過去記事(→「10月は心揺れて」)で挫折しそうなことを書いていた、
額賀澪『沖晴くんの涙を殺して』(双葉社)を読了・・・
最後は一気読みでした。
(長いこと、下書きに入っていた、以前の記事です。お許しを!)
正直、盛り込み過ぎな気はしますが、
それでも、額賀さんらしい、心に響く、青春小説です。
(書影はわたしの好きな・額賀作品です。
版元ドットコムより使わせていただいております。)
大病の告知を受けた、26歳の京香。
故郷の海辺の街に、仕事も恋人も捨てて、戻ってきた。
その日、不思議な高校生・沖晴(オキハル)と出会う・・・
沖晴は何をやらしても最高の成績を収め、いつも笑顔。
彼は、北の海で津波に呑まれた折、死神と取引し、
ネガティブな感情をなくしたたのだと語る・・・
ところが・・・というお話。
主人公は、高校生の沖晴と元高校教員の京香の二人。
それぞれの章が、現在→回想へとつながっていく造りです。
正直、内容的には、もう少し整理すべきかもしれませんが、
生きていく上で、大事なことがバンバン突き刺さります。
もろもろ語りたいことはありますが・・・
ひとつだけ。
わたしが一番惹かれたのは、京香の祖母・魔女さん。
冒頭、京香の葬儀で、「旦那さんも、娘さんも、孫まで先に死んでしまう、
かわいそうな人だ」と、会葬者からウワサされます。
でも・・・彼女は、「泣きたいときは、あとで泣くから」と
涙ひとつ見せず、カフェを切り盛りし、死の告知を受けた孫を見守ります。
そのうえ、ひとり暮らしをする、ワケアリの少年・沖晴にも気を配って・・・
かっこいい73歳(冒頭時点)の女性です。
お恥ずかしいですが、読んでいるうちに「魔女さん」が
我が母親と重なってしまいまして・・・。
今でこそ、元気にしていますが、わたしはサバイバー。
母親や祖母にしてみれば、娘や孫が、そんな状況になるなんて
辛いことですよね。
あのとき、気丈な母は、洗い物をしていて・・・
こちらには、背中を向けたまま「気持ちで負けちゃダメよ!」と・・・
その肩は震えていました。
わたしが闘病生活に入ると、口では厳しいことを言うくせに、
何くれとなく
世話を焼いてくれたものでした。
その姿が、「魔女さん」と重なりました。
・・・ああ、ダメだ、これから用事があって
母に電話をするつもりだったのに、
こんなに涙が出ちゃ、かけられない・・・
(「ウズタマ」ってなに!?w 表紙にヒントが・・・)
『沖晴くんの涙を殺して』・・・
ヒロインが「大病を」患っていると明かされたときは、
サバイバーのアタクシとしては、
辛くて投げそうになりましたが・・・
読んで良かった・・・
でも、タイトルが覚えられません・・・w
「沖晴」という名前に意味があることはわかるのですが・・・
ここでも、損をしているような気がするのは、考えすぎでしょうか・・・
さて、書影は版元ドットコムより使わせていただいているのですが
検索をしたら、読んでいない額賀作品が、
まだいくつかあることに気づきました。
これから、ボチボチと読んでみるつもりです。