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介護というには大袈裟ですが。

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約20年前の光景。6

2022-09-18 06:45:44 | 日記
私は、20年近く前に介護施設でボランティアをしていた。その施設はグループホームというもので、健康体ではあるが認知症の高齢者が入居されている施設だった。
私は、週に一度、オリエンテーションという名目で昼間お手伝いをしていた。
ボランティアをすると就職活動に有利だから、とかなんとか先輩に言われ、良からぬ計算があつてのことだった。
そんなある日、元気の良い90歳を超えた、おばあちゃんがいた。彼女は、とても活発で話好きで面倒見が良かった。オリエンテーションで輪投げをしていた時だったか、はっきりは覚えていないが、彼女は外れた輪投げを拾ってくれたり、計算をしてくれたりと、オリエンテーションを良い意味で仕切ってくれていた。私を含め、ボランティア、施設の職員の方が少しほっとした、次の瞬間、事が起こった。
落ちていた輪を拾う瞬間、足元がよろけ、まさにスローモーションのように右に寄れ転倒をし、近くのテーブルの角に体を、もっと正確に言えば頭を激しくぶつけたのだ、その時の、おばあちゃんの表情は険しく激しく、何とも表現出来ない恐ろしいものだった。
本当にユックリユックリスローモーションで倒れ込んだ。
鈍い音と同時にその場にグッタリ倒れ、顔面が真っ白になっていく、おばちゃんを見て、私は血の気の引き、呼吸がしにくくなった。私は激しく吐き気がしたのだ。
そしてその時の光景は忘れることなく、今もはっきり覚えている。


ふらつき4

2022-09-18 06:11:09 | 日記
我が家は基本的に家族は椅子に座っていることが多い。ただ母は椅子だと足が地面にしっかり着かないので落ち着かない。と椅子に座ることを嫌がった。大きくフカフカの座布団に座る事を好んだ。
そんなある日、立ち上がるときに少し足がふらつく事を長女が気付いた。
『年取ったから、いきなり立つとふらっとする』
母は何度かそんな事を言っていた。
長女は、立つ時に何かに捕まったら良いと押入れから脇息を引っ張り出してきた。
母は、大げさに、と笑ったが長女は足元がふらつくからと座布団の横に脇息を置いた。私には感じなかった違和感を長女は感じていたのかも知れない。
そして、いつもは何を考えているか、わからない長男も、『立つ時は、ユックリユックリね』と母に何度か伝えていた。


ユックリ、ユックリ。突然の出来事。5

2022-09-18 05:42:40 | 日記
我が家では電話を留守電機能にしてなかった。子供達は振込詐欺などもあるから、留守電にしておき、電話番号を確認してから掛け直せば良いのに。と私達に言っていたが、母は留守電だと急用のある人に悪いから、と留守電を嫌がっていた。
ある夕方のことである。その日は日曜ということもあり、家族全員自宅にいた、
何気ない日常だった、が。一本の電話のベルが事の始まりだった。
母は電話のそばに座っていた。電話のベルに気持ちが急いだのか、何気なく立とうとした瞬間である。座っていた座布団に右足をつけた瞬間、その座布団が滑ったのである。
母の体は大きく右によろめいた。
本当にゆっくりゆっくり、スローモーションのように、よろめいた。私は20年近く昔のある出来事と重なり合った。

気付く事が出来なかった

2022-09-18 04:00:47 | 日記
母は、足に違和感のあるまま、それでも何事もない日常を送っていた。
今にして思えば多少違和感を感じても、何事もないように振る舞っていたのかもしれない。
母は毎日朝と夜、規則正しく決まった時刻に決まった大きさのシップを貼っていた。
足を少し引きずると、奥さんには言っていたらしい。
『年をとると治りが遅くなって困る。』
『歩くのが、億劫でねえ、』
あまり後ろ向きの事を言わない母が弱気になっている感じがした。
情けない話だが、私は、しがない営業マンで、毎日上司の課せられた数字で頭が一杯であり、家族の少しの変化に気付く事が出来ていなかった。
営業として人を見る目の無さに我ながら呆れる。
そんな中、長女、そして普段は何を考えているかわからない、引きこもりがちの長男が母の変化を敏感に察していた。


何気ない転倒

2022-09-18 00:08:40 | 日記
玄関先で動かない母に最初に声をかけたのは、高校受験を控えた長女だった。
母は買い物途中の通いなれた道の、ほんの少しの段差に気づかす転倒をしたという。
痛みは無く、少し足をひねっただけだと言った。私も長女も母も、その時は、ただの転倒だとしか思わなかった。
後で知るのだか、高齢者が介護を必要とする最初の一歩は転倒による自信の喪失である。とある介護職員から聞かされた。
しかし転倒は避けにくいものでもある。
何気なく歩いている道も、よく見ると段差があり、滑りやすくもなっている。駅やスーパーは人混みでもある。
意外と高齢者には危険が沢山あるものかもしれない。