MINOKICHI JP   Tokyo Japan

毛玉生活満喫中?
濃すぎるポーリッシュ・ローランド・シープドッグのお話。

北欧珍道中記 パート3 (その8)

2008-08-09 16:22:11 | 北欧珍道中記 パート3-1
イサックのブリーダーであるアネットはハバネーズのブリーダーでもある。
明日のショーにアネットから購入したハバネーズを出陳させるメンバーもパーティーに加わっていたのだ。

「ほーら、嗅いでみて。ポンに比べたらとってもいい匂いのハバネーズよ。」

あまり犬を頻繁に洗わないヨーロッパの中でもポンは特に洗わない犬種と言える。
ポンのコートの油には独特な自浄作用があり、それを生かす為に滅多に洗わない事がいいとされているのだ。
日本のような気候ではないので、2週間に1度徹底的にコーミングをすれば皮膚もコートもいいコンディションでいられる。
もともとあまり体臭のない犬種であっても、洗わなければ獣臭がしてしまうのは仕方がない。

ところがハバネーズのコートにはポンのような自浄作用はないらしく、すぐに汚れてしまうために2週間ごとのシャンプーが必要とのこと。
2年間洗っていないポンと2週間ごとに洗っているハバネーズを比べちゃいけないと思うのだが・・・。

「常にいい匂いのうちのイサックはハバネーズの中でも美男子で最高なの!!」

どうやらアネットは自分のところで生まれたポンとハバネーズのオスの黒ちゃんの名前を同じにしていたようだ。

「あらっ、あなたの犬もイサックというの!?何年何月何日生まれよっ!ええ、2006年8月?ほーほほほほっ!うちの子の方が先だわよ~!!」



同じ犬舎出身で同じ名前の真っ黒な犬。
おばちゃんヒートアップしちゃって、ついに私は彼女のログまで拉致されてしまった。

「いい事を教えてあげる。グルーミングにはいいシャンプーとスプレーを選ばなきゃ駄目。ヨークシャーテリアにいい物がハバネーズにはぴったりなのよ~。」
化学的な物を一切使っていない物を使用する事の重要性や用品の使い方から始まり、如何に色んな製品の試供にお金を使ったか等の説明だった。



「基本はヨークシャーテリアなのっ!」
シルキーコートのグルーミング方法の講義をじっくり聞く羽目になっちゃって、どうしたものやらと考えているうちに1時間近く経過。
13歳にして175センチの息子を通訳として横に据え、ありとあらゆる物を出しては説明をしてくれていたその時、何を思ったか突然全てをしまい出したおばちゃん。

「・・・よく考えたら、あなたポンを飼っているのよねぇ。どーせ洗わないんだから、こんなに一生懸命説明しても意味無いわよ。だって・・・臭いポンだもの。」

何だかお互いとっても可笑しくなってしまい、大笑いしながら皆がいる場所に戻ることになった。

パーティー会場ではヨーロッパ各地から集まった人々が自己紹介しながら自分のポンの話などで盛り上がっていた。
白夜のパーティーはいつまでたっても終わりを迎えず、朝方までわいわいがやがや・・・眠らずにドッグショーの朝を迎えた・・・と思う。(時差に負けて、我々日本人は早々と撃沈。いつまで続いていたかは不明。)



北欧珍道中記 パート3 (その7)

2008-08-06 20:37:15 | 北欧珍道中記 パート3-1
「私は子犬だからといってあっちこっちに興味深々で呼び戻しができないなんて嫌なの。」
とカリーナは言いながら、目が合う度『なんていい子でしょう!』と褒めながら子犬たちにドッグフードをやっていた。

「こうやって常に訓練的にあげているわけだから、必要以上にあげたらデブデブになっちゃうでしょ。きちんとしたご飯の時間の量はすごく少量にして調整しているの。」
子犬の頃から、『ママの側にいればいいことがある!』と教え込むにはいい方法だ。

