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気まぐれ徒然なるままに

気まぐれ創作ストーリー、日記、イラスト

たしかなこと 2 (6)

2020-05-08 17:45:34 | ストーリー
たしかなこと 2 (6)







私のインスタの別アカウント“香織”
これが初めてインスタを始めたら時の古いアカウント

こちらのアカウントではプライベートな事を投稿してきた

そのアカウントの方のフォロワーに毎回必ずコメントをくれる印象的な男性がいる

そのフォロワー男性は “グレン”さんというハンドルネーム

カメラが好きなのか一眼レフで撮影した素敵な写真をアップしている方で、記事が更新されるのをいつも楽しみにしている

花の接写や綺麗な色の鳥の写真の中で列車や列車から見える景色の写真が多くて鉄道写真マニアさんなのかも?と思っていた

そのグレンさんが個展を開くとインスタに書いてあった

“へぇ! 行ってみようかな♪”


グレンさんの個展に行ってみるとインスタで見たことのある写真もチラホラあった

スパニッシュ系の男性が女性と歓談していた


あの人がグレンさん??
あ~、やっぱり日本人じゃなかったんだね

日本人とは骨格の作りが違う堀の深いイケメン外国人男性

日本の鉄道好きなスパニッシュ系の男性かぁ(笑)

グレンさんは私の事を知ってる訳じゃない
ただ、インスタでコメントをくれるだけ

声はかけずに帰ろうと思っていた


「この写真の撮影場所は北海道ですよ。」

後ろからグレンさんが声をかけてきてドキッとした


渋い声!(笑)

「そう、なんですね。素敵な写真ばかりですね。」

「来てくれてありがとう。香織(笑)」

ん??
「インスタの香織だよね?(笑)」

えっ!!
「どうしてわかったんですか??」

「どうしてって前に記事にあなたの顔を載せていただろう?僕は女性の顔は忘れないからね(笑)」

「はははっ(苦笑) そうなんですか。」

イタリア(?)男性って私のイメージ通りなの!?

イメージ:イタリアの男性は女性は口説かないと失礼にあたるという考えを持っている
(※私、笹山 香の勝手なイメージ)

「香織、これ」名刺とチラシを渡してくれた

「僕、こういう店もやってるんだ。良かったこちらも来てみてね(笑)」


昼間はイタリアンレストランで夜はバーにもなるお店のチラシ

「グレンさんはオーナーさん?写真家さん?」

「どれも僕さ(笑)」小首を傾け笑った

「香織、待ってるからね!」

イケメンで陽気なノリのスパニッシュ系男性に頭と目がクラクラしながら個展の会場を出た


流暢な日本語だったなぁ
日本に来て長いのかしら

イケメンだった(笑)
鉄道写真マニア? なんだか不思議ね(笑)


それからグレンさんからインスタのメールが送られてきた

来てくれてありがとう、今度は店にも来て欲しい!

この日は女性にはデザートサービスするからね


という内容だった

営業上手〜!私も見習わなきゃ(笑)


女性客限定かぁ…
だったら宣隆さんじゃなく女友達を誘って行ってみようかな!

