季節外れの雪便り

のんびり、まったり、ゆっくり。

雨の囁き

2006-04-02 | 物語
いつもの風景が、春雨の中、白く煙っていた。 出勤。 いつもより少し足取り重く、いつもの道を歩く。 まったく違う道を歩きたい衝動に駆られる。 『行っちゃいなよ』 『僕と一緒に歌おうよ』 『大丈夫、誰も気づきゃしないよ』 ・・・ムリだよ。 そんなこと、できないよ。 『ほら、ピアノや木琴もあるよ』 屋根や車を、雨粒が叩く。 『マラカスも鳴らしてあげる』 木々がさわさわと揺 . . . 本文を読む

願い

2006-02-14 | 物語
光陰矢のごとし、とはよく言ったもの。 あれから、もう1年以上、経ってしまった。 なのに。 僕の携帯には、未だに消せないアドレスが残っている。 メールを打って送信しても、宛先不明で戻ってくるアドレスが。 君は今、どうしている? 白い息を吐きながら、白い雪が次々に舞い降りてくる空を見上げる。 結晶が、僕をめがけて、一斉に降りてきているように思えてくる。 ・・・君なのか? . . . 本文を読む

風の歌

2006-01-21 | 物語
僕の名前は、シュウ。 でも、誰も僕を名前で呼んではくれない。 そして、僕の姿を見ることができる人も、いない。 僕は、人には「風」という名前で呼ばれてるみたいだ。 ちょっといたずら心起こして、人がかぶってる帽子を取ってったりすると、 「やだ~っ、帽子を風に持ってかれちゃった!」って言われるし。 今みたいに寒い時に、僕が人のそばをさあっと通ると、 「もうっ、寒すぎるぢゃんっ! 風の馬鹿っ!」って睨 . . . 本文を読む

姉じゃの面影

2005-10-16 | 物語
姉じゃ・・ 姉じゃ・・・・ どこさ行く。 おらを置いて、どこさ行く。 行かねでけろ。 おら、まだ、うまく魚もとれね。 ぐみも、熟れてねー、すっぱいのばっかりとってしまう。 おら、まだ、ひとりじゃ、こえー。 行かねでけろ。 おねがいだ、姉じゃ・・・・ ~~~ ここで、目が覚めた。 かたっぽの手が、天井に向かってのびてた。 姉じゃの面影が、そこに映って . . . 本文を読む

心まで、晴れ

2005-10-06 | 物語
あぐりこさんのブログ「アグリコ日記」の中で、私が一番気に入っているのが、「マルダヌキ物語」。 マルちゃんに惹かれたきっかけは、忘れもしない、「月のタヌキ」。 昨年のKenさんの誕生日に、お玉さんと組んで贈った、スノーキャットに嫉妬したマルちゃん・・ 彼女の変わり果てた姿に噴出したのは、言うまでもありません。 そんなマルちゃんに、とても励まされたお話があります。 アグリコ日記 : 大雨の . . . 本文を読む

heat up

2005-06-28 | 物語
彼と、いつもと違う公園で待ち合わせ。 『ちょっと待ってて』 私をベンチに座らせて、彼はどこかへ走ってゆく。 戻ってきた彼の手には、2本のアイス。 右手にラムレーズン、左手に抹茶。 なんだか、盛り方が不恰好。 『すぐそこの、猫マートのアイス。  ずっと、食べさせたかったんだ。  見た目は悪いけど、味はサイコー』 息を弾ませながら、早口でそう言って、抹茶アイスをくれた。 覚えてくれてたんだ、私 . . . 本文を読む

プレゼント

2005-02-19 | 物語
ダダダダダダッ!! バンッ!! 慌てふためいた足音と、壊れそうなほどの轟音をたてるドア。 「大丈夫か、ばあちゃん!?  ・・・って、あれ??」 メガネをかけた青年が、流れる汗もそのままに、立ち尽くす。 彼の眼前には、びっくりしたあと、大笑いする彼の祖母と、 一緒に声をあげて笑う、施設の女性職員。 「意識が、なくなったって・・・れ、連絡、受けて・・・あ、あれ??」 まだ呼吸も荒く、状況を把握 . . . 本文を読む