この2頭のうち1頭は自分の犬舎に残した子であるが、もう1頭は外に出した子である。
飼い主さんに頼まれて社会化の為に連れて来たそうだ。



もともとブリーダーと言っても海外のブリーダーは副業としてやっている人ばかりで、本業は他にある。
数年に一回しか出産させないというのも多いし、年に一回しか産ませないというのも通常だ。
7歳以上の出産や年1回以上の出産を法律で禁止している国も多い。

「私はブリーダーとしてはそんなに数をこなしているわけじゃないわ。でもね、今までチベタン・ビアデッド・オールドといった毛足の長い同じような犬種を飼って来て、この犬の聡明さや面白さに惹かれてポンのブリーダーになったわけ。素晴らしい犬種だと思う反面、こういう犬にはきちんとした社会化や強い指導力が必要だと思うの。」

日本のポンは非常によく吠え、人間に触られることを苦手として歯を剥くことも多々ある。ところが海外のポンはとても友好的で吠えることが少ない。

○性格的に臆病であったり攻撃的な個体は繁殖に使わない
○アレルギーや遺伝的疾患を持つ、または遺伝的疾患を生み出す遺伝子を持つ犬での繁殖はしない

この二つを徹底させることでいい遺伝子のみを残していっているからなのだと思い込んでいたのだが・・・それだけとは言えない部分をカリーナに指摘された。

「私はニューヨークにいたから日本人をいっぱい知っている。日本人はとてもやさしい国民性よね。しゃしゃり出ないし、我慢をするし、皆と仲良くする。そんな国民性がポンの問題を大きくしてはいない?
私はうちの犬を買いに来る人達の行動をよく観察するようにしているの。それから決断して言うのよ。『そんなことじゃ駄目。そんなんだったらあなたはキャバリア・キング・チャールズをお飼いなさいな!この犬は初めて飼うのに適した犬じゃない。きちんとリーダーシップを取れる人間でないと駄目よ!!』ってね・・・わかるでしょ。」

わかるっ!よーくわかるよ、あなたが云わんとしている事。

「子犬時代の社会化も重要よ。私はうちの子犬を積極的に職場に連れて行くの。」

障害児の学校の教師をやっている彼女は毎日子犬を連れて登校しているそうだ。生徒にも子犬にもいい経験になると彼女は思っているからだ。
今回一緒に連れてきた♂の子犬は消防士のおうちに貰われて行った子で、この子もまたパパと一緒に通勤しているのだそうだ。
子犬の寝姿に消防署員の心は癒されるだろうし、犬も緊急サイレンの轟音や出動の騒がしさにたじろぐことの無い強い精神力を養うことができるであろう。

犬との共存を社会的に認める国だからこそできるシステムだが、このスウェーデン、決して犬の頭数が多いというわけではない。
10軒に1軒飼っているかいないかの割合なのだ。
ただ、犬を所有する人間は「いかに社会に認知してもらえるか」と真剣に取り組んでいて、外から見る分には神経質とも受け取れるほど訓練や飼い方に力を入れているのがわかる。
「私達はこれだけの注意と意識を持って犬と共生している。そんな私達・犬達に同等の権利を与えてはもらいたい。」という飼い主側の主張が、「動物との共生は野生を捻じ曲げずに自然の摂理に従い、尊厳と愛護精神を念頭に法を守ること。」という制度とうまい具合に融合して今の形になっているのだろう。

ヨーロッパ諸国の犬に対する「意識の高さ」というものは、こういった人々の努力の賜物なのだね。

一つ一つの話に感心している私の後ろで何やら変な歌声が聞こえてきた。

「くさい、く~さい!くさい、くさい!ポンはと~っても臭い犬!!」
何だって!?
「ほーほほほほほっ!あなたもそんな臭い犬を飼っているの?そんな変な匂いの犬は止めてハバネーズをお飼いなさいな。ハバネーズはね、とーってもいい匂いのする犬なのよ。あ~やだやだ、ポンはほんとに臭いわあ!!」

誰なんだ?このおばちゃん達?