高校、大学が一緒でずっと友達の美南を誘うことにした




ーーー




美南と会うのは久しぶり

もう結婚もして独身のように気軽に出かけることが容易ではなくなってしまったから久しぶりに友達と食事に行けることを満喫したいようでワインが飲みたいと注文をした


「おぉ!香織♪お友達と来てくれたんだね(笑)」
グレンさんから声をかけられた

美南がワクワクした表情をしてグレンさんを見つめていた

グレンさんを紹介したけど、会ったの2回目だよ?と言うと美南は外国人は距離詰めるの早いよねぇと楽しそうに笑った


美南には宣隆さんのことを話していた
画像はないの?と聞かれ見せると


「50代半ばだっけ?10ぐらい若く見える。美容師みたい。」

あぁ!なるほどね!
「とても優しいんだよ♡」とノロケると

「…なんかコワモテ(強面)だね(笑) ふぅん、優しいんだ(笑)」


「コワモテ… かなぁ…?? 全然恐くないよ? ガーデニングとか天体観測とか趣味だし!」

「ギャップあるね(笑) ギャップに惚れたとか?」

「あ、そうかも(笑) 酔うと可愛いんだぁ♡」


可愛いの言葉に美南はニヤニヤした
「まさにギャップね!(笑)」

「あははは♡」

「…あれ? あの人カレシに似てない?」


美南の視線の先にいた男性は背中を向けていた
向かい側には40代ぐらいの綺麗な女性でメニューを見ながら男性に話しかけている


「顔が、、見えないなぁ、、」

その男性の横顔が少し見えた

ん?

「すみません。」店員を呼んだ


えっ…

この低いトーンの声…



「え?なに!? ホントにカレシ??」


平日なのに仕事のスーツじゃない
女性のためにわざわざ着替えたの?


美南が声を潜めて話しかけてきた
「…ちょっと… ヤバくない?」

「… 仕事の服じゃないの。」

「(気になるのそこじゃないでしょ!)」

「ちゃんと顔が見えない… 声は彼に似てるけど… 」

私と美南の視線を感じたのか男性がゆっくり振り返って目が合った



ーー 宣隆さん







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たしかなこと 2 (5)

2020-05-07 09:07:00 | ストーリー
たしかなこと 2 (5)






白川さんはお酒を飲んだので代行業者を呼んで白川さんの家まで私も帰ることになった

まだ酔いから醒めてない白川さんがソファに座るとネクタイを弛めた

「ふぅ~ … 疲れた 」

私の両親への初対面だったから気を張り詰めてたんだよね

水を差し出したら飲みほした

「ありがとう… 香さん… ネクタイ… 取って… 」

え?

「は? はい!」
これは… 甘えてる?
ネクタイを取ってジャケットを脱がせた

「お風呂入ります? シャワーにします?」

「うーん… 」今にも寝てしまいそう

「風呂に… する… 」

お風呂にお湯を貯めると白川さんはフラフラとお風呂場に向かった

あんなに酔っぱらった姿 初めて見た

白川さんが脱衣場から顔を出した
「一緒に入ろうよ… 」

「えぇっ! 入りませんよっ??」

「そう… か」
残念そうにシュンとした表情で顔を引っ込め浴室の扉が閉まる音が聞こえた

びっくりしたぁ… ドキドキが止まらない
一緒にお風呂に入るとか、、そんなこと考えもしなかった

それを望んだ白川さんに驚いた

もしかして今までお風呂一緒に入りたいとか思ってた? ヤダ~もぉ恥ずかしい♡

着替えを脱衣場に持って行き脱いだスーツのズボンを手に取りジャケットと一緒にクローゼットのハンガーにかけた


… あれ?
何も音がしなくなってしばらく経つけど…

気になって扉の前から声をかけたけれど返事がない
扉を少し開いてみたら湯船で固まってた

「ちょ!!ちょっと!!白川さん!!」
慌てて起こすとぼんやり目を覚ました

良かった…
もう!!死んじゃってるかと思った!

「うーん… 」
湯船から出てきて目のやり場が…
タオルで濡れた身体を自分で拭いている

日頃 習慣化していることを身体が反射的にやってるようだ

スポーツジムに通い始めてまだ数ヶ月なのに身体が締まって腹筋の形が出てきて胸板も厚くなってる

50代でも鍛えれば身体は変わるんだな

長く伸びた濡れた前髪を拭いてあげながらドキドキしていた

「君と一緒に入りたかったな… 」
残念そうな低い声のトーンにまたドキッとした

「もしかして前から… 思ってました?」

子供のように小さくコクリと頷いた
酔ったらこんなにも素直だなんて… 可愛い(笑)

