(事例)
Aは運転を誤りBをはね、重傷を負わせた。AはいったんBの様子を見たが、死ぬ事はないと思い、Bを放置。その後通りがかったCはBに気づき、病院へ運ぼうと車に乗せた。しかし、以前からの恋敵であったため、死ねばいいと重いBを山奥に放置。Bは死亡。病院へ運ばれていれば助かった。
-----------------------------------------
(Aの罪責)
●Bをはね、重傷を負わせ、数時間後に死亡させた行為について業務上過失致死(211条1項)の成否を検討
⇒業務 ⇒行為
○因果関係(問題点の抽出:事案・論点) ⇒相当因果関係説 ⇒基礎事情(折衷的相当因果関係説)
○あてはめ ⇒ 条件関係 ⇒ 基礎事情を明らかに ⇒ 相当性の判断 ⇒ 三段論法の帰結 ⇒ 事案の問題提起に対応させる ⇒ 結論
●次に、Aはいったん自動車から降りてBの様子を見た後、放置しているから、保護責任者遺棄罪(218条)が成立しそう
しかし、Aは要扶助者Bを引き受けるなどその生命を支配できる地位にはないから、甲に保護義務は生じない
したがって、Aは「病者を保護する責任のある者」にあたらない
⇒結論 ⇒結論(Aの罪責)
(Cの罪責について)
●Bを自動車に乗せ、発信させたのに、死ねばいいと思いなおし、路上に放置して、Bを死亡させた行為について殺人罪(199条)の成否を検討
○問題の所在 ⇒論点の問題提起(不真正不作為) ⇒定義から ⇒歯止め ⇒規範
○あてはめ ⇒規範1に対応 ⇒規範2に対応 ⇒規範3に対応 ⇒三段論法の帰結
⇒結果・因果関係の認定
⇒問に答える(Cの罪責)
----------------------------
○相当因果関係説+折衷的相当因果関係説
(刑法上の因果関係の判断基準は)
思うに、因果関係の有無は当罰的行為を社会通念に基いて類型化した構成要件該当性の問題
そこで、条件関係の存在を前提として、その行為から結果の生ずることが、社会通念上相当であると認められることが必要と解する
そして、構成要件は違法有責類型であるから、相当性の有無は、行為の当時に行為者が認識していた特別事情および一般人が認識し得た一般的事情を基礎として判断すべき
○不真正不作為犯
思うに、実行行為とは構成要件的結果発生の現実的危険性を有する行為をいうところ、そのような危険性の実現は不作為によっても可能
もっとも、処罰範囲が不当に拡大しては罪刑法定主義に反する
そこで、①作為義務の存在、②作為の可能性・容易性、③構成要件的同価値性を要件として不真正不作為犯による実行行為性を肯定できると解する
Aは運転を誤りBをはね、重傷を負わせた。AはいったんBの様子を見たが、死ぬ事はないと思い、Bを放置。その後通りがかったCはBに気づき、病院へ運ぼうと車に乗せた。しかし、以前からの恋敵であったため、死ねばいいと重いBを山奥に放置。Bは死亡。病院へ運ばれていれば助かった。
-----------------------------------------
(Aの罪責)
●Bをはね、重傷を負わせ、数時間後に死亡させた行為について業務上過失致死(211条1項)の成否を検討
⇒業務 ⇒行為
○因果関係(問題点の抽出:事案・論点) ⇒相当因果関係説 ⇒基礎事情(折衷的相当因果関係説)
○あてはめ ⇒ 条件関係 ⇒ 基礎事情を明らかに ⇒ 相当性の判断 ⇒ 三段論法の帰結 ⇒ 事案の問題提起に対応させる ⇒ 結論
●次に、Aはいったん自動車から降りてBの様子を見た後、放置しているから、保護責任者遺棄罪(218条)が成立しそう
しかし、Aは要扶助者Bを引き受けるなどその生命を支配できる地位にはないから、甲に保護義務は生じない
したがって、Aは「病者を保護する責任のある者」にあたらない
⇒結論 ⇒結論(Aの罪責)
(Cの罪責について)
●Bを自動車に乗せ、発信させたのに、死ねばいいと思いなおし、路上に放置して、Bを死亡させた行為について殺人罪(199条)の成否を検討
○問題の所在 ⇒論点の問題提起(不真正不作為) ⇒定義から ⇒歯止め ⇒規範
○あてはめ ⇒規範1に対応 ⇒規範2に対応 ⇒規範3に対応 ⇒三段論法の帰結
⇒結果・因果関係の認定
⇒問に答える(Cの罪責)
----------------------------
○相当因果関係説+折衷的相当因果関係説
(刑法上の因果関係の判断基準は)
思うに、因果関係の有無は当罰的行為を社会通念に基いて類型化した構成要件該当性の問題
そこで、条件関係の存在を前提として、その行為から結果の生ずることが、社会通念上相当であると認められることが必要と解する
そして、構成要件は違法有責類型であるから、相当性の有無は、行為の当時に行為者が認識していた特別事情および一般人が認識し得た一般的事情を基礎として判断すべき
○不真正不作為犯
思うに、実行行為とは構成要件的結果発生の現実的危険性を有する行為をいうところ、そのような危険性の実現は不作為によっても可能
もっとも、処罰範囲が不当に拡大しては罪刑法定主義に反する
そこで、①作為義務の存在、②作為の可能性・容易性、③構成要件的同価値性を要件として不真正不作為犯による実行行為性を肯定できると解する