追憶

2005-02-02 | 物語
君の、笑顔が好きだ。 くったくのない、笑顔が好きだ。 いつも、僕にちょっかいを出しては、 くるっと振り向いて、笑いながら、指を差す。 僕が怒ると、舌をぺろっと出して、逃げる。 追いかける。 追いかける。 逃げる。 逃げる。 追いつく。 手を伸ばす。 掴まえる。 抱きしめる。 ・・・それももう、叶わない。 僕が、いくら手を伸ばしても。 君の体を掴まえるこ . . . 本文を読む

風邪男と氷女

2005-01-18 | 物語
俺は風邪男 嫌われ者の風邪男 痩せた体に土色の肌。 ねずみ色のくたびれたコートに、斜めがけした古びた鞄。 俺とお前は 似合いの仲だと思わないか? 人を心まで凍らせるお前。 人に氷の種を植えつける俺。 お前を本気で好く奴など、俺以外にいない。 さあ、凍てつく衣を脱ぎ捨てろ。 揃いの服をあつらえておいた。 愛しい氷女 お前の冷えた体を、熱くするのは俺の役目。 お前が . . . 本文を読む

ふわり。

2004-12-23 | 物語
公園のベンチ。 ひとり、座る。 うわ、尻、冷たっ! ちくしょ・・・なんでこんなに寒いんだよ・・・ 余計に悲しくなるじゃんか・・・ クリスマス直前に告って、フラれるなんて、かっこわり・・・ うつむいて、頭抱える。 けど、不思議と、涙は出てこない。 悔しさと、情けなさで、こんなに震えてるのに。 ・・・いや、寒いから震えてるだけか? ふわり。 ふと、隣に、何かが舞い降り . . . 本文を読む

【玉猫戦隊オーブファイブ】会員証!

2004-11-22 | 物語
【玉猫戦隊オーブファイブ】見てくれてありがとう! オーブレッド・猫田ミキです。 番組に届いたお便りを紹介するわね。 広島県の、あいちゃん(6)からです。 「オーブファイブのおねえちゃん、5人ともかっこいいです。  大きくなったら、わたしもオーブファイブに入りたいです」 ん~~、可愛いこと言ってくれるわね~。 チオリくらいの歳になったら、入れてあげてもよくてよ♪ あいちゃんに、会員証をプ . . . 本文を読む

消えた魚の行方

2004-10-25 | 物語
大漁、大漁。 どうだ、あねさ。 おら、釣りうまくなったべ。 はよ、うちさ、けーろ。 あねさの、たまげる顔が、目に浮かぶ。 シュッ。 ・・ん? ・・なんだ? 今ん音? シュシュッ。 ・・・・・? 誰もおらん・・ ん・・? 左手がやけに軽・・・・・・ あ~~~~~~!! 魚が無ぇっ!!! 誰だ!! けーせ!! けーしてくれよぉ・・・ おらの . . . 本文を読む

【玉猫戦隊オーブファイブ】白ネズロンの憂鬱

2004-10-16 | 物語
ふぅ・・やっと全員の手当てが終わったわ。 いつもいつもやられてばっかで・・ 少しは私の仕事、減らしてよね、まったくもぉ。 忙しいったらありゃしない。 皇帝にチュー誠を誓ったのなら、もうちょっと頑張ってほしいわよね。 せめて、オーブファイブを、一人でも手負いにするくらいは・・ じゃないと、倒された怪人も、浮かばれないじゃないのよ。 トントン。 救護室のドアがノックされ、一匹のネズロン兵が入っ . . . 本文を読む

blue cat’s whisper

2004-09-28 | 物語
いつもの時間 いつものように 屋根を伝って 君の部屋に飛び入る ・・あれ? どうしたの? いつもと違う君 なんかあったんだね ・・探し物? 大事なもの 見失ってしまったのか・・ ほら 一緒に 三日月のシーソーに乗ろう ゆらゆら ゆらゆら 揺れてみよう そのまま 瞳を閉じてごらん ほら 見えてきただろう? 君が 探していたもの    こんなにも 簡単なん . . . 本文を読む

猫マート バイト候補

2004-09-20 | 物語
   あ、玉にゃん! バイト終わったにょ? お疲れっ!    肉まん買っといたにょ、一緒に食べよ♪    にゃんこ舌でもだいじょぶ、ふぅふぅしといたからにぇ。    はむはむ。 おいしーにぇー♪    あ、あのにぇ。    今日、お散歩してたらにぇ。    でっかい、、すんごくでっかい、わんこ、いたにょ。    じーーーっと見てたら、こっち向かって歩いてきやがったから、    . . . 本文を読む