介護というには大袈裟ですが。

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紳士の葛藤13

2022-09-21 08:16:21 | 日記
母のダンスパートナーである紳士は、お嬢様によると、明らかに、ふらつきのあった日から元気がなくなったという。
社交ダンス教室帰宅後の、入浴、ビールを飲みながらの夕食。というルーティンをせず、ふらつきのあった、その日はすぐに寝てしまった。
その後、数時間眠ると紳士は起き出し、一人台所で、お湯を沸かしていたという。
お嬢様が声をかけると、お腹がすいたので、ラーメンを作ろうとしたとのこと。
お嬢様は夕飯があると食事の用意をした。
紳士は、遅い夕飯を食べながら、表情はとても硬かったという。

『もう年だ、80歳超えて社交ダンスなんて、無理かなぁ?』
寂しそうに紳士は、お嬢様に問いかけた。お嬢様は即座に否定したが、無理はすることはないと伝えた。

そして翌週の水曜日の午後3時。
30分くらい前から元気に教室に入ってくる紳士の姿は、その日社交ダンス教室にはなかった。
代わりに、お嬢様が教室の隅に静かに訪れていた。

異なるルーティン12

2022-09-21 07:02:56 | 日記
母のダンスパートナーの紳士は毅然とした人だったらしい。
そんな彼の少しの足元のフラつきは、母にとつて意外なものだったという。それと同時に安心もしたという。
『私だけじゃなく、年をとれば、みんな同じなんだ』

ダンスパートナーの紳士は、近くの椅子に腰掛け、少し寂しそうに母に伝えた。
『年かねぇ、みっともないところ、見せてしまったね。
『そんなことないですよ。私も最近は足元が、怪しくなって、お互いさまですね。
後日に、紳士のお嬢様から聞かされるのだが、その日の出来事は彼にとって、精神的なショックが相当あった。とのことだった。彼はダンス教室から帰ると、まず入浴をし、ビールを飲みながら夕飯をとるルーティンがあった。
しかしその日は帰宅するなり、すぐに寝てしまったらしく、それを見た、ご家族は不穏な予感がしたといういう。


パートナーの異変に。11

2022-09-21 05:08:33 | 日記
社交ダンス教室のパートナーだった男性の異変に最初に気付いたのは、母だった。
『社交ダンスは男性のリード次第で、女性はついていくだけだ。』
と、よく言っていた。
今回も男性のリードに任せていたのだろう。優雅で紳士的な振る舞いは、ダンスにおいても、いかんなく発揮され、母は心底信頼していたからだ。
しかしその日は違った、パートナーは倒れはしなかったが、足元は時折、大きくフラつき、呼吸の乱れは隠しようがなかったという。
最初母は、自分が悪いのではと思った、しかしすぐにパートナーが、いつもと違うことを感じた。
『少し休みますか?』
『大丈夫ですよ』
最初は気丈に平常に振る舞っていたパートナーも、それから2分くらいたってからか、母に告げた。
『少し休みます。』
『そうですね。』
母は笑顔で快諾した。
紳士はホッとした様子を見せ、近くの椅子に倒れ込むように座りこんだ。
周囲の人は異変に気づき心配をしたが、紳士は平静を装い、笑顔で対応したという。
何事もなかったように、時間がユックリ流れた。