季節外れの雪便り

のんびり、まったり、ゆっくり。

姉じゃの面影

2005-10-16 | 物語
姉じゃ・・


姉じゃ・・・・



どこさ行く。
おらを置いて、どこさ行く。




行かねでけろ。



おら、まだ、うまく魚もとれね。
ぐみも、熟れてねー、すっぱいのばっかりとってしまう。


おら、まだ、ひとりじゃ、こえー。



行かねでけろ。

おねがいだ、姉じゃ・・・・



~~~



ここで、目が覚めた。

かたっぽの手が、天井に向かってのびてた。
姉じゃの面影が、そこに映ってた。


身を起こすと、皿がやけに重く感じて。
水を取り替えようと、沢に下りた。



何気なく、取り替える前に、皿の水を舐めてみた。


・・しょっぱ・・

泣いてたんか? おら・・



情けねぇ。
こんなんじゃ、姉じゃにまた、心配かけちまう。

もう、おらは、こわっぱじゃねぇんだ。
ひとりでも、食っていけるんだ。

もう、姉じゃにばっかり、頼るわけにいかねぇんだ。


強くなれ。
泣くな。



今日は、姉じゃの祝言。
もう少しこの沢を下ったら、あの花があるはずだ。

あの花と一緒に、魚もめいっぱいとって、持っていってやる。



おらは、大丈夫だ。


しあわせになれ、姉じゃ。





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 ♪お玉つれづれ日記♪ ~沖縄★美人画報~ : 赤いぐみ 赤いとり
   河童姉弟のお話で、私が一番好きなものです。

 ぷよぱぱの雑記帖 : やまのなか
   「あの花」は、このお話からいただきました。

*イラストは、お玉さんが描かれたものです。

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4 コメント

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ほれほれ (ぷよぱぱ)
2005-10-16 23:00:21
『そんな事じゃと思うたよ。

 心配は要らん。

 ひとりで 大丈夫だで。



 男ん子はな

 歯を食いしばった分 強うなる

 涙流した分 優しゅうなる



 ああ見えても もう一人前じゃ。



 そんなことより はよう戻らんと

 おめの ととさんも かかさんも

 心配しとるで。



 ささ 婆といっしょに 帰るだよ







★スノーさん

 素敵なお話、ありがとうございました。

 おやぢが1米で、あいすまん。

 
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姉じゃの祝言 (お玉)
2005-10-16 23:02:37
スノーさん

河童話、ありがとうございます。



祝言の朝に咲いていた花。

今の季節だと、なにかしら。

河童の祝言って、どんな感じなんだろう。

スノーさんのおはなしから、いろいろと想像して楽しんでいます。



今夜の弟河童は、少し大人に近付いたのかもしれませんね。



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*ぷよさん (スノー)
2005-10-17 00:20:15
姉じゃ、やっぱり心配で、様子を見に来たんですね。

弟思いで、姉思いで、いいきょうだい河童だなあ・・



1米げっと、おめでとう(笑)

それと、ひさしぶりの、カエルさんの置き土産、ありがとう(爆)
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*お玉さん (スノー)
2005-10-17 00:28:48
「あの花」のような高さもしなやかさもないですけど、

この季節に咲く花で、私が好きなのは「ミゾソバ」なんですよ。

http://www.hana300.com/mizoso.html



河童の祝言、私も興味あります。

もしかしたら、「尻子玉」を使うんじゃないかな、とか、思ってみたり。



姉じゃにも、弟河童にも、幸多かれ!
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