「今度は一緒に入ろう? 洗ってあげるから…」

私の髪を撫でながらキスをし抱き締めてきた
まだ湿った肌と熱が伝わって 濡れた髪だけが冷たい

「髪 冷たいですよ、、」
見たことのない彼にドキドキしてしまう

私がドライヤーで髪を乾かしてあげている間
白川さんはされるがまま子供のようにじっとしていた

「直ぐに寝てくださいね!湯冷めしないうちに。」
ベッドまで連れて行くとベッドの縁に座って

「一緒に寝よう」と私の手を掴んで離さなかった

「明日仕事だしまだ終電が動いてるのでもう帰ります(笑)」

そう言うと甘えるように私に抱きついてきた
「嫌だ。帰らないで欲しい。」

あぁ… こういう一面もあるんだぁ~♡
キュンキュンする(笑)

一緒にお布団に入ると1分も経たない間に白川さんは眠りに落ちた

起こさないように そっとベッドから抜け出し

“ 遠慮なくいつでも来てください”
と渡されていた合鍵を使って部屋を出た


ーーー


カーテンから差し込む日差しが眩しくて目が覚めた

飲みすぎた… 頭が痛い
寝過ぎで身体も痛い

確か… 代行を呼んで香さんとここまで帰ってきた所まではなんとなく覚えてるがそこからの記憶が…ないな

もう11時を回っていて香さんは店にいる頃だろう

昨日は嬉しくてつい調子に乗って飲みすぎてしまった
香さんのご両親から結婚を認めてもらって本当に良かった


香さんからLINEが来た

“宣隆さん、昨日お風呂で死にそうでしたよ?慌てましたよ!覚えてますか?(笑) ”

えっ?

“覚えてないです。迷惑かけてすみません。”

“じゃあ私に一緒にお風呂に入ろうと誘ったことも忘れてますね(笑)”


「ぐはっ!! (ゲホッ!!ゲホッ!!) 」
飲みかけたコーヒーでむせた

「なっ、なっ!!」
僕はなんてことを言ったんだ!!

震える手で
“すみません ” となんとか返信をした
それ以外 返す言葉が浮かばない

“どうして謝るんですか?謝ることではないですよ? それに酔った宣隆さん可愛くてもっと好きになりました!”

香さん…
あぁ… 胸がキュンとする

“ありがとうございます。愛しています。”

“私もです(笑) お風呂は一緒に入れませんけど(笑)”

やっぱり駄目なんですか
“そうですか。無理強いはしません。”

“そんな残念そうな顔しないでください(笑)”

えっ!?
もちろんここには香さんはいないのに咄嗟に周りを見渡した

“何故残念そうだと思ったんですか?”

“昨日お断りしたら宣隆さん、とてもしょんぼりしちゃったので(笑) きっと今もそうかなって(笑)”

カーッと顔が熱くなった
しょんぼり… していた? いい歳して恥ずかしい…

“なぜ駄目なんでしょうか ”

“そんなの、恥ずかしいからに決まってるじゃないですか(笑)”

恥ずかしい?
“貴女の身体はもう知ってるのに?”

“宣隆さんって実は羞恥プレイ好きなんですか?”

「は!?」
しゅっ、しゅう… ち…
香さんからそんなワードが出てくるなんて!

い、いかん、動揺してしまった

“貴女が嫌がることを強要したりはしません。安心してください。”

“心の準備ができたら、いいですよ。”

いいですよって… いいの!?
“心の準備、早めにお願いします!香さんの髪を洗ってあげたいので。”

もちろん 髪だけじゃないですけど… ね






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たしかなこと 2 (4)

2020-04-30 21:55:00 | ストーリー
たしかなこと 2 (4)






仕事の時と同じスーツに髪もきちんとセットして仕事の時に見てきた硬い白川さんが少し緊張気味で私を迎えに来てくれた


なんだか会社勤めしていた頃を思い出す

黙ってると本当に気難しい人のよう(笑)


