介護というには大袈裟ですが。

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蘇った記憶 7

2022-09-18 07:28:59 | 日記
20年近く前のグループホームでの出来事は、今でも、はっきり覚えている、90歳を超えた、おばあちゃんの転倒は、その場の空気を一変させた。施設職員は驚く程、明らかに動揺をした。すぐに救急車が呼ばれ、警察が来た。私達ボランティアは、ほどなく解散となった。そしてその施設には、その後2.3回は行ったものの、何か全体的に静かな施設になっていた。私もその施設にボランティアに行くのをやめたのか、やめさせられたのか、はっきり覚えていないが、行っていない。90歳を超えたおばあちゃんは、すぐに病院に入院をした。私は、おばあちゃんが大好きだつたので、お見舞いに一度伺った。
その時のおばあちゃんは私の知っている人ではなかった、覇気がなく、こちらの声掛けにも、愛想は振りまくも、私の事は全く覚えている様子はなかった。
ご家族によれば、認知が急激に進んだとのことだつた。
そして、その後、その当時の同じボランティア仲間から聞かされるのだが、お見舞いに伺った2年後に死去される。
どういう経緯をたどったかは定かではないが、あの面倒見の良い、おばちゃんの姿は、輪投げのオリエンテーションを最後に、その後見ること出来なかった。と伝えられた。
私は人の人生が、終わるキッカケを見たようで、なんとも言えない気分になった。
人間は嫌なことは忘れる生き物なのか、あれから20年たった今日。
慣れない営業に配属され、数字数字数字と追いまくられているうちに、20年前の施設の光景は、綺麗に忘れていた。
しかし母の転倒によって、あの20年前の光景が、怖いくらいにシンクロし蘇った。

約20年前の光景。6

2022-09-18 06:45:44 | 日記
私は、20年近く前に介護施設でボランティアをしていた。その施設はグループホームというもので、健康体ではあるが認知症の高齢者が入居されている施設だった。
私は、週に一度、オリエンテーションという名目で昼間お手伝いをしていた。
ボランティアをすると就職活動に有利だから、とかなんとか先輩に言われ、良からぬ計算があつてのことだった。
そんなある日、元気の良い90歳を超えた、おばあちゃんがいた。彼女は、とても活発で話好きで面倒見が良かった。オリエンテーションで輪投げをしていた時だったか、はっきりは覚えていないが、彼女は外れた輪投げを拾ってくれたり、計算をしてくれたりと、オリエンテーションを良い意味で仕切ってくれていた。私を含め、ボランティア、施設の職員の方が少しほっとした、次の瞬間、事が起こった。
落ちていた輪を拾う瞬間、足元がよろけ、まさにスローモーションのように右に寄れ転倒をし、近くのテーブルの角に体を、もっと正確に言えば頭を激しくぶつけたのだ、その時の、おばあちゃんの表情は険しく激しく、何とも表現出来ない恐ろしいものだった。
本当にユックリユックリスローモーションで倒れ込んだ。
鈍い音と同時にその場にグッタリ倒れ、顔面が真っ白になっていく、おばちゃんを見て、私は血の気の引き、呼吸がしにくくなった。私は激しく吐き気がしたのだ。
そしてその時の光景は忘れることなく、今もはっきり覚えている。


ふらつき4

2022-09-18 06:11:09 | 日記
我が家は基本的に家族は椅子に座っていることが多い。ただ母は椅子だと足が地面にしっかり着かないので落ち着かない。と椅子に座ることを嫌がった。大きくフカフカの座布団に座る事を好んだ。
そんなある日、立ち上がるときに少し足がふらつく事を長女が気付いた。
『年取ったから、いきなり立つとふらっとする』
母は何度かそんな事を言っていた。
長女は、立つ時に何かに捕まったら良いと押入れから脇息を引っ張り出してきた。
母は、大げさに、と笑ったが長女は足元がふらつくからと座布団の横に脇息を置いた。私には感じなかった違和感を長女は感じていたのかも知れない。
そして、いつもは何を考えているか、わからない長男も、『立つ時は、ユックリユックリね』と母に何度か伝えていた。


ユックリ、ユックリ。突然の出来事。5

2022-09-18 05:42:40 | 日記
我が家では電話を留守電機能にしてなかった。子供達は振込詐欺などもあるから、留守電にしておき、電話番号を確認してから掛け直せば良いのに。と私達に言っていたが、母は留守電だと急用のある人に悪いから、と留守電を嫌がっていた。
ある夕方のことである。その日は日曜ということもあり、家族全員自宅にいた、
何気ない日常だった、が。一本の電話のベルが事の始まりだった。
母は電話のそばに座っていた。電話のベルに気持ちが急いだのか、何気なく立とうとした瞬間である。座っていた座布団に右足をつけた瞬間、その座布団が滑ったのである。
母の体は大きく右によろめいた。
本当にゆっくりゆっくり、スローモーションのように、よろめいた。私は20年近く昔のある出来事と重なり合った。

気付く事が出来なかった

2022-09-18 04:00:47 | 日記
母は、足に違和感のあるまま、それでも何事もない日常を送っていた。
今にして思えば多少違和感を感じても、何事もないように振る舞っていたのかもしれない。
母は毎日朝と夜、規則正しく決まった時刻に決まった大きさのシップを貼っていた。
足を少し引きずると、奥さんには言っていたらしい。
『年をとると治りが遅くなって困る。』
『歩くのが、億劫でねえ、』
あまり後ろ向きの事を言わない母が弱気になっている感じがした。
情けない話だが、私は、しがない営業マンで、毎日上司の課せられた数字で頭が一杯であり、家族の少しの変化に気付く事が出来ていなかった。
営業として人を見る目の無さに我ながら呆れる。
そんな中、長女、そして普段は何を考えているかわからない、引きこもりがちの長男が母の変化を敏感に察していた。