、後半、Menaは、Fallaのときはもう自分もステップ踏んでるのじゃないかと思うくらい、踊ってました。今回、後半はFallaの参画防止とRavelのボレロですが、普段よりも舞台が張り出して設置されていて、その部分でスペインの舞踏団が音楽に合わせて踊る、というなかなかの趣向。ボレロの音楽に集中したかった人には残念だったと思いますが、こういうのもなかなかみれないので楽しかったです。それにしても、スペインの舞踏団は男くさい。女性はみな小柄で綺麗でフラメンコのステップもそれは軽快に踊るのですが、男性陣、黒のシャツの第三ボタンくらいまではずし(ボレロのときはソレすら脱いで上半身裸)、汗で濡れた黒髪振り乱して踊る姿は壮絶な色気でした(でも私の趣味じゃないけども)。三角帽子はストーリーに則った展開に踊りが入る形。そのまま、アンコールのようにボレロに突入。ボレロがおわったときの観客の喜びようといったら!Menaは、カーテンコールで自分は一歩下がってこの舞踏団を全面に押し出してましたが、舞踏団のトップダンサーに何度も何度も正面に引きづり出されていました。


【Prom23:7月30日】
Mozart/Masonic Funeral Music
Schumann/Symphony No.2
Mozart/Piano Concerto No.25(Paul Lewis)
Sibelius/Symphony No.7

Mahler Chamer Orchestra
Conducted by Daniel Harding
(as Encore:Mozart/Symphony No.41 “Jupiter” 4th movement)


対抗配置のマーラー室内管弦楽団による、Mozart2曲、シューマンとシベリウス。うーん、オケも指揮者も始めて生で聞きましたが、率直に言ってしまえばどちらも好みではありませんでした。オケは、室内管ということもあり、小編成、まあ、そこはいいのですがオーボエの音が好みじゃない(すみません、首席オーボエ奏者は日本人の方みたいですが)。1曲目のモーツアルトは聞いたことない曲でしたが、これ、Masonicってフリーメイソンのことなんですね。Hardingと、モーツアルトのピアノ協奏曲を弾いたLewisは同級生とのことです。カーテンコールではそれほど仲良さそうにみえなかった二人ですが、面白い。シベリウスの7番はまあよかったです。かなり大人しめで個人的好みから言えば物足りなかったでしたけれど。最初のモーツアルトと最後のアンコールのモーツアルトがよかった。モーツアルトのサンドイッチだったんですね、今日のプログラム。


【Prom27:8月2日】
Naresh Sohal/The Cosmic Dance
Rachmaninov/Piano Concerto No.3(Nikolai Lugansky)
Tchaiovsky/Symphony No.5

Royal Scottish National Orchestra
Conducted by Peter Oundjian

この日は、珍しく私が買ったチケットではなく、人からもらったチケット。ので、普段だったら絶対かわないクワイア席。RAHではStallsとクワイア席は買わないようにしているのですけど、最初がBBC委嘱作品のバリバリ現代音楽(苦手)、案の定目の前に各種打楽器が揃えられてしまい、音のバランスがよくなかったです。指揮者はよーくみれるのですけど、自分でチケットかってないことからわかるように、指揮が滅茶苦茶みたい、というほどの人でもなく。。。でもルガンスキの手元がばっちり見れたのはよかった。ウィンドマシーンがよく見えました。あれまわしてみたい。でも、現代音楽は苦手。特に、これでもか、と色々な打楽器が舞台に用意されているのを見るだけで内容考えてうんざりです。

今年のプロムス、ワグナーとヴェルディの二枚看板に加えて、チャイコフスキーの交響曲全曲、それからポーランド作家特集、イギリスのバントック特集と小テーマがいくつもあるようです。この日は、その中からチャイコフスキーの5番。といっても、今回のPromで聞けたのは2、5、6だけで。今日のPromは、3曲しかないのに一曲一曲の間に休憩がはいる、ちょっと特異な方式。ちょっとだれる観客。ルガンスキー先生、アンコールしてよ。