北欧珍道中記 パート3 (その6)

2008-08-05 16:21:49 | 北欧珍道中記 パート3-1
今回の旅でまず最初にカティスに会ったら聞いてみたいことがあった。

「イサックの毛食いに関して、頭を使うトレーニングで疲れさせるようにアドバイス貰ったでしょ・・でもね、うまくいかないの。おやつを隠して探させようにも、あまり乗ってこないのよ。簡単に見つかるものだけを食べて他に見つけようともしないし、見つける努力を一切しないの。諦めが早くて、一つのトレーニングに集中させる事がとても難しい。毛食いは収まらないし、トレーニングもしたがらないし・・・どうしたらいいの。」

そうなのだ。イサックはとても温和でやさしい子なのだが、諦めが早く根気が無い犬なのだ。
何かに興味を持ったりやろうとしても全てポンポン・ポコポン・デコポンが取り上げたり邪魔をし続けたせいで、「諦める事が生きる道」と決めてしまったようだった。
トレーニングをしたくても、今一つ集中力に欠けていて始められないし続かない。
だからと言って落ち着きが無いわけでもなく、ただそこに「ボー」っと立っている・・・そんな感じ。
無理矢理やろうとしたり、私が舌打ちをしたりして不快感を表現してしまうとすぐにしょげてしまう。
引っ張りっこをしようよと口の中に入っているボールの先の紐をいきなり引っ張って、口からボールを出してしまうだけでもう駄目。
悲しげに踵を返して自分のケージに入っていってしまうのだ。

自分でも納得がいかないから「毛食い」に走るのだろうけど・・・どーしたらいいんだよっ!っていうか、お前はどうしたいんだよっ!?

「お腹空いてないのよ。」
「はい?」
「朝晩二回のご飯を・・・そーね、どのみち夜行性なんだから夜だけにしてみて。自分から餓死する犬なんていないから、お腹が空けば野生が働き出して『隠したおやつはどこだ~!どこなんだー!探してやるー!!』ってなるわよ。おやつが欲しくない犬なんていませんからね。イサックは単に探し出すほどお腹が空いてないだけよ。ご飯を減らしなさいな。何だったらあげなくていいんじゃないの?以上!!」

バタバタと動き回っているカティスの前で・・・多分・・・私は鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしていたんだと思う。

そんだけ?この悩みはそんだけのものなわけ?
ご飯やんなきゃいいだけで、そうすりゃおやつを使ったトレーニングが出来て、トレーニングで頭がヘトヘトになったイサックは毛食いしなくなるんだ。
そんな「風吹きゃ桶屋が儲かる」方式なわけ?

呆然と立ち尽くす私にカティスは一言。
「JUST TRY! MIOKO!! JUST TRY!!」
そっ、そうね、やってみるしかないわよね。

そんな時、私の横をテケテケと歩くポン発見。
何処をどうみてもブラウン・ポン。



現在日本には1頭もいないと思うし、ヨーロッパでも数少ないブラウンを見るのは初めてだった。
「フィンランドの犬舎から来たの。ブラウンでも全体的なブラウンでなく、白とのコンビネーションはスウェーデンでも1頭のみで、全世界的にも珍しいと思うわ。」
確かにっ!確かにそうだわね。

しかし、あちらこちらにポンがうじゃうじゃいて壮観だ。
昨年まではオランダからの♂ポンのヒューゴしかいなかったヘイレンの所にも、フィンランドからの♀ソフィが加わっていた。



