クリスマスの夜も更けてまいりました
クリスマス・カラーと言いますと、緑、赤、金色があるでしょうか。
肌寒い冬の季節に、クリスマスの赤色を目にすると、何だかあったか~い心地になります。
クリスマスの日の物語というと、「マッチ売りの少女」を思い浮かべる方もいるのではないでしょうか。
ところが「マッチ売りの少女」は、クリスマスの日のお話ではないのです
物語の冒頭を見てみましょう
それは、たいへん寒い日でした。雪が降っていました。そして、あたりは、もう暗くなりはじめました。
それはまた、一年のいちばんおしまいの夜、つまり大みそかの晩でした。
この寒い、そして、暗いなかを、ひとりのみすぼらしい身なりの年のいかない少女がひとり、帽子もかぶらず、おまけにはだしで、通りを歩いていました。
(大畑末吉訳 「アンデルセン童話集2」 岩波少年文庫)
驚いたことに、「マッチ売りの少女」の舞台は、大みそかの夜なのです
とはいっても、「マッチ売りの少女」には、クリスマスツリーが出てくるじゃないと、おっしゃる方もいると思います。
1本目のマッチの火で、ストーブが現れ、2本目のマッチをこすると、焼きガチョウが出てきます。
3本目のマッチでクリスマスツリーがでてきますお話を見てみましょう
少女は、新しいマッチを燃やしました。こんどは、この上もないきれいなクリスマスツリーの下にすわっていました。
それは、この前のクリスマスに、金持ちの商人のところでガラス戸ごしに見たのよりは、ずっと大きく、そして、ずっときれいにかざりたててあります。
なん千というロウソクが緑の枝の上で燃えています。そして、商店の飾り窓を飾っていた色どりの美しい絵が、こちらを見おろしていました。
少女は思わず両手をのばしました ー そのとたんに、マッチは消えてしまいました。
(引用同上)
少女は、クリスマスの日のことを思い出して、思い浮かべているのです。
次にこすったマッチで、少女は大好きなおばあさんを見ます。
やさしいおばあさんに消えてほしくない、ひきとめておきたいという思いで、マッチをぜんぶこすります。
おばあさんは小さい少女を腕にだきあげました。
こうして、ふたりは光とよろこびにつつまれて、高く高くのぼっていきました。
そこにはもう、寒いことも、おなかのすくことも、こわいこともありません。 - ふたりは神さまのみもとに召されたのです。
けれども、家のわきのすみっこには、寒い朝、小さい少女が赤いほおをして、
口もとには、ほほえみさえ浮かべて - 死んでうずくまっていました。
ふるい年のさいごの晩に、こごえ死んだのです。あたらしい年の朝が、小さいなきがらの上にのぼってきました。
(中略)
この子は、あたたまろうとしたんだね、と人々はいいました。
だれも、この少女が、どのような美しいものを見たか、また、どのように光に包まれて、
おばあさんといっしょに、新しい年のよろこびをお祝いしにいったか、それを知っている人はいませんでした。
(引用 同上)
最後の一文に、アンデルセンの愛を感じずにはいられません。
少女の死という悲しい出来事にもかかわらず、一筋の光、救いを感じます。
大みそかが終わり、新たな年になることで、清新な気持ちになり、希望まで持たせてくれると言ったら言い過ぎでしょうか。
貧しい少女が、やさしいおばあちゃんのもとで、新たな一歩を歩みだしている、
やはり、この物語は、大みそかであることに意味があります
これから迎える大みそか、さまざまな思いを胸に、温かい心を忘れずに、新たな年を迎えていきたいです。
ブログを読んでくださった皆さま、支えてくだり、応援してくださったお仲間や家族に心より感謝申し上げます
ありがとうございます
(おか りつ子)