goo blog サービス終了のお知らせ 

ミズカタヒデヤの「外部脳」

Hideya Mizukata's "OUTBRAIN"

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い/ダルドリー/9点

2013年02月23日 | 映画

多少ネタバレ
ニューヨークの2001年のテロを題材とした、極めて近しい人の突然の喪失と、その克服の物語です。
極めて近しい人を突然失った人は、そのショックを和らげるために、死に何らかの理由を求めてしまうのだそうです。必要のない自責の念にかられたり、あるはずもない死の理由を探し求めたり。
父親を失った少年の場合は、遺品から見つかった一本の鍵。父親といつも謎解きゲームを楽しんでいた少年は、これは父親が最後に自分に残したメッセージだと思い込むんですね。で、鍵の入っていた封筒に書かれたblackという名前を手がかりに、ニューヨーク中のブラックさんを訪ねて回るというとてつもない挑戦を始めるんです。
結局、探していた人は奇跡的を見つかるのですが、当然ながら、それは父親のメッセージなんかではないわけで、少年はまたしてもショックを受けるわけなんですが。。。
ここからのリカバリーが素晴らしい!素晴らしいアイデアであると同時に、少年にとってこれしかない、という救済のドラマ。多くの人たちに見守られて、助けられ、助け合って、人は生きて行けるのですね。
ニューヨークのテロのような、多くの人が同時に亡くなった街では、人々の生きる力が大変危うくなっていたのでしょうが、多くの人達の繋がりが意識的に強くなることで、その力が再生されていくのでしょうね。

シャッター・アイランド/スコセッシ/6点

2013年01月31日 | 映画

ネタバレ
謎の事件を追って孤島の精神病棟の捜査に訪れたFBI捜査官が、操作を進めていくうちに、実は事件が自分自身の妄想であり、自分も患者であることに気づかされる、という気の毒な話です。ただ、完全に主人公目線で描かれるため、物凄くシリアスなサスペンスなんです。謎を解くために、自分のアイデンティティを全否定しなくてはならない、というのがこれほど恐ろしい体験だとは。ある意味で最高のホラー体験でしょう。
必死の思いで捜査を進めて、やっと犯人と思しき胡散臭い医師にたどり着いて、その胡散臭い医師当人から、お前は狂っている、お前の名前も立場も家族も仲間も仕事も今の課題も、全てお前の妄想だ、そこから醒めないと隔離病棟行きだ!と言われたって、信じるわけないですよね。
そう考えると、分裂症という病気の恐ろしさがよくわかりました。小説は正直描写がしつこくてシンドかったですが、映像の方が現実的で、のめり込むことができました。段々自分自身のアイデンティティが崩壊していく様子がよく表現されていたと思います。その分、嫌なシーンが山のようにでてきます。

戦場のメリークリスマス/大島渚/8点

2013年01月27日 | 映画

大島監督追悼特番にて20年ぶりに鑑賞。不思議な魅力を持った絵と音なんです。一度見たら忘れられない場面がたくさん。ストーリーよりも、シーンの方が優先する映画はあまり好きではありませんでしたが、この作品はいいですね。
熱帯の日本軍の捕虜収容所での出来事を描いた作品です。軍人達が日常的に白人の捕虜を虐待する中、捕虜と軍人、敵味方に分かれた男達が閉鎖社会の中で妖しい友情を育むんです。結局は立場を越えられず、破局するのですが、やがて戦争が終わり、立場の逆転した捕虜と軍人が再び出会う。
前に観た時は、ラストシーンのハラの表情はあまりに無邪気なんで、意味がわかりませんでした。媚びているのか、阿呆なのか、破れかぶれなのか。でも、今ならわかる。単に、ハラは、ローレンスとずっと仲良くなりたかったんでしょう。戦時中も、戦後も。立場がどうであろうとも。だから、同じ台詞を使う。メリー、クリスマス。でも、もう、叶わない。。。
戦争や文化、あるいは性別。人は多くの壁を越えられずに、その思いを遂げられないものですが、そうした喪失感こそが実は美しく、尊いものである。そんなことを気づかせてくれる作品です。

とにかくビートたけしの「演技してない演技」に痺れました。素人だから出せる現実感、もちろんそれをちゃんと映画として成立させたのは、監督の力量なんでしょうね。でも、坂本龍一の演技はようわからんです。音楽は最高ですが。

