Die Mondsonde -イギリス航海日誌-

2011年春よりLondon勤務。WEのミュージカルと日々の生活を綴ります。
Twitterはmondsonde。

Arena di Veronaで見るリゴレット -イタリア旅行(1) ヴェローナ編2013.08.23-

2013-10-19 20:45:50 | イギリス国外旅行
夏休み、4連休を取ってイタリアまで行ってきました。8月のはなしですが。3泊4日でヴェローナ、ベネチア、フィレンツェをめぐる、結構強行軍(笑)都市間の移動が車だったので、タイムロスが少なかったのが幸いです。


ヴェローナ。
弧をえがくようにヴェローナを囲むアディジェ側からみた風景。市街地は右側。


今回のイタリア旅行、メインイベントは実は初日の夜、ヴェローナでのオペラ鑑賞。Proms同様、ヴェローナでも夏に音楽の祭典(というかオペラなんだけども)が開かれるのですが、それがなんとローマ時代の遺跡のアリーナを使って上演されるんですね。開演は9時、アリーナの1/3くらいを舞台にして行いますから、大げさな仕掛けができることでも有名で、アイーダとか本物の象がでてきたりするそうです。
http://www.arena.it/en-US/arena/opera-festival-2013.html#.UizJtr6OLFg

朝7時の飛行機だったので、ヴェローナについたのはまだ午前中、オペラが始まる9時までたっぷり街を観光できました。


これが、オペラを上演する舞台となるアリーナ、Arena di Verona。2万人以上入るんだとか。見た目もっと入りそうでしたので、舞台でつぶさなければもっと収容人数上がるのかもしれません。左側の方に、一部外壁が残ってますが、本当に2000年この形を保っていて、使用に耐えうるのは単純に、凄い。野外アリーナだから、2000年間もの間雨も降れば強い日差しのときもあったわけで。。。街の中心に、このアリーナがどっしり構えているのは凄く新鮮でした。他のヨーロッパの都市、って、やっぱりマーケットだったり教会だったり市庁舎だったりが中心になってますし。ヴェローナにももちろんそういった場所はあるのだけれど、それ以上にこのアリーナの威容に圧倒されます。


ヴェローナは、このArena di Veronaの他にもロミオとジュリエットの舞台となった街として名を馳せていて、ジュリエッタの家、とかジュリエッタの墓とか観光名所になっています。


Casa di Giulietta

これは、ジュリエッタの家にある、ジュリエッタのバルコニー。中に入るのにはお金取られます(笑)(6ユーロ)カプレッティ家、ではなくジュリエッタの家になっているところがちょっと悲しい(笑)バルコニーに上がっても、誰か下でまっててもらわないと写真とれないし、ロミオとジュリエットごっこをするには観光客であふれかえっているので、ちょっと恥ずかしいにもほどがある・・・(笑)ちなみに、シェイクスピアはヴェローナを訪れたことはないそうですが。ジュリエッタの家自体は、結構奥行きが深く、ジュリエッタのバルコニー以外にもいくつもの部屋を見ることができるので、まあ、よかったかも。壁や天井の装飾が綺麗でした。バルコニーに面したところは中庭になっていて、そこにジュリエッタの銅像があるのですけど、なんだか観光客がみんなお触りしていて微妙だったわ。ロミオ以外触るの禁止、とジュリエットも言いたいことでしょう。余談ですが、ヴェローナに行く前日のPromsのプログラムが奇しくもロミオとジュリエットの序曲でした。ロッテルダム管の演奏は、個人的にはかなりイマイチで、面白味と緊張感に欠ける序曲だったのが難点でした。



他にも、エルベ広場付近にある綺麗な階段、ダンテの考える人(笑、招かれてこの都市で神曲を書いたのだとか)、スカラ家の墓(ミラノじゃないよ)時計塔など。小さいながらに街の中心地にぎゅっと凝縮されてます。ちなみに、エルベ広場は元々集会や処刑(!)等に使われていたそうで、広場の真ん中のランドマークには鎖がついてるんですよ。こわ・・・。交通の要衝としてローマ時代から栄えたこのヴェローナ、アリーナだけでなく道の名前にも「ローマに至る道」なんてついていたり、地面の下にローマ時代の遺跡があったり、ローマ時代からの城壁が残っていたりします。


街の中心部からちょっと外れると、カステル・ヴェッキオという、川に面した12世紀の古いお城(現在は美術館で、宗教画がこれでもかとあります)があったり、サン・ゼーノ・マッジョーレ教会という素敵な教会があったりします。カステル・ヴェッキオは中に入らずともスカリジェッロ橋を渡ってみると中世の雰囲気が感じられるかも(笑)


Basilica di San Zeno Maggiore

ヴェローナの守護聖人である聖ゼーノの名を冠するロマネスク様式の教会。観光客も少なく、静かな教会でした。写真の通り、外は晴天、28度の予報でしたけど日差しが強くて強くて。ひいひいいいながらたどりついた教会の中は光と影のバランスが美しく、そしてとても涼やかな空間でした。気にいった。この正面の写真、一番上の三角形のファサード部分は真っ白に見えますが、実は薄く彫ってあるらしく、特殊な光線をあてないと見えないのだとか。これは、ずっとヴェローナ市民も知らず、つい何年か前の修復作業中に偶然発見されたのだとか。色々な角度からみましたけど、やっぱりみえず(笑)しかし、教会という、昔の時代は文字が読めない市民のために絵やレリーフなどで信仰を表現していた場にあってなぜ正面に見えないものを浮き彫ったのでしょう?心の目で見よ、ということ???


