今年一年を表す文字は「変」と発表されたが、発表される前日の朝、テレビで、それを予想する番組を見た。私は、朝は身支度をしながらワイドショーを渡り歩く。好みのコーナーの時間帯がわかっているのでそろそろ別のチャンネルに切り換えようと思った時、「女子高生に聞く今年の一文字」というコーナーが始まった。ほとんど期待せずに見ていた。インタビューをする日テレの羽鳥アナの軽妙な会話に誘われて、女子高生たちも素直にボードを掲げた。最初の一人は「太」という文字だった。私はてっきり年頃の彼女たちの考えることとして「今年は太ってしまって反省」とかなんとか、そういう類だと思っていた。ところが彼女は「これは麻生太郎の太。うちらの方がよっぽど漢字知ってる」と答えた。これには笑った。スタジオで見ていた人たちにも受けた。次に「値」という文字が登場した。「これは?」「今年は小麦粉やバターの値上がりがこたえました」「まるで主婦のような方ですねぇ」「はい、毎年バザーでクッキーを焼くのですが、今年は材料費が高くついて、仕方なく中身を少し減らしました」「なんか、似たような話をどこかでも聞きましたね」羽鳥アナの絶妙の突っ込みにまた笑いが起こる。次々と愉快なしかしなかなか鋭い答えが続いた。いつも楽しみにしている他局のワイドショーに切り換えようという思いは、いつの間にか消えていた。最後の女子高生は「狭」という字を挙げた。「我が家は大家族なので家が狭いです。早く自立して両親を助けたいと思います」「ご兄弟は何人?」「9人です」「9人!で、お部屋の数は?」「部屋が4つと台所とお風呂と...」「結構部屋数あるんじゃないですか?」「いえー、狭いです!だって、うちは暖房しなくても温かいですから」どっと笑いが起こった。それは誰の心をも温めるような素敵な答えだった。やるじゃん、と私は思った。彼女に何か御馳走したくなった。
予想したよりずっと面白くて鋭い答えが並んだ。なかなかな答えばかりを局側が選択したとしても。驚いたことに、その時数で一位を占めたのが「変」という文字だった。
若い人たちを絶望させてはいけない。希望のある未来を引き渡す責任が我々大人にはある。来年はもっと明るい一文字になりますように。
予想したよりずっと面白くて鋭い答えが並んだ。なかなかな答えばかりを局側が選択したとしても。驚いたことに、その時数で一位を占めたのが「変」という文字だった。
若い人たちを絶望させてはいけない。希望のある未来を引き渡す責任が我々大人にはある。来年はもっと明るい一文字になりますように。