カローラのムーンレイク・ケンネルでも子犬が産まれていてふわふわ・わさわさと賑やかだ。



子犬の手触りは何でこんなにいいのだろう。

18時からのパーティーは、各地から集まったポン仲間の親睦会だった。
犬達を遊ばせながらグループ対抗のゲームをしたり、持ち込んだ食材をバーベキューにしたりして気ままな時間を過ごす屋外パーティーである。
世話人として忙しそうにしていたカティスに変わり、スウェーデン人と結婚してこの地に住み着いたアメリカ人のブリーダー、セダリーナ・ケンネルのカリーナが私達を接待してくれた。



彼女はオランダから来たビッグサイズな♀のオルガ(オランダトップ犬ファーマンの妹にあたる)と、他の♀が産んだ子犬を2頭連れていた。


北欧珍道中記 パート3 (その5)

2008-08-02 17:04:48 | 北欧珍道中記 パート3-1
午後になって私達は中央駅よりボーロスという街へ向かった。
このボーロスでは年に一回、「インターナショナル・ドッグショー」という大きなドッグショーが行われるのだ。



途中乗り換えて計4時間の列車旅。例のごとく列車には犬も多数乗車していたのだが・・・二人がけの椅子が向かい合ったボックス席の机の下にはゴールデンとロットワイラー(知り合い同士の犬ではない)とパグとジャックがいたりして・・・乗客が移動する間は邪魔にならないよう重なり合うようにしていた。列車が動き出してからは通路にはみ出したりしてはいたが、喧嘩することもなく、「ワンワン」と騒ぐ犬など皆無。見事な躾にただただ感動するばかり。


ボーロス駅ではアネットと合流。
毎年のように現れる私達を常に歓迎してくれるアネットもドッグショーに参加するのだ。

スウェーデン人は自然をこよなく愛する国民性で、夏の間は国内のキャンピング場をキャンピングカーで移動しながら楽しんだりしている。
私達が2日間宿泊したのも「ボーロス・キャンピング場」という場所だった。



キャンピングカーの人はそのまま車を置く場所と電源を借り、車のみで乗り込んだ人は小さなログを借りるというわけだ。
私達は場内の、トイレ・シャワー・キッチン・リビングは共同だけどベッドの部屋だけは個別というユースホステル式の建物に宿泊。



このキャンピング場の奥がドッグショーの会場となっていたので、ヨーロッパ各地から犬連れの車がやって来ていた。
「荷物を置いたら見にいらっしゃいな。私達もキャンプ場の一角を借りていて、その部分だけが『ポン・ビレッジ』になってるの。ポン・メンバー・パーティーを18時から始めるから、食事をしながらゲームやお話をしましょうよ。」



今回のインターナショナル・ドッグショーの会場内では、非公式ではあるものの「ポン・スペシャル・ドッグショー」が開催されることになっていた。
来年20周年を迎える「スウェーデン・ポン・クラブ」が行う一大「ポン・スペシャル・ドッグショー」の予行演習みたいなものである。
それでも出陳頭数65頭。
少しづつ頭数が増えていると言ってもまだまだ稀少犬種であるポーリッシュ・ローランド・シープドッグが、ドッグショーに65頭も出てくるというこの層の厚さ!!すごいものだ。

ログの前にたむろすポン達とオーナーさん達に挨拶をしながら「ポン・ビレッジ」を散策。
本当に皆室内に入っていない。短い夏の太陽を謳歌するかのごとく、皆屋外で過している。(これ日本だったらすぐに皮膚癌だな)



「ああ、あなたがミオッコね!遠い国からようこそ。イサックは連れてこなかったの?日本では黒いポンはほとんどいないんですって?」
「遠すぎるわ。いくらなんでもかわいそうだから置いてきちゃった。これが私のキュートでスマートでゴージャスなイサックの写真。見たい?」
「うんまあ、何て美しい犬でしょう。ゴージャスな毛だわ~。スタイルはいいし、いい頭の形!あなたは本当にラッキーね。」
「そうなの。私は本当にラッキーだったわ。イサックは来るべくして私のところに来た美しい天使なの!!この子はあなたのポン?」
「そうなの。愛くるしい女の子でしょ~。素晴らしい性格で、パーフェクトな子よ。」
「ほんと、素晴らしいわ~!!」

