Kindleで読んだ“大局観”の感想を以下に記す。
この本の題名にもなっている「大局観」は、この本によると、東西南北のどの方向に行けばその組織は生き残れるのかがわかる能力となっている(位置189)。さらに大局観を持ちたい場合は、目線を高くすることが必要で、対象から離れないと、全体像は見えてこない。そのためには、「歴史」と「世界」という縦軸二つの思考軸を活用するのがいちばん(位置203)。
その後で、リーダーに関する記述が書かれている。気にかかった内容を列記すると以下の通り。軸=思考する際の前提条件で、著者の場合は以下の5つ。1.人間は動物である。2.人間はそれほど賢くない。3.人生は「イエス・ノーゲーム」。4..すべてのものは「トレードオフ」。5.「大勢の人」を「長い間」だますことはできない。それと気にかかったのは、「直感の精度」を高める、インパクトは「仕事量×スピード」。色々と思い起こしてみると、いいとこ取りのできない「トレードオフ」に目を向けない(位置410)事が多いように感じる。また、妙な完璧主義で色々とスピードが遅い事も多いように感じる。
本書で書かれている歴史と他の地域から考えを学ぶ“タテヨコ”の思考は確かに役立つように思う。ただし、歴史や他の地域に詳しくないと出来ないので、そのための学習が必要となる。
ある分野の知識を早急に身につける場合は、薄い入門書よりも、分厚く難解そうな本を読んだ方がいい。その理由は、薄い入門書は相当部分省略されているが、分厚い本は網羅的に書かれているので、体系的に理解しやすい(位置913)。
常に広い場所“辺境”に身を置き、そこで失敗を繰り返して学ぶというチャレンジをする事が大事(位置998)。
リーダーに必要な3要素は、「やりたいことをもっている」、「旅の仲間を集められる」、「旅の目的地までチームをまとめ、引っ張っていく」こと(位置1052)。また、リーダーというのは「わからないことを決められる人」のことです。(位置460)がひどく印象的だった。何となく、自分の周りを見ると、リーダーというと、何でも分かっているので、何でも決められる人という印象があるが、実際は「わからないことを決められる人」と考えた方がいいと思う。この事は、トレードオフを意識しない事と関係が深いように感じる。
仕事でいちばん大切なことは「最後までやり抜く」こと(位置1237)。
強い個性をぶつけあいつつ秩序を維持していくためにルールがある」という順番ではなく、「秩序を守るために個性を殺す」という逆の発想になってしまうのです。位置: 1,433⇒自分もルールの捉え方がおかしいという感じがする事がある。
著者の考えでは、戦後の日本の驚異的な復興の主因は、外から吹いた三つの「神風」(位置1525)。本書でも書かれているように、外的要因が強いのに、日本は特殊だという思い込みが強いことが問題だと思う。そこから脱却するには、他の世界に学ぶ事が必要だと思う。
個人的には、トレードオフを意識した上で、自分のやりたいことをもつことが大事だと感じた。自分の軸をどのように作っていくかは、引き続き今後の課題になる。