「アトピーに効果 豊富温泉」
昭和37年高等学校地理の教員になった当時、使用していた地図の北海道に豊富(とよとみ)と石狩平野と勇払原野(ゆうふつげんや)の場所に石油が出る油井の記号が描かれてありました。
石油は大量には取れていなかったようですが、豊富の所には地名が書かれていましたので石油が取れていた様で、なじみ深い地名です。むかしは北海道にも石油が取れる地層があったのです。
現在では大量の原油が輸入されているので、北海道の少量の石油が取れる場所などは問題となっていませんし、たしか勇払のある所では少しは石油が出ると聞きますが、採掘もされていないと思われます。
そして今問題としている所は豊富の「豊富温泉」です。大正末期、石油採掘中に石油分の含まれた温泉が出ました。泉質は「油風呂」とも呼ばれる珍しい温泉です。
この油風呂がアトピー性皮膚炎にや火傷(やけど)や乾癬(かんせん)にも効果が見られるとして、全国から多くの湯治客が訪れています。湯治をきっかけに豊富に移住する人が増え、この5年間で約30人が住民になったと言います。
昨年(平成26年)、NPO法人健康と温泉フォーラム(東京)が「全国約3200の温泉から特に薬効の高い温泉地から選ぶ名湯百選」にも豊富温泉が選ばれました。
人伝手に豊富温泉は日本に知られるようになり、現在ではアトピーに効く温泉として全国区の温泉として知られるようになりました。
何年か前に「稚内旅行と三大蟹食べ較べ」にkenpu氏と稚内に出向いた際、豊富温泉に立ち寄った時には、豊富温泉特製の「アトピーに効くという固形石鹸」のプレゼントを戴きました。時とともに地元も珍しい人気商品を作るものだと感心しました。
カムイラビットは礼文島や稚内に手向く度に4度ほど豊富温泉に入りましたが、一度は特に石油成分の多い時に温泉に入り、用心して入浴していたのですが、温泉から出た時には入浴時に使用していたタオルが油で黒くなり、やれやれと思った時がありました。
同日温泉で一緒のアトピーで温泉に入っていた人は、黒い油を自分の体に丹念に塗りつけていました。道北の温泉までにはなかなか来れないので、少しでもアトピーをなおそうとしていたらしいのです。
一般的に油分が身体に入り込むと健康に悪いはずですが、アトピーに良いという風説を信じて長時間温泉に入っていたようでした。
アトピーに苦しんでいた本州の学生が、「かけつけの医者から、石油に含まれる豊富温泉がアトピー性皮膚炎に効果があると教えられ、豊富温泉で湯治を続け、ボロボロな皮膚が、これまでで一番よくなった」として、大学卒業後も近隣の町に就職、この温泉に通うようにした話があります。
この様な話を聞くと豊富温泉のアトピーに効くという話はありがたくも真に響くものがあるのです。
★アトピーに効くという瓶詰の油分、豊富温泉から出る油で作った石鹸 どちらもアトピーに効くとして販売されています。