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表現力を身につけるため

定義

2009-09-01 23:32:26 | 民事訴訟法
民訴

・弁論主義
⇒定義:裁判の基礎となる事実の確定に必要な資料の収集・提出を当事者の権能かつ責任とする建前
⇒根拠:私的自治の訴訟上の発現形態であって、いわば民事訴訟の本質に根ざしたもの(本質説)
⇒機能:当事者意思の尊重と、不意打ち防止
⇒効果:裁判所は、当事者の主張しない事実を判決の基礎としてはならない(第1テーゼ)

・主要事実 権利の発生・変更・消滅という法律効果を判断するのに直接必要な事実
・間接事実 主要事実の存否を推認するのに役立つ事実
・補助事実 証拠の信用性に影響を与える事実

・当事者能力 民事訴訟の当事者となることのできる一般的資格
・当事者適格 訴訟物たる権利又は法律関係について、当事者として訴訟を追行し、本案判決を求めることができる資格
⇒共通点 共に訴訟要件として、だれが当該事件で原告・被告であるべきかを確定し、それ以外の者を訴訟から排除し、もって訴訟制度の効率的運営を図る点
⇒相違点 当事者能力は、訴訟物と離れて一般的に民事訴訟の主体たりうる者を割り出す為の基準  当事者適格は、そのものが当該訴訟の訴訟物との関係で、当事者とするに適した者であるかをさらに個別的に判断する基準


・法定代理人 代理関係の発生が本人の意思に基かない代理人
・訴訟委任に基く訴訟代理人 代理関係の発生が本人の意思に基く代理人のうち、特定の事件ごとに本人から訴訟追行の委任を受け、そのための包括的な代理権を授与されたもの



民訴:自由心証主義

2009-09-01 22:49:55 | 民事訴訟法
問:自由心証主義とその制限

1 自由心証主義とは、裁判における事実の認定を、審理に現れたすべての資料・状況に基いて裁判官が自由な判断によって形成された心証に委ねる建前をいう(247)
 複雑な事情の絡み合う訴訟においては、裁判官の柔軟で自由な判断を可能にする事が真実発見にもつながることから、自由心証主義が採用されている

2 内容は①証拠方法の無制限と口頭弁論の全趣旨のしん酌、②証拠力の自由評価
(1)証拠方法の無制限とは、裁判官が事実認定のためにあらゆる証拠方法を使用することができるということ
 よって、民事訴訴訟においては伝聞証拠や違法収集証拠も原則として証拠能力を有する
(2)口頭弁論の全趣旨とは、審理にあらわれたすべての資料・状況をいう。弁論の全趣旨は本来、証拠にもとづいて形成された心証と事実認定の隙間をうめるものとして機能する。しかし、証拠によって心証が得られない場合には、弁論の全趣旨のみから事実認定をなすことも可能であるとされている
(3)証拠力の自由評価とは、当該証拠がどの程度事実認定に役立つかについて裁判官が自由に判断できることをいう
 これは、当事者の側から見れば、当事者の一方が提出した証拠は自己に有利なものであっても、相手方の有利にも不利にも採用されうるということである

3 以上のような内容の自由心証主義にも制限がある
すなわち、①証拠方法の無制限の例外、②証拠力の自由評価の例外、③当事者の合意による制限
(1)①証拠方法の無制限の例外
ア まず、手続の画一性、迅速性などの要請から証拠方法が制限される場合がある。すなわち、口頭弁論の方式に関する規定の遵守は調書によってのみ証明することができる(160-3)。また、疎明は即時に取調べる事のできる証拠によってしなければならない(188)。そして、手形訴訟においては、証拠調べは訴訟に限られる(352-1)
イ 次に違法収集証拠も原則として証拠能力を有するが、人格権侵害や反社会的な手段を伴う証拠収集を防ぐ必要
 そこで、人格権を侵害するような反社会的手段によって得た違法収集証拠には証拠力が認められないと考える
(2)②証拠力の自由評価の例外
ア 文書の形式的証拠力については推定が及ぶので(228-2.4)この場合は証拠力の自由評価が制限を受ける
イ また、当事者が文書提出命令に従わない場合、証明妨害の際に制限を受ける(224-1.2 229-2)
(3)③当事者の合意による制限
 証拠契約など、当事者が特定の証拠を提出し無い事を合意したような場合、かかる合意も有効であると解する。なぜなら、弁論主義のもとでは、証拠の提出は当事者にイニシアティブが認められるからである。


既判力について(民事訴訟法)

2009-08-06 21:43:15 | 民事訴訟法
確定判決には既判力が生じる
既判力とは、確定判決の判断内容の後訴での通用力ないし拘束力をいう

 正当化根拠は、前訴において当事者は十分な手続保障が与えられており、結果についても自己責任を負うべきという考え方に求められる

 既判力の作用は、当事者は前訴判断内容に反する主張をなしえないという消極的作用と、裁判所も拘束されるという積極的作用

 既判力は原則として、主文で示された訴訟物たる権利・法律関係について生じ、理由で示された判断には生じない。その趣旨は、当事者間の紛争処理は、訴訟物について既判力を認めれば十分であるし、当事者の攻撃防御は訴訟物についてなされるので、手続保障が充実している点にある(114条1項)