「何でしょうか?」


「いえ、スーツの白川さん、なんだか懐かしいなと… ふふっ(笑)」


「どうですか?変な所はありませんか?」


「無いですよ?(笑)」

そんなに緊張しなくてもいいのに


今日は白川さんが私の両親に初めて会う日

両親には白川さんのことを事前に話してある

白川さんの年齢を言うと父は難しい顔をしたけれど母はそんなの気にすることないわよと喜んでくれた


兄と母は性格も顔もよく似ているし母は認めてくれると期待はしていた

父の反応は「まずは会ってからだ。」だけだった



父は地味で真面目なサラリーマン
白川さんのようにヘッドハンティングされるような優秀なサラリーマンということもなく


出世や昇進にも興味はなかったようで地味に真面目にコツコツ仕事をして今の地位にいるという感じ


見た感じも本当にどこにでもいる初老のおじさん

しゃれっ気もなく休日はただ家でゴロゴロとしている



趣味もやってアクティブな白川さんとは正反対

もう直ぐ60になる父と白川さんは6、7歳しか違わないのに

正直 父と白川さんが合うような気がしないから不安で仕方がない



でももっと不安に思ってるのは白川さん本人よね


白川さんには事前に両親の情報は入れてる

白川さんならなんとか上手く説得してくれるんじゃないかと…


「ただいま!」

実家の玄関を開けたら
母がにこやかに迎え入れてくれた


父の表情は…
滅多に表情を変えないからわかんない!


「どうも。初めまして。娘がお世話になっております。」

あぁ...
いつもと変わらない父

私まで緊張してきた!


「初めまして。白川 宣隆と申します。」

今まで会社で見てきたいつもの硬い白川さんだった

でも相当緊張しているはずなのにそうは見えないのはさすが



「香さんと結婚を前提に真剣にお付き合いをさせていただいております。」

あぁ、ドキドキする…


「うん。白川さんは香のどこが良くて結婚したいと思っているのですか。」


えっ!? いきなり!?
「ちょっと、お父さん!」

「具体的に良い所をあげるとなるとキリがありません。良い所も、駄目な所も全て私には魅力的に感じます。それに一緒にいて気持ちが安らぎます。気負いなく自分らしくいられます。香さんもそうであって欲しいと私も努力して参ります。」


あぁっ、、顔から火が出そう… !!
ん?駄目な所??


「そうですか。」

あ、あれ? それだけ??


「ところで。白川さんは健康管理はしていますか?」


健康管理?


「はい。今までも食事には気をつけて参りましたが、最近はジムに通うようにしました。人間ドックも毎年受けています。特に問題箇所はありません。」


確かにジムに通い始めたけど…


「ほぉ。」


話が見えない...


「ではきちんと先々のことを考えているということですね?」

「はい。香さんのことも含め考えています。」


あぁ…
親ほどの年齢だから気にしてくれてたんだ

それでその質問...



「まだ昼間ですが酒でも飲みますか?」

「ええ、是非(笑)」


お母さんはもう準備してあったようで
つまみになるものが用意できていた


二人はまだ午後2時半を過ぎたばかりなのにお酒飲み始めた

なんか… 70年代の音楽の話をしてる
案外 和気あいあいと...



おじさんトークを聞いていたお母さんが
「気に入ったみたいよ?お父さん(笑)」

「みたいだね... 意外… (笑)」

「なんだか友達みたいね(笑)」


正反対なライフスタイルに
正反対なタイプなのに

時々二人の笑い声が台所まで聞こえてきた

父が笑っているなんて何年ぶりに見ただろう



「はぁ~っ、ホッとしたぁ~」

「私は大丈夫だと思ってたけどね(笑)」と母は笑った

「でも本当に真面目な人ねぇ(笑) 香にしては硬い人を選んだわねぇ(笑) 」


あー… 
あの仕事の格好であの喋り方だからそう思うよね


「でもね?私が恥ずかしくなるくらいロマンチストな人なんだよ(笑)」

「へぇ!(笑) 意外!」

「本当に優しいし大人で紳士的だしオシャレだし。」

「オシャレ??」どこが?と思った顔をした

あのビジネススーツ姿だけじゃわからないか...(笑)


あ、そうだ!