【Proms28:8月3日】
J.Strauss II/By the Beautiful Danube
James MacMillan/Violin Concerto(Vadim Repin)
Beethoven/Overture Coriolan
Beethoven/Symphony No.5

BBC Scottish Symphony Orchestra
Conducted by Donald Runnicles

マクミランのヴァイオリンコンチェルト。いいわ。現代音楽は総じて苦手(もちろん例外はありますが)な私は、このマクミランのコンチェルトも聴いたことなく、去年のブーレーズのヴァイオリンコンチェルトみたいに理解できないままおわるのかと思いましたが、全くそんなことはなく、とても楽しめた、というのを超えて、すきになりました。それもこれも、この曲がRepinのためにかかれ、Repinが最も得意とする曲のうちのひとつであるということもあるかもしれません(彼のシベリウスのコンチェルトは最高)。Repinの演奏でなかったらこのマクミラン楽しめたかどうか、そう思うと、こういう一期一会のコンサートはやっぱり何者にも替え難い。こういう出会いがあるからやってらんないんですよ(笑)。

Repinは、好きなバイオリニストの一人ですが、やはり素晴らしい。痩せてとてもステキな壮年のヴァイオリニストになりましたね。技術は、もう言うまでもないのですが、彼のハイポジションの迷いのなさ、音のゆれのなさは本当に素晴らしい。一時期の頬のぷくぷく具合が懐かしいです。とても途中ドイツ語ははいりましたけど。なんだか面白い構成で、オケの男性メンバーが声をそろえてein, zwei, dreiと数を数えたりするんですよ。なんかそこはかとなく怖い雰囲気もありました。

ところで、Repinがこの時期にPromsに来るのと同じくして、ボリジョイ・バレエもロンドン公演に来ていましたね。Repinの奥さんはボリジョイのプリンシパルのスヴェトラーナ・ザハロワですから、彼女はひょっとしたらこの日RAHにいたかもしれませんね。もしやRepinはそれに合わせてスケジュール組んだのか・・・?ボリジョイの公演はジュエルズ、バヤデール、眠りと見に行き、スヴェトラーナがダイヤモンドを踊る日のチケットも持っていたのですが、パートナーが怪我で降板してしまい、彼女も降板となってしまいましたので見れずじまい。残念(かわりにOlgaのすばらしいダイヤモンドが見れたのですが)。

後半は、うって変わってベートーベンより良く演奏されるコリオラン序曲と交響曲5番。Repinに心奪われたままだったけど、どちらもよかったです。


【Prom29:8月4日】
Wagner/Tannhauser

Tannhauser:Robert Dean Smith
Elisabeth:Heidi Melton
Venus:Daniela Sindram
Wolfram:Christoph Pohl
Shepherd Boy:Hila Fahima

Chorus of Deutsche Oper Berlin
BBC Scottish Symphony Orchestra
Conducted by Donald Runnicles

ルンニクルス指揮、第二弾。タンホイザーを演じるはディーン・スミス。良かったわ(ワグナーの指環を聞いた後だとだいぶ軽く感じられましたが、ま、タンホイザーだしね)。あれ、前週にトリスタンうたってなかったっけか、ザイフェルトの降板で。ジークフリード向きではないですが、タンホイザー、マイスタージンガーは非常に向いてる気がします(体型的にはトリスタンも×だけど、それはそれ)。それにしても、コーラスがいい!決してばらばらにならず、台詞もはっきり聞こえ、とてもレベル高かったです。うんまい。コーラス150点!

Wolfram役のChristoph Pohlもよかった。羊追いの少年のHilaはちょっとイマイチ弱かったですが、Elisabeth役のHeidi Meltonも、いい声していましたし、健気で。こうやってコンサート形式で余計な演出などに一切気をとられず演奏に集中できるのは貴重です。諸事情でトリスタンとパーシヴァルにいけなかったのが悔やまれます。それにしてもルンニクルス、1日の間もおかず、全く毛色の異なる演奏とは恐れ入りました。


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