 例外として、相殺については理由中の判断にも既判力が生じる。(114条2項)
その趣旨は、相殺に既判力を認めないと、後訴で同一債権の主張をなしえ、紛争が蒸し返されるおそれがあること、②別個独立の権利の存在を争う点で反訴提起に等しく手続保障が充足されており、自己責任が問える。

 私人間の法律関係は、常に変動しているがいつの時点での法律関係について既判力は生じるか。基準時の問題。
 この点、事実審の口頭弁論終結時まで当事者は訴訟資料を提出しえるし、裁判所もこの資料を基礎として判決をなす。
 とすれば、基準時は事実審の口頭弁論終結時と解する。

 形成権は起訴事実のほかに意思表示が必要。では、前訴で意思表示を欠いた形成権の主張を後訴でなしえないか
 この点、形成権は性質が様々であり個別の検討が必要
 取消権は、前訴訴訟物に付随した瑕疵であるから、前訴で争われた法律行為自体の瑕疵であるから、手続保障は充足されていたといえ、自己責任を問える。
 よって、既判力によって遮断される。
 相殺権は、前訴で争われた法律行為の瑕疵ではなく、別個の債権についての主張である。この点から手続保障が充足されていたとはいえない。
 しかも、自働債権の消滅という側面においては実質的に敗訴であり、前訴での主張を強制するのは酷である。
 よって既判力によって遮断されない。
 建物買取請求権についても、相殺同様の理由から遮断されない。


民訴 確認の訴えの利益

2009-08-06 07:43:36 | 民事訴訟法
問:確認の訴えの利益

 確認の訴えの目的は、権利関係の存否を既判力によって観念的に確定し、紛争を解決すると共に、将来の紛争を予防
 とすると、性質上、確認対象は無限に拡大
 また、確認判決は執行力を有しない
 そこで、確認の訴えの利益の有無は、①対象選択の適否、②即時確定の利益、③方法選択の適否という3つの視点から判断すべき


問:遺言の有効性の確認。過去の法律行為を対象としても、確認の訴えの利益が認められるか。①対象選択の適否が問題

ア 私的法律関係は常に変動し、過去の法律関係を確定しても、現在の法律上の地位の不安を除去できない
 とすると、過去の法律行為を確認しても紛争解決の実効性なし
 そこで、過去の法律行為を対象としても、確認の訴えの利益ないのが原則
 もっとも、過去の法律行為の確定が、現在の紛争の直接かつ抜本的な解決のため、最も適切かつ必要なら、例外的に確認の訴えを認めてよい

イ 遺言無効確認の訴えは、現在の紛争の直接かつ抜本的解決に最も適切かつ有効
 よって、訴えの利益が認められる

民訴 一部請求

2009-08-06 07:19:43 | 民事訴訟法
交通事故にあった原告Aは、被告Bに対して損害額3000万のうち、さしあたり500万の支払をもとめて提訴。

問:一部請求後、残部請求が許されるか

 思うに、私的自治の原則から、当事者意思を尊重し、一部請求後の残部請求も許されるべき
 もっとも、無制限に許すとなると、当事者間の紛争がいつまでも継続する可能性があり、妥当でない
 そこで、一部請求であることを明示している場合に限り、残部請求は許される
 しかも、そう解することで、被告に残部不存在確認の反訴(146条)を提起する機会を与えることができる


問:Aにも2割の過失が認められた場合。一部請求の過失相殺の方法が問題

 確かに一部請求後の残部請求が認められるとするなら、請求外の部分とは切り離して、請求金額を過失割合に応じて減額するべきとも考えられる(按分説)
 しかし、裁判所による損害額の認定や、過失相殺の割合の正確な予想は困難
 とすれば、当事者の意思は、過失相殺を自認し、なおこれだけは許容されたい趣旨で一部請求をしているにすぎない場合が多いといえる
 したがって、過失相殺の方法としては、損害の全額から過失割合による減額をし、残額が請求額を超えないときは残額を認容し、超える場合は、請求の全額を認容すべき(外側説)


問:残部の訴えが、時効期間経過後だった場合。一部請求における時効中断効の及ぶ範囲が問題

(1)この点、判例は明示された一部請求の場合、時効中断効の及ぶ範囲は、残部に及ばないとする
 確かに、明示の一部請求の場合、訴訟物たる権利関係はその一部に限られる
 しかし、訴訟物は、当事者間の権利を必ずしも的確に把握しておらず、むしろ、時効中断効の根拠に基いて判断すべき

(2)思うに、時効中断制度の根拠は、権利の上に眠っていない者の保護
 とすれば、訴訟を提起している以上、権利の上に眠っていない
 したがって、時効中断効は全部に及ぶ