「写真見る?」

スマホのアルバムに入っている白川さんを見せた


太縁の黒眼鏡に無造作で長い前髪が顔を隠してるけど、黒のエプロンをして白いシャツの腕をまくってるお料理中の白川さんの画像や、デートをしてる時のリネンのネイビージャケットと白いTシャツにウォッシュドデニム姿の爽やかな白川さん

母はニヤニヤした

「えへへぇ~意外!(笑) 料理もするの?格好良いじゃないの(笑) あ!ほら、あの人みたい!ドラマに出てた、あの、あの、」


「誰よぉ~(笑)」


「“きのうなに食べた?” ってドラマの!」

「どっち?西島さん?」

「違う違う!眼鏡でヒゲの、あ!内野聖陽って人!」

「え~? 全然違うでしょ~?(笑) 白川さんの方がもっと優しい顔してるよ(笑)西島さんにも似てないけど(笑)」

「料理作ってるからそう見えるのかしら??」

だったらシロさん役の西島さんにならない?(笑)


「ほんと素敵ねぇ(笑) お父さんと全然違うわ!(笑)」

スマホの白川さんをまだニヤニヤしながら見てる


「仕事も凄くできるしね!でもほら、会社ではあの硬い見た目で全然笑わない(笑) 私語も話さないし恐がられてる(笑) ふふふっ!」


「私語も話さない人とどうして “恋仲” になったの?」


あ、まぁそうだよね(笑)

たまたま電車で偶然会って一緒にショッピングに付き合ったことから始まって次に食事に誘われたこと、流星群を見に行ったことを話した

まるで恋愛ドラマを見ているようにニヤニヤしながら黙って聞いていた母がまたスマホの画像を見た


「へぇ~ロマンチストなのねぇ♡ 素敵♡」

「でしょ!…というか、私の旦那さまになる人なんだからね(笑)」

「私の息子になるのよねぇ(笑) わかってるわよぉ(笑)」


息子って!(笑)

お母さんと白川さんは2歳しか変わらないから“息子”という言葉の違和感が凄い






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たしかなこと 2 (3)

2020-04-27 22:39:33 | ストーリー
たしかなこと 2 (3)





白川さんの優しさも理性的な大人の男らしさも全然変わらないけれど少し心配性?になった気がする


「僕が奥に運びますから、香さんは別のことをしていてください。」


私の店の重い荷物を運ぶのも今まで全て一人でやってきたから慣れてるのに

白川さんの会社が休日の日はお店を手伝ってくれる

少しの時間でも私と一緒にいたいからと言ってくれる白川さんがちょっと可愛いなって思う


「ちーっす!たけのこ持って来てやったぞー!」


あぁっ!!
兄ちゃんが来た!!
ウチに持って来るって言ってたのに!!


店の奥から出てきた白川さんと兄ちゃんはバッタリ目が合った


兄ちゃんにはまだ白川さんのこと話してなかったのに!!

兄ちゃんは白川さんのことを業者とでも思ったのか気に留める様子もなく


「あ、ども。」

一言言って
たけのこを私に手渡した

「冷蔵庫に入れとけよ。あく抜きしてるって言ってたから直ぐに調理できるそうだ。」


白川さんを見たら白川さんは少し顔が緊張していた


「香さんのお兄さん、ですか。」

「… え? はい。 え??」


わぁ!!どうしよう!!


「兄ちゃん、あ、あの、こちら、、白川さん、、」

「どうも…(?)」


私とどういった関係なのか全く理解できていない表情で私を見た


「私、香さんとお付き合いをさせていただいています、白川と申します。」

白川さんらしく丁寧に頭を下げた


兄ちゃんは驚いた表情で私と白川さんを交互に見て

「え?付き合いって、、え?カレシってこと??」

「真剣に結婚を前提にお付き合いをさせていただいております。」

「は!? 結婚っ!?」更に驚いた

「はい。」


真剣な表情で兄ちゃんの目を見つめている


兄ちゃんは頭を掻きながら
「えーっと… 白川さん、だっけ?」

「はい。」

「独身?随分 香と歳が離れてるんじゃ…」


やっぱり…
反対するよね…


「私は独身です。彼女とは22歳離れています。でも私は、」

「いやいや、俺は別に反対って訳じゃないっすよ、白川さん(笑)」

馴れ馴れしく白川さんの肩をポンと叩いた

え!? 兄ちゃんが反対しない!?
白川さんは驚いて何度もまばたきをした


「そうだったかー。いやなんかね、最近こいつ生き生きしてきたし、なんかちょっと綺麗になってるからカレシでもできたんじゃないかって、俺の嫁が言ってたんっすよね(苦笑)綺麗ってとこは俺にはわかんなかったけど(笑) 」