どーよ、この会話。
日本人の私にはきつい会話だわよね。でもね、こういうふうに言わないと駄目なのよ、外人さんには。

「うちのお馬鹿毛玉ったらわんわんうるさくって、舌の一本でも抜いちゃうかってな感じ。けけっ。お尻をぺしぺし叩くと喜んじゃって何だかへんてこりんな犬なわけよ。」

こんなこと言っちゃ駄目!!言ったが最後で「犬を虐待する東洋人!!」の汚名を着せられちゃうからね。

自分の犬がかわいくない飼い主なんているわけ無し。
自分の犬がお顔も性格も一番可愛いの。
だけど・・・そんなことを口に出して言ったら・・・「何なの?あの人。」くらい言われちゃうのが日本人。
「うちの子はあまり出来のよろしくない子なんです」くらい言っておけば目立たないし反感も買わない。
出すぎた真似をせず、平均的な所で和を乱さない・・・それが日本人なの。

でもね・・・この考えがこの旅でこんなにも大きな出来事を招くとは・・・まだこの時点ではわかってなかったのよ。


北欧珍道中記 パート3 (その4)

2008-07-30 12:55:31 | 北欧珍道中記 パート3-1
特に何をしたわけでもないのに、旅の移動というのは異様に疲れるものだ。
私たちの今晩の宿泊先は、セントラルステーションすぐ近くのホテルである。

ストックホルム・アーランダ空港よりセントラルステーションへは「アーランダ・エクスプレス」という急行電車が出ている。
20分間でお一人様8000円。ところが夏の間は2名1組で8000円。
どう考えても3人組の私たちにはやさしくないシステムである。



エマージェンシー心をくすぐられる黄色が可愛くて写真を撮っていたのに、3人で一心不乱に撮影している姿が異様映ったのか、
「とってもエキサイティングな機械だろ、これ。そりゃあ、一生懸命写すだけの価値はアリアリだよ!クールな奴なんだよ、この機械はさ!」
と冷やかされてしまった。
「イエース!こんな素敵な機械初めて見たわぁ!」
そう言って肩をすぼめるしか・・・ないわね。

スウェーデンは岩盤が固いのか、どの駅も岩をくり貫いただけの中にあったりするのだが、アーランダ・エクスプレスの駅も同じような感じであった。
入るなりひんやりとしていて、寒いくらいだ。
地下深くに作ってある駅の地下道の壁沿いにはジャガイモやら紫キャベツやらが積み重なっていて、一大事の防空壕や食糧貯蔵庫代わりになっていた記憶が甦ってきた。
そうそう、こんな心地よい湿気を含んだ匂いだった。

またもや匂いの記憶に感動しつつ乗車。きれいな車内は生犬を乗せてもいい車両があり、多くの乗客が利用しているようだった。



中央駅から歩いて2分。
日本の我が家を出てから25時間以上経て、今晩の宿泊先、「アドロン・ホテル」にようやく到着である。
直行便がないと異様に遠い北欧だ。



さて、朝になり(白夜なので、夜はないのだけど)予約しておいたチケットを自動発行しがてら駅中を散策。
さすが首都だけあって、ヨーテボリ等よりは観光客の数も多い。
中央駅を右に見て海側に向かえばすぐに観光スポット、王宮である。
王宮観光は3日後に予定していたので途中で切り上げ、ノロノロと街中を歩いてみた。

「!」
「どーした?」
「ここ、来たことある。」
「そりゃあ、あるんじゃない?住んでたんだから。」

そりゃそうなんだけど、10歳前後の3年半だ。
もう30年の月日が経ってしまっていて記憶も定かではないし、建物も変わってしまって・・・!!!・・・いないんだよ、スウェーデン。
あの時のまま・・・同じ景色が広がっているのだ。

