もむでんブログ

自分で考えさせる

山本昌邦氏の話の後半です。
と言いましても、3日経ちましてかなり忘れかかっていますので、前回よりもかなりボリューム的に少ないことをご容赦ください。

●監督は役者・医者・易者である
山本氏いわく、監督は、選手の前で演じること=役者、選手のコンディションを管理すること=医者、ある程度の将来を予想すること=易者だそうです。
特に「役者」の部分は、選手たちと接する部分で、どう伝えるか、どう感じてもらうかを考え抜くようで、色々な裏話を交えて話して頂きました。
例えば、モチベーションをアップさせるために、選手の家族に事前に会っておいて(多分スタッフが手分けしているのでしょうが・・・)選手へのメッセージカードを書いておいて貰い、移動中のバスの中で配って読ませるような演出もしたそうです。感極まりすぎて、やる気がピークを過ぎてしまう選手も出てきてしまうようなこぼれ話もありましたが。もちろんそういう際も監督なりコーチ鳴りがケアをするのだそうですが。
監督のライセンスを取得するには、サッカーの理論のみならず、スポーツ医学やスポーツ心理学なども含まれているそうなので、そういうことができるのですね。

●選手にも考えさせる
山本氏ご自身の話ではなくて、女子ワールドカップで優勝したなでしこジャパンの例です。
佐々木監督は、2008年の北京オリンピックでなでしこジャパンを女子サッカー史上初のベスト4に駒を進め、あと1勝で初のメダルというところまでこぎつけながらも2連敗し、その夢は潰えました。
そこで佐々木監督は何をやったかというと、これまで細かに教えていたサッカーをほとんど教えなくなったとのこと。選手は当初かなり困惑したそうですが、澤選手のキャプテンシーを中心に逆にまとまり、自分達でで考えて練習やプレーをするようになり、ワールドカップ優勝という結果に結びつけたのだそうです。

山本氏も選手の失敗に対してすぐに修正点を説明するのではなく、どうすべきだったかを聞くようにするなど、選手に考えさせるようにしているのだそうです。

2002年ワールドカップのキャプテンは宮本でしたが、実は予てよりクレバーな宮本にキャプテンを任せたいと思っていたのだそうで(ルックスもよくマスコミウケしそうとも言っていました)、ミーティングであることをしたのだそうです。
それは、相手チームの説明を監督やコーチがするのではなく、選手に相手の戦術・システム・選手の特徴を説明させるというもの。
サッカーも情報戦は当たり前ですから、それを選手が受動的に教わるのではなく、能動的に学ぶことをさせたかったのでしょうが、山本氏は宮本を指名し、宮本は相手の戦術や選手の特徴などをスラスラと述べたそうです。もちろんこれで宮本のキャプテンに異論を挟む人はいなくなるでしょう。
実はスタッフは事前に宮本にすべて説明してあったのだそうです。
さすが宮本、と他の選手は思ったでしょうが、実際に引き分けたベルギー戦後に宮本の提案でDFラインを修正して次戦に望んだというエピソードを聞いたことがります。リーダーの言うことを周囲が聞ける環境を作ってあった、自分達で考える下地を作ってあったという意味で、山本氏の裏話には「なるほど!」と思える説得力がありました。

●スポーツにおける組織と企業組織の共通点
選手を叱らなければならないことがあるのは当然ですが、代表選手ともなるとあまり叱られたことがない人が集まるのも当然です。なので、叱る際は本人のプライド等も考慮して、呼び出して周囲に人がいない状況で叱るとのこと。また、あえて一人に悪者の役を背負わせ、皆の前で叱ることにより、間接的に周囲にも注意を促すこともするそうです。もちろん、悪者になってもらった人間へのケアは忘れずにするという前提で。
これは今の企業の組織においてもまったく同じことが言われていますね。
また、監督=社長、スタッフ=スタッフ部門や中間職、選手=ライン部門と考えたときに、現場の選手やスタッフが話し合ったことを、何も知らない監督が現れて違うことを言い始めるのは、会社で社長が突然現れて突拍子もないことを言うのと同じで最悪という話もされており、笑いを誘っていました。
スポーツにおける組織論と企業における組織論は近いものが多いことを納得させられます。

そんなこんなで2回に渡り長文を書かせていただきましたが、まだまだ書ききれなかったことがあると思います。正直、詳細まで思い出せませんので、思い出したタイミングで加筆させてもらうかもしれません。

それにしても、感動的で有意義な講演でした。
できれば、録画して色々な人に見てもらいたいくらいですが、そうすると講演の料金も上がってしまうのでしょうね・・・。
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