驚く私の顔を見てニヤッとした

「そんだけ幸せってことだろ? だったら俺は何も言わない。カレシ、独身なんだから問題ないじゃね?(笑)」


兄ちゃんの意外過ぎる反応に拍子抜けした


「あぁっと!俺、時間ないから、じゃっ、白川さん、また!たけのこ直ぐに冷蔵庫入れとけよ!」

慌てて店を出て行ってしまった



白川さんは安堵の表情を私に向けた

「貴女のお兄さんは貴女を大切に想われていますね(笑)」

「え~? そうですか?(笑)」

「貴女の幸せを考えていたし、心から信頼していましたね。」


そう、なのかな

いつもあんなに軽い感じでチャラチャラしてるように見えるけど

「お義兄さんに受け入れてもらえたことは本当に嬉しいです…」

白川さん…
嬉しさを噛み締めてる(笑)


「白川さんが兄ちゃんに “おにいさん” って(笑)ふふっ(笑) 」

20近く年下のあの兄ちゃんに(笑)


たけのこを冷蔵庫に入れていると40代ぐらいの女性のお客さまが来店し

「あの、あれを見せてもらえますか?」

女性は白川さんを店員か店主だとでも思ったのか棚の上部にある飾り花が沢山入った透明の箱を指さした


「こちら、ですね?」

白川さんは箱を下ろしてカウンターに乗せてそこからは私が対応をした


お客さまには白川さんは店の人間に見えている

私も初めてプライベートで偶然会った時、どこかのショップ店主に見えたのだから当然だろう

ここにいて邪魔じゃないですか?と気にする白川さんに珈琲を入れた

店主だと言っても違和感がないほどだと言うとサービス業は学生の頃のアルバイトしか経験がありませんと白川さんは微笑んだ

白川さんは会社では笑わないキャラで無駄話を一切もしないから堅物で冷たそう、恐そうという印象を持たれている

本当はこんなに優しく笑う人だということを誰も知らない



再婚したら会社の人に報告するのかと聞くと上司には報告するけど他には言わないつもりだと微笑んだ


インスタは会社の人も見てるからインスタに写真はアップしないと言うと白川さんは少し考えて


「わかりました。では皆さんにも報告することにします(笑) 何故公表しないでおこうと考えたのかと言いますと、、どういった経緯で貴女と結婚に至ったのか、どういうデートをしているのかなどを詮索されることは避けたかったからです。それは照れくさいですから…(笑) 」


白川さんらしい(笑)


「決して公表が嫌だという訳ではないので。いけない、、その前に貴女のご両親に了解をいただいてからの話ですね(笑)」

白川さんはもうご両親は他界されていて
家庭を持っている弟さんがいると聞いていた

私の両親は結婚に難色を示してくるだろうと内心覚悟はしてる

もしかして? 案外兄ちゃんみたいにアッサリと認めてくれるかもしれないけど...