オリエント急行殺人事件/ルメット/7点

2012年11月23日 | 映画
粗筋を知っているミステリー、しかも閉ざされた場所で起こるタイプの事件と来たら、場面転換がないから、相当退屈なんじゃないかと思ったら。。。確かに、前半は結構退屈なんですが、犯人が次第に尻尾を出す後半から、ラストまでは、いやー、良かった。かなり泣きました。こんなに感動的な作品だったとは。良い意味で裏切られました。これで、筋書きを知らなかったら、どれだけビックリしただろう。オススメです。
この作品は、他のクリスティ作品と同様、動機の方が重要なファクターなんです。小説よりも、映画の方が雄弁だった気がします。極悪人の被害者を犯人を成敗する犯人の心情が、ふとした仕草や表情でうまく示されているんです。
圧巻は、恨みを晴らす殺人のシーン。寝台車の一室が、青い夜用の照明で仄かに照らされ、そこに犯人が静かに佇み、溢れる思いを語って、強くナイフを振り下ろすんです。とても美しく、とても人間的。
エンディングで、事件の解決と時を同じくして、大雪で立往生していた列車が動き出すシーンもまた、いいんですね。ベタなんですが、明日に向かって、皆が希望を抱くことのできる、爽やかなシーンです。

CURE/黒沢清/9点

2012年09月23日 | 映画
やっぱり、この映画は怖い。15年ぶりに観たのですが、全く印象は変わりません。

ワタクシが一番怖いのは、お化けでも幽霊でもなく、人の心です。そこには、狂気が宿る可能性があるから。怖さとは、異質で危険なことへの拒否反応だと思いますが、狂気が怖いのは、自分も含めて、身近な人が異質な存在になってしまうからでしょう。近しい人が突然異質な存在になる。それが一番厭です。怖いです。

映画は、同じ手口の連続猟奇殺人から始まります。どう見ても同一犯の犯行なのですが、実は、犯人は全て違う人物で、しかも無関係、という謎が提示されるんですね。で、その背後には、あやしげな催眠術を操る記憶を失った男が浮かび上がる。男は相手の心に巧みに忍び寄り、深層心理の殺意を増幅させ、犯行に至らしめる、ことが明らかになっていくんです。動機や手口は不明瞭なんですが。やがて、保護された警察で、当の刑事や精神科医までが、精神を侵されていくんです。

最後には、刑事が犯人との戦いに勝利を収める。でも、取り戻した日常が、ラストシーン、何故かとても異様に見えてくるんです。狂気を垣間見たために、狂気が齎す「別次元の幸せ」が存在していることをワタクシが知ってしまったから、なのでしょうね。狂気が実はそれほど狂気でないこと、自分もいつ狂気に魅入られるか知れないこと、それこそが本当の怖さ。

こうした筋書きの良さに加えて、怖さを演出する映像的手法のディテールが素晴らしいです。明滅する光源、水滴の連続落下、大きな廃屋、窓のない部屋、静寂とそれを破るノイズ、親しい人の無表情。これらが繰り返し繰り返し積み重なって、観ているこっちが催眠術にかかりそうになるんです。

サマーウォーズ/細田守/5点

2012年08月19日 | 映画
企画のしっかりした作品です。
ネット社会でしかヒーローになれないオタク少年が、そのネット社会での技能を生かして、リアル社会でもヒーローになる、そういうアニメを作ろう、ということなのでしょう。
で、ちょっと前に流行ったセカンドライフ的なシステムが世界中のコンピュータを統合している社会で、悪玉ウイルスが暴走して原発に衛星を落とそうとする、という設定により、ネットとリアルの話を結びつける。
更に、ネット社会で人のつながりが、リアル社会での人のつながりに通じる、という設定のために、オタク少年が山梨の旧家の大家族、しかも主人が政府の大立者、という最高にリア充な環境に突然紛れ込む。
で、オタク少年は、ネットとリアルの応援を得て、悪玉ウイルスを退治する、というわけです。
一見ややこしい設定を、何とか形にしているのは素晴らしい、と思います。でも、やっぱり、話に無理がある。だから、入り込みにくい。実際、リアルな事件は、ここまでバーチャルでは完結しない。でも、そうさせないと、オタク少年が活躍できない。オタク少年がオタク少年なままでもちゃんとリアル社会で活躍できるんだ、というファンタジーなんでしょうね。物凄いご都合主義に見えました。

