試合は5-3という決勝にしてはレアなハイスコアゲームとなり、2トップの決定力を活かした滝川二が初優勝の栄冠を勝ち取りました。
試合は、前半からお互いに持ち味を活かしたゲーム展開となり、シュート数で劣る滝川二が2トップの決定力を活かし2-0でリードする展開。
後半早い時間で久御山が1点取ればと思っていましたが、9分に滝川二にクロスのこぼれを決められ3-0。直後に久御山が攻め込んで滝川二にカットされるも、フォアチェックから奪い返して、角度のないところからのシュートのこぼれを1年の林選手が詰め1点を返します。しかし、さらに直後に先制点を決めた滝川二の浜口選手が、DFとGKの間に落とすパスを冷静にループで決めて4-1。
これでさすがに勝負ありと思ったのですが、久御山のMF坂本選手や、準決勝で出場停止だったキャプテンの山本選手は悲壮感が漂うどころか、笑顔でチームメイトを鼓舞し続けていました。
一昔前なら、練習昼夜負けている試合中に笑うことは許されなかったと思うのですが・・・。
決してあきらめの笑顔でないことはプレーを見て判るのですが、その笑顔が残りわずかの後半39分に歓喜の笑顔に変わります。
相手ボールになるとペナルティエリア付近に張り付くように引いて守る滝川二の守備陣を、久御山がどう攻めるつもりなのかと思っていましたが、中央から足元にショートパスをつなぐ攻撃で中央を破って4-2。さらにその直後に坂本選手が、やはり中央でつないだパスからシュートを決め4-3。
完全に勢いは久御山で、アディショナルタイムはなんと5分。
しかし、チャンスがあれば攻める姿勢を崩さない滝川二は、土壇場で2トップの樋口選手が2点差に突き放すこの試合2点目のゴール。結局このまま試合終了のホイッスルを聞くことになりました。
準決勝は立正大淞南の守備に手を焼いた上に、それまで7得点していた立正大淞南の加藤選手がGKを抜いた後のシュートを外したことにも助けられ、0-0のPK戦から勝利した滝川二でしたが、決勝は持ち味の攻撃力を発揮しての栄冠となりました。
それ以上に見る人の目を引いたのは、最後まで自分たちの姿勢を崩さない久御山だったのではないでしょうか。
4-1で残り6分(アディショナルタイム除く)から2点を挙げ、その後約10分の攻撃も後ろからロングボールを放り込むパワープレーはせず、後方からビルドアップする攻撃に最後までこだわりました。
坂本選手や山本選手の試合中の笑顔も、これまで自分たちの信じてやってきたことで決勝の舞台に立てたことを喜んでプレーする表れなのだろうと思います。それをさらにあのような大舞台で形にすることができるのは見事という他ありません。
とにもかくにも、これで2005年大会に滋賀県代表の野洲高校が初優勝して以降、6年連続の初出場校の輩出となりました。
ちなみにその前の10年間は、1996年から静岡学園・鹿児島実業(両校優勝)、市立船橋、東福岡、東福岡、市立船橋、国見、国見、市立船橋、国見、鹿児島実業。なんと、5校しか優勝していません。しかし、ここ6年は上記の6校で決勝進出したのは5年前の鹿児島実業が最後です。優勝校の都道府県も、流経大柏の千葉県を除くと、滋賀、岩手、広島、山梨とバラエティに富む顔ぶれとなっています。
その前はやはり国見に帝京、清水三校(清水東・清水商業・東海第一)に、四中工や武南、南宇和などの名門が合間に優勝する程度。20年はブランド校の時代だったといえるでしょう。
さらにその前になりますと、浦和勢、藤枝東に広島を加えたサッカー御三家に千葉や大阪が絡む程度でした。
こうしてみると、下記の様な趨勢が見て取れます。
・戦前:御影師範や神戸一中の兵庫勢の時代。
・戦後~1960年頃まで:兵庫勢、広島勢の後、埼玉(浦和)勢が頭角を現す。
・1960年代:藤枝東の初優勝以降、埼玉・静岡・広島の御三家時代。
・1970年代:浦和南(埼玉)・帝京(東京)・古河一の三強時代。
・1980年代:帝京・清水勢の後、国見が台頭。
・1990年代??2004年:国見・市立船橋・東福岡・鹿児島実業の4強時代。
こうした趨勢があるのには、上記の1960年頃まではサッカーが盛んな地域が偏っていたこと、それ以降はそれに加えて優れた指導者がいる特定の学校に才能のある選手が集まったことが挙げられるでしょう。
現在は、上記の実績を出した大物指導者がほぼ引退してしまったことがまずあるかもしれません。帝京の小沼監督や鹿児島実業の松沢監督、国見の小峰監督などなど。
さらに、Jリーグが当初の10チームから30チームを超え、全都道府県の半分近い地域にサッカークラブができ、少年期からの底上げが図られたことがあります。2年前の広島皆実の優勝にはJリーグの広島のユースに進めなかった選手が多いと聞きます。
一方ではそのJクラブのユースに進路を求めて、高校で跳びぬけたレベルの選手は高校の部活でプレーしないケースが増えていることもあるでしょう。現に、超大物を要するチームよりも、全体的に個人技がありパスをつなげて、かつしっかり走れるチームが多いと思います。
指導者も、実際に高校サッカーを経験した年代が教師となり、かつ情報量も格段に増え、底上げされていると思います。特定の大物指導者の下に集まらなくても、質の高い指導者・チームメイト・練習環境で技術を向上できるようになったと考えてよいでしょう。
この6年が群雄割拠の時代の始まりなのか、新しい強豪校の時代の始まりなのか、あと数年見ないとわかりませんが、かつての強豪校がうかうかできない底上げされたレベルであることは間違いありません。
試合日程が緩和されたり、決勝戦が準決勝と間を空けて休日に行うようになった改革も、見る側には良いですね。
今後も高校サッカーは、自分にとってドキドキワクワクのイベントであり続けてくれそうです。
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