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表現力を身につけるため

民訴 組合の当事者能力、任意的訴訟担当

2009-08-04 21:21:59 | 民事訴訟法
○問:組合が原告となる場合の処理

 甲組合が原告となるためには、甲組合に当事者能力が認められる必要
 そこで次に、甲組合に当事者能力あるか
 民法上の組合は、29条にいう「社団」にあたるかが問題

 同条の趣旨は、社会的活動をしている団体につき紛争が生じた場合には、それを直接当事者として扱った方が簡明であるため、独立した財産を有し、代表者の定めのある団体に当事者能力を付与する点
 そうだとすれば、民法上の組合も社会活動をしており、ある程度構成員から独立した財産を有しているから(民法676条1項、677条)、同条の趣旨が妥当
 したがって、民法上の組合も、代表者の定めがある限り、「社団」にあたり、当事者能力が認められると解する(判例に同旨)


○業務執行組合員が原告となる場合の処理

(1)まず、選定当事者としてはどうか(30条)
 組合に当事者能力が認められる以上、「前条の規定に該当しない」(30条1項)とはいえない

(2)次に、甲組合の規約により業務執行員乙に訴訟追行権が付与されている場合に乙が当事者となって訴えを提起し、判決の効力を組合員に及ぼすことが考えられる(115条1項2号)
 ところが、かかる方法は、選定当事者と異なり、明文ない任意的訴訟担当
 そこで、かかる明文ない任意的訴訟担当は、弁護士代理の原則(54条1項本文)、訴訟信託の禁止(信託法11条)に反し、許容されないのではないかが問題

ア 思うに、54条1項本文等の趣旨は、弁護士でない者の訴訟活動(非弁活動)により当事者の利益が害されることを防止し、もって司法制度の健全な運営を図ろうとする点
 とすれば、明文のない任意的訴訟担当は無制限には許容されない

イ もっとも、当事者が多数となる場合、1人を担当者として訴訟追行させることができれば、当事者にとって便宜であるとともに、裁判所としても手続が簡明となり便宜
 そこで、(a)弁護士代理の原則や、訴訟信託の禁止の趣旨を潜脱するおそれがなく、かつ、(b)これを認める合理的必要がある場合には、許容されると解する(判例に同旨)

民訴 任意的当事者訴訟

2009-08-04 20:43:47 | 民事訴訟法
問:甲は被告が乙と思って「被告乙」と訴状に記載したが、実際は乙が代表取締役をつとめ実質的には乙の個人企業であるA株式会社であった場合の処理

(1) 実質的表示説からは、当事者は甲と乙
ところが、訴求債権の債務者は乙とは別人格のA株式会社
したがって、裁判所は請求棄却判決を下す措置をとり、甲は改めてAを被告として訴えを提起すべき


(2) しかし、A社は実質的に乙の個人企業
にもかかわらず、請求棄却とするのは訴訟経済に反するし、甲としても訴訟資料を流用できれば便宜

とはいえ、乙とAは別人格だから、表示の訂正はできない
そこで、被告をA社に代え、A社に訴訟を引き継がせることができるか

ア 任意的当事者変更の法的性質は、新訴の提起+旧訴の取下げ
したがって要件は新訴提起の面から共同訴訟(38条)、旧訴取下げの面から訴え取り下げ(261条)の要件具備が必要となる。また、新当事者の手続保障(審級の利益)の見地から、第一審に限定される
 そして、その効果としては、新当事者の手続保障の要請から、旧訴の訴訟資料は当然には流用されない(新当事者が個別又は一括に追認し、援用することは許される)

イ もっとも、新旧両訴訟が同一視できるのであれば、控訴審でもなしえ、訴訟資料の流用も可能

ウ 本問では可能


民訴 当事者の確定、氏名冒用訴訟、任意的当事者変更

2009-08-04 18:37:01 | 民事訴訟法
問:原告AがBを名乗り、訴状にも原告Bとして、Xに訴えを提起した場合の処理

(1)口頭弁論終結前に判明した場合
ア 当該訴訟において、だれが原告か、当事者確定の基準が問題
 思うに、当事者確定の基準の明確性を維持しつつも、具体的妥当性との調和を図る必要がある
 そこで、訴状の当事者欄の記載を中心に、請求の趣旨・原因など一切の訴状の表示を合理的に解釈して判断すべきと解する(実質的表示説)
 よって、合理的解釈から、原告はB

イ もっとも、本件訴訟では、Aは被冒用者Bの意志に基かずに勝手に訴えを提起しているから、代理権欠缺による訴えと同視できる
 そこで、訴訟進行中に判明した場合、相手方は不適法却下を求めることができる
 裁判所もBの追認ない限り、不適法却下

(2)判決が確定した場合の判決効
ア 判決が確定した場合には、前述の実質的表示説によれば、判決効は被冒用者に当然及ぶ

イ したがって、被冒用者Bは、訴訟行為をするのに必要な授権の欠缺のあった場合に準じて、再審の訴え(338条1項)をもって、判決の取消しを求める措置を採ることができる