ザ・ベスト・エキゾチック・マリーゴールド・ホテル/ジョン・マッデン/6点

2012年07月07日 | 映画
良い映画です。
高齢者は自分を高齢者だなどと思っていない。多少体が衰えてるだけで、若者と同じく、色んな思いを抱いている。一花咲かせたい、再会したい、別れたい、働きたい。ところが周囲がそれを許さない。だから、絶えず煩悶している。わたくしも齢40を超え、多分そういうことなんだろうな、と、実感してきました。
どうせ老人ホームに入るにしても、何だか新たな可能性を感じる魅力的なところがいい。で、インド。マリーゴールドホテルは古い屋敷を改装したホテルという名の老人ホーム。エキゾチックで高級感あふれ、でもリーズナブルな料金に釣られてはるばるイギリスからやってきた妙齢の男女7人は、メンテのできてない廃屋同然の館を見て、直ちに騙されたことを知るのですが、他に行く当てもなく、渋々暮らし始めるんです。
するとどうでしょう。建物の不備が却って生活の自由につながって、皆、生き生きと楽しみを見出していくんですねえ。新しい恋、新しい仕事、新しい友達。幾つになっても、人は出会いを求めてるし、それに応えられることが、コミュニティにとって最も大事なことなのですね。

マリリン7日間の恋/サイモン・カーティス/7点

2012年07月03日 | 映画
映画撮影中に雑用係が主演の大スターと恋に落ちる話です。周りの人をよくも悪くも振り回さずには置かないスター気質の人物像がよく描けてると思います。能力がありながら、自分に自信がなくて、常に愛情を受けないと生き続けられない。ワタクシも何人かそういう方に遭遇したことがあります。そういう人が求めてるのは、包み込む、受け入れる、父親のような愛情。主人公は、危ういところを何とか踏みとどまり、そういう愛情を与えることに成功したんでしょうね。

話自体は実話でもあり、正直凡庸です。でも、マリリンの演技が尋常じゃなく素晴らしくて、それだけで印象的な映画になりました。顔が全然似ていないのに、仕草や表情だけでそっくりに見える!演技って凄いです。

ハングオーバー! 消えた花婿と史上最悪の二日酔い/トッド・フィリップス/6点

2012年05月05日 | 映画

 

ハングオーバーとは、二日酔いのこと。誰もがそうなんでしょうが、特に男には、なんだか羽目を外したい時がある。どうやら人類普遍と思われるこの真実を「独身最後の飲み会」という、ありがちなイベントを通じて描いた作品です。至って普通のシチュエーションを面白くするには、異分子を混ぜる、オーバーにする、逆の話にする、といった手法がありますが、本作は、その中のオーバーにする手法を採用してます。

場所は豪機にラスベガス。四人のおバカ友達は、意気揚々と高級ホテルにチェックインして、いざギャンブルと女を楽しもうと夜の街に繰り出します。ところが全員が記憶をなくし、気がつくと翌朝。ホテルの部屋は荒れ放題、しかも何故かそこには虎と赤ちゃんがいて、車がパトカーに変わってる。挙句、明日結婚式を上げる男は行方不明。

考えうる最悪の状況に、刻一刻と結婚式の時間が迫ってくる中、男達は緩々と、事件の解決と謎の解明に動き出す訳です。本来、こういう時系列のずらし方は、サスペンス映画でよく使われる手法なのでしょうが、大真面目に普通の人たちのドジな事件に使うのが可笑しいです。

ハチャメチャなシチュエーションで笑わせてくれますが、人生の味わいは案外こういう壮大な無駄、浪費、失敗にあるんだよな、などと感心してしまいました。憶を飛ばしたことがないんで羽目の外し方が下手なんで、羨ましいですね


ランボー最後の戦場/スタローン/2点

2012年04月17日 | 映画

 

予想はしてましたが、あまり感動しませんでした。 今や数少ない絶対悪的存在?のミャンマー陸軍を相手に、ランボー率いる良い白人が悪い原住民を滅多滅多に退治しちゃいます。

敵味方どちらの人物も描けているようで描けてない。ステレオタイプに過ぎる。だから、物語に入り込めない、感情移入できないんです。ランボーらしいと言えばそれまででしょうが、こういう薄っぺらい話に市場性はどれほどあるのでしょうか。まあ、米国内では受けてるのかな。 

ラストシーンは何らかシリーズの終了を意味してるのでしょうが、また10年後に北朝鮮とかを舞台にやるような気がします。