母は、ふらつき、壁に右肩を強打したものの、そこまで大事には至らなかった。
その日は、応急処置的にシップを貼り、翌日近くの外科に私と行くことにより、一時的に、痛みは回復をした、少し腫れているので、塗り薬とシップを多めに外科の先生から貰い、何かあれば、また来てくださいね。
という感じだった。
母は少し元気を取り戻し、毎日朝、夕の2回、塗り薬をせっせと塗って、几帳面に決まった大きさのシップを貼った。
そのかいもあって、腫れた肩から脇腹も少しずつ回復をした。
ただ今までより、母に元気のないのが気がかりだつた。
母はコロナ禍の前は週に3日、異なる習い事をするほど外出をした。しかしコロナ禍において、習い事が隔週になったり、一時休養になったりしていた。それが少しずつ再開するタイミングでの、ふらつきだった。
母は習い事に行くことを少しためらい始めた。体の痛みはなくなったが、精神の痛みは消えていなかったのである。
『もう年だから、習い事は、みんなに迷惑かねぇ』
母が私に告げた。