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たしかなこと 2 (2)

2020-04-25 23:00:00 | ストーリー
たしかなこと 2 (2)





白川さんと久しぶりにデートらしくプラネタリウムを見に行った

カップルシート座り 白川さんの男性的な厚みのある大きな手が私の手を包んだ

この手が私に安心感を与えてくれる
守ってくれているようで…


プラネタリウムを出て車に乗り込んだ


夜の車中は密室感があって
二人の距離がより近く感じる

ハンドルを握る手の血管や腕の筋肉の筋が“男”ということを私に意識させているようでほんとドキドキする


「カップルシートってちょっと照れました(笑)」

「また行きましょう。」


この落ち着いた低い声が好き…


「はい、是非… またカップルのシートが良いです…

なんとなく照れちゃうな


「困りましたね… そんな可愛い顔されるとキスしたくなるじゃないですか(笑) 今、運転してるのに(笑)」

顔が火照ってきた

もういい加減慣れてもいいのに
この人のこういう言葉はいまだに照れてしまう


「じゃあ信号が赤になったら… 」

「わかりました。」


これからキスしますよって予告が
ますますドキドキさせる


あの時の
流星群を見に行った帰り道を思い出した

次は赤になるようにと願っていた頃の白川さんと今の白川さんは違う人みたいに余裕が…

あ…
車は信号で停止した

白川さんはあの頃と違い
躊躇なく両手で引き寄せられ甘いキスをしてきた


ーー あっ…


信号は青になって白川さんは何事もなかったかのように前を向き車を発進させた


ドキドキがおさまらない
以前と明らかに違う


幾ら夜で周りから見えづらいからって車に囲まれたあの状況であんな大胆な…




スタバのドライブスルーで珈琲を購入し夜景の見える埠頭に着いて車から降りた



綺麗だなぁ… 夜景なんて久しぶり



「綺麗ですね(笑)」

「そうだね。」

優しく私を肩を抱かれた
白川さんの手はいつも私に安心を与えてくれる

風に乗って白川さんの匂いとフレグランスが混じった良い香りがした


「白川さんの匂い… 」

白川さんが驚いて身体を離した
「まさか、加… 」

「加齢臭じゃないですよぉ(笑) はははっ(笑)」


今までそういうこと気にしてた?
そんなの気にするなんて意外だなぁ(笑)


「白川さんの匂い好きです(笑) 白川さんが今夜みたいな満月の夜に初めて“月が綺麗ですね”って言ったあの時から… ずっとこの香りに心が惹かれてました… 」


桜の花びらが月明かりで輝く水面で揺れていたあの美しい光景と白川さんの香りがいつも同時に浮かんでくる


「あの時すでに僕は貴女に恋をしていました… 今は… 」


私を見つめる白川さんの手が頬に優しく触れ言葉にならない感情が湧いてきた

「心から愛してる… 毎日こうして貴女に触れていたい 」


え…


「それは… 」

つまり…


「貴女が欲しい。大切にする。だから… 」


だから…?


「僕との結婚を考えてもらえないだろうか。」


えっ!!


「愛してるんだ… 貴女を」

愛してるって言葉を今まで言われたこともあるし言ったこともある

でも今のこの感情が本当に “愛してる” ってことなんだと思う


私… 白川さんと結婚したいと
すっと思ってた


「返事、 」

「直ぐじゃなくても良い。よく考えてから返事をして欲しい。」


白川さんも私との結婚を考えてくれていた事が嬉しかった

白川さんは再婚になるし年齢差もあるからきっと真剣に慎重に考えた末の プロポーズなんだと思う…



「返事はいつでもできます。」

「今じゃなくても、、いいんですよ、、」


いつも余裕のある大人の男性の白川さんがこんなに自信なさげに見えるのは初めて…

「どうしてそんな自信のない顔するんですか?白川さんらしくないですね(笑)」

「自信なんて元々無いですよ(笑) 年齢差もありますから。」


やっぱり…
でもそんなこと始めからわかってることだし


「結婚したいです(笑) 私で良ければ(笑)」


「…え?」

「え?」

「ほんとに?」


まるで予想もしていなかった返事を貰ったかのような白川さんの動揺に私も驚いた



「えっ、ええ、、はい(笑)」

「ありがとう… ありがとう…」

泣きそうな表情をして私を抱き締めた


「嬉しいです(笑)」

そう言った私の言葉に更に強く抱き締められた


「必ず幸せにします!」

「今までも幸せでしたよ(笑)」

「もっと、もっともっと沢山です!」


嬉しそうな声…
これだけで充分 幸せだよ

白川さん…







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