教会内部。ファサード裏には銅でできたサン・ゼーノの生涯を表す巨大な扉がありました。それからファサードのバラ窓。ステンドグラスもなにもない窓ですが、それがかえって教会内部にこんな美しい光を生み出すことに。


そんなこんなでアリーナ脇のイタリアレストランでヴェローナの甘口ワインであるアマローネをいただきながら夕食を食べ(それまでにジェラート2回、グラニテ1回たべてしまた。暑くて)、時間も潰れたところで9時の開演を待ちます。レストランは、オーナーがいきなりアリアを歌いだしちゃったり(無駄にいいテノールだった!)、ご飯もとてもおいしかったりで大満足。みんなオペラを見に行くので、きちんと間に合うようにサーブしてくれます。




レストランのサービスプレート。これ、ヴェルディのお皿なんですよ。有名なオペラのシーンを描いたものですが、いくつわかるかな?ヴェルディよりワーグナーが好きな私としてはワグナーのこういうプレートがあったら速攻買ってるな。指環だけのプレートでもいいし、タンホイザー、トリスタン、マイスタージンガーなどの詰め合わせも素敵(実は、今回の同行者はオペラ仲間なるも元イタリア駐在で、イタリアオペラ至上主義、ワグナーよりよほどヴェルディやドニゼッティの方がすき、という人で、いつもワグナー大好きな私とは言い争いになるのです(笑)。なので、その人は例によってワグナーのお皿だったら買わないよーとか言うし。いいんですよ、私が買うんだから、あったらだけど。


みんな色々なところから見にくるんですね。レストランで一緒になった人はザルツブルクから来たといってたし、ジェラート食べてたときの隣の人はスイスからだった、オペラで後ろに座った人たちはフランス語話してたました。

そして、9時、暗くなっていよいよ本日の大イベント、リゴレット開幕。
・・・と思ったら、小雨がぱらついて舞台は始まらず(笑)。歌手はともかく、オケも野天ですからね、濡れたら一大事です。15分押して、漸く舞台が始まったのですが(幕がないので、幕が上がるという表現はできず)、なんと最初の宮廷の場面で数小節歌ったところでまたも雨がぱらつき、あっという間に一時休演。歌手も、オケも、潔いほどの舞台の去りっぷりでした(笑)。雨はそののち小雨に変わり、15分くらい振りましたが、劇場のプログラム売り子さんたちもなれたもので、雨が降ったらビニールの簡易レインコートを売り始めました。(これが、上がったらプログラム、後半になって冷えてきたらブランケットと、なかなかやりおるのです)2回目の中断のときは、面倒だったので席に着いたままだったのですけれど、アリーナ席ではウェーブが始まり、観客の一人が歌を歌いだし(これまたしっかりした歌声)、なんだかんだで盛り上がってました(笑)こういうお祭り気分も、音楽祭の一つの要素ですね。

水色っぽいの来てる人はレインコート組(笑)

【本日のキャスト】
The Duke of Mantua:Gianluca Terranova
Rigoletto:Leo Nucci
Gilda:Aleksandra Kurzak
Sparafucile:Paolo Battaglia
Maddalena:Anna Malavasi

Conducted by Riccardo Frizza


今回は、平土間に席をとったので、2000年前の観客のようにアリーナ席からの景色ではありません。これは、2幕と3幕の間にとったもの。マッダーレナ達の本拠地のセットを舞台上で組み立てているところです。舞台のセットの出し入れ口に高さ制限があるため、高いものや大きいものは舞台上で大工工事して立てていくんです。面白い。広い舞台を活用すべく、最初の宮廷のシーンではとにかく大人数が出てくるし(笑)ジルダをさらいに行くシーンも。楽団も、宮廷楽団のように衣装を身にまとって一部舞台の上で演奏していました。3幕なんて、舞台下手から中央にかけて川を作り、そこをジルダとリゴレットが小舟で行くというシーンも。そのときにジルダの手をとって小舟から降ろしてあげるリゴレットが、黒マントをしていたこともあり、オペラ座の怪人みたいでした(笑)


さて、オペラそのものは、レベルが高く、マントヴァ公爵、ジルダ、リゴレットの主役3人、全く申し分なかったです。特にジルダのAleksandra Kurzak。3幕は最後死にゆくシーンも含めて圧巻でした。折しも舞台上には月がでてきていて、夜空の下のアリーナに響き渡る見事なコロラトゥーラを堪能しました。。。。ところで、アレクサンドラ、ロベルト・アラーニャの今の奥さん(であってますかね)で、8月の頭に懐妊を発表したばかりでした。夜公演、しかも雨あがりで寒いなか、刺されたり袋につめられたり、地べた(とはいわないけど)で寝かされたりと、体に触らなかったかしら?とちょと心配になっちゃったのでした(実はブログにアップできていませんが、7月にはロベルトの前の奥さんのアンジェラ・ゲオルギューのつばめも見に行ってたのです、ははは。アラーニャはしばらくみてないな)。マントヴァ公爵は、無邪気な感じが上手くでていましたし、女心の歌もよかった。最後、リゴレットが復讐の完遂を信じているところに響く女心の歌、舞台そでではなく舞台の上のセットの中で歌っていたので、音量が大きかったですが。リゴレットは、イタリアを代表するバリトン、レオ・ヌッチです。レオ・ヌッチのリゴレットですよ。歌も、演技も、文句のつけようがありません。はー。さむかったですがいいものみた。2幕最後にちゃんとアンコールにも応えてくれましたしね(ロンドンでは幕間アンコールなんてないからびっくりしましたけど)。


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