気まぐれ徒然なるままに

気まぐれ創作ストーリー、日記、イラスト

たしかなこと 2 (5)

2020-05-07 09:07:00 | ストーリー
たしかなこと 2 (5)






白川さんはお酒を飲んだので代行業者を呼んで白川さんの家まで私も帰ることになった

まだ酔いから醒めてない白川さんがソファに座るとネクタイを弛めた

「ふぅ~ … 疲れた 」

私の両親への初対面だったから気を張り詰めてたんだよね

水を差し出したら飲みほした

「ありがとう… 香さん… ネクタイ… 取って… 」

え?

「は? はい!」
これは… 甘えてる?
ネクタイを取ってジャケットを脱がせた

「お風呂入ります? シャワーにします?」

「うーん… 」今にも寝てしまいそう

「風呂に… する… 」

お風呂にお湯を貯めると白川さんはフラフラとお風呂場に向かった

あんなに酔っぱらった姿 初めて見た

白川さんが脱衣場から顔を出した
「一緒に入ろうよ… 」

「えぇっ! 入りませんよっ??」

「そう… か」
残念そうにシュンとした表情で顔を引っ込め浴室の扉が閉まる音が聞こえた

びっくりしたぁ… ドキドキが止まらない
一緒にお風呂に入るとか、、そんなこと考えもしなかった

それを望んだ白川さんに驚いた

もしかして今までお風呂一緒に入りたいとか思ってた? ヤダ~もぉ恥ずかしい♡

着替えを脱衣場に持って行き脱いだスーツのズボンを手に取りジャケットと一緒にクローゼットのハンガーにかけた


… あれ?
何も音がしなくなってしばらく経つけど…

気になって扉の前から声をかけたけれど返事がない
扉を少し開いてみたら湯船で固まってた

「ちょ!!ちょっと!!白川さん!!」
慌てて起こすとぼんやり目を覚ました

良かった…
もう!!死んじゃってるかと思った!

「うーん… 」
湯船から出てきて目のやり場が…
タオルで濡れた身体を自分で拭いている

日頃 習慣化していることを身体が反射的にやってるようだ

スポーツジムに通い始めてまだ数ヶ月なのに身体が締まって腹筋の形が出てきて胸板も厚くなってる

50代でも鍛えれば身体は変わるんだな

長く伸びた濡れた前髪を拭いてあげながらドキドキしていた

「君と一緒に入りたかったな… 」
残念そうな低い声のトーンにまたドキッとした

「もしかして前から… 思ってました?」

子供のように小さくコクリと頷いた
酔ったらこんなにも素直だなんて… 可愛い(笑)

「今度は一緒に入ろう? 洗ってあげるから…」

私の髪を撫でながらキスをし抱き締めてきた
まだ湿った肌と熱が伝わって 濡れた髪だけが冷たい

「髪 冷たいですよ、、」
見たことのない彼にドキドキしてしまう

私がドライヤーで髪を乾かしてあげている間
白川さんはされるがまま子供のようにじっとしていた

「直ぐに寝てくださいね!湯冷めしないうちに。」
ベッドまで連れて行くとベッドの縁に座って

「一緒に寝よう」と私の手を掴んで離さなかった

「明日仕事だしまだ終電が動いてるのでもう帰ります(笑)」

そう言うと甘えるように私に抱きついてきた
「嫌だ。帰らないで欲しい。」

あぁ… こういう一面もあるんだぁ~♡
キュンキュンする(笑)

一緒にお布団に入ると1分も経たない間に白川さんは眠りに落ちた

起こさないように そっとベッドから抜け出し

“ 遠慮なくいつでも来てください”
と渡されていた合鍵を使って部屋を出た


ーーー


カーテンから差し込む日差しが眩しくて目が覚めた

飲みすぎた… 頭が痛い
寝過ぎで身体も痛い

確か… 代行を呼んで香さんとここまで帰ってきた所まではなんとなく覚えてるがそこからの記憶が…ないな

もう11時を回っていて香さんは店にいる頃だろう

昨日は嬉しくてつい調子に乗って飲みすぎてしまった
香さんのご両親から結婚を認めてもらって本当に良かった


香さんからLINEが来た

“宣隆さん、昨日お風呂で死にそうでしたよ?慌てましたよ!覚えてますか?(笑) ”

えっ?

“覚えてないです。迷惑かけてすみません。”

“じゃあ私に一緒にお風呂に入ろうと誘ったことも忘れてますね(笑)”


「ぐはっ!! (ゲホッ!!ゲホッ!!) 」
飲みかけたコーヒーでむせた

「なっ、なっ!!」
僕はなんてことを言ったんだ!!

震える手で
“すみません ” となんとか返信をした
それ以外 返す言葉が浮かばない

“どうして謝るんですか?謝ることではないですよ? それに酔った宣隆さん可愛くてもっと好きになりました!”

香さん…
あぁ… 胸がキュンとする

“ありがとうございます。愛しています。”

“私もです(笑) お風呂は一緒に入れませんけど(笑)”

やっぱり駄目なんですか
“そうですか。無理強いはしません。”

“そんな残念そうな顔しないでください(笑)”

えっ!?
もちろんここには香さんはいないのに咄嗟に周りを見渡した

“何故残念そうだと思ったんですか?”

“昨日お断りしたら宣隆さん、とてもしょんぼりしちゃったので(笑) きっと今もそうかなって(笑)”

カーッと顔が熱くなった
しょんぼり… していた? いい歳して恥ずかしい…

“なぜ駄目なんでしょうか ”

“そんなの、恥ずかしいからに決まってるじゃないですか(笑)”

恥ずかしい?
“貴女の身体はもう知ってるのに?”

“宣隆さんって実は羞恥プレイ好きなんですか?”

「は!?」
しゅっ、しゅう… ち…
香さんからそんなワードが出てくるなんて!

い、いかん、動揺してしまった

“貴女が嫌がることを強要したりはしません。安心してください。”

“心の準備ができたら、いいですよ。”

いいですよって… いいの!?
“心の準備、早めにお願いします!香さんの髪を洗ってあげたいので。”

もちろん 髪だけじゃないですけど… ね






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