社交ダンス教室の日、パートナーの紳士の姿はなく、代わりにお嬢様が静かに教室の片隅にいた。
そして、社交ダンスの先生と、一言二言言葉を交わすと、母の姿を見つけ、歩み寄り静かに語りかけた。
『いきなりで、すいませんが、父が少し体調が悪いと、しばらく教室を、お休みしょうかとなりました』
『そうですか。辞めるわけではないですよね、体調が戻りましたら、また一緒にダンスしましょう。』
『父に伝えます。きっと喜びます。』
お嬢様は母に頭を下げると、静かに教室を出た。
紳士のパートナーは、その後に一ヶ月に1回来るか来ないかになるのだが、母はとても他人事に思えかった。