「あれはオペラ座!オペラ座の横のあれは絶対にホテルだと思う。それもグランド・ホテルっていうホテル!!そのグランドホテルの横の道を入ったところに赤いレンガの建物があって、その建物の横に緑色の屋根の家があるはずっ!」



確かに私の記憶は寸分の狂いもなく、私が確実にこの地で暮らしていたことを証明するものだった。

「うちの馬鹿な姉ちゃんがさ、そこで白鳥に餌をやってて・・・手袋食わしちゃったんだよね。その手袋がさ、落とさないようにって両手部分に糸をくっつけて肩に通してあるタイプだったのよ。父親がすぐに引っ張り戻したから手袋だけ持ってかれたんだけど・・・遅かったら空中に連れてかれてたわね。白鳥の食いつきって結構すごいって知ってた?アンデルセンだかイソップの童話みたいに白鳥に連れてかれてたら・・・あんなに意地悪な女にならなかったかもね・・・。」

もう正直どーでもいい話なんだが、昔の記憶がどんどこ甦ってきちゃって止まらないわけである。

「あのグランドホテルさ、美智子様や天皇もご宿泊された由緒正しいホテルなんだけどね、仲良かったアンネのパパが料理長だったから特別に調理室でステーキ焼いてもらって食べたことがあるんだ。でっかい調理室でさ~、美智子様達がお使いになった椅子やエレベータまで座ったり乗せてもらったり。でもさ、あんまり美味しくなかったような気がすんのよ、ステーキ・・・。」

本当にどーでもいいような記憶ばかりである。

こんなに何もかも変わっていないストックホルム。
まだあの時住んでいた街や家は変わらずに残っているんじゃないだろうか?人々も変わらずそこにいるんじゃないだろうか?

会いたいな・・・みんなに。


北欧珍道中記 パート3  (その3)

2008-07-29 18:56:02 | 北欧珍道中記 パート3-1
ヒースロー空港は今日もどんより。
って言うか、イギリスっていつもどんよりなイメージなんだもーん。



今年3月(1月は間違い)にオープンしたターミナル5に到着。到着と言っても飛行機を降りてから専用電車で1駅分移動して、降りるやいなや河童の頭みたいな物が吊るされている天井に向かって上へ上へと行くわけ。





近未来的な建物は素晴らしいとは思うんだけど・・・広すぎんのよね。
ようやくターミナルの入り口らしき所に来ても、ここから所持品チェックが始まるのだ。手際の悪い係官のせいで長蛇の列が出来上がっていた。
ロンドンに到着してからはこの長蛇の列ばかりで待ち時間多し。

「ターミナル5はできたばっかりで現地は混迷しているんです。荷物が届かなかったり、トランジットに間に合わなかったりの事件が頻発しています。乗り継ぎ1時間半は危険だと思います。」
代理店のアドバイスで3時間のトランジットに変えておいて賢明だった。

上着から手荷物、ベルトに靴までプラスチックケースに入れて、金属探知機のゲートを通り抜けるわけだが・・・「ペチペチ」「ペタコンペタ」・・・夏で裸足の人も多くてみーんなペンギン状態。
前を歩くお腹のおっきなおじいちゃんはズリズリと下がるズボンがお膝に固まってしまい、ヨチヨチ・ペチペチと皇帝ペンギンのようだった。

ようやく通過し、バスルーム(ほほっ、ちょっと上品)へ。



ヒースローのお便器・・・国技館力士専用並みの多きさじゃないこと(見たことある?)!
蛇口からは蒸気が出てくるしっ!火傷するかと思ったわよ。

ああっ、びっくりだわ~なんて歩いていたら・・・エッチな郵便ポストみーっけ。



夏だからいいけど・・・冬は風邪ひいちゃいそうよ。

ゆっくり新ターミナルをお散歩なんて暇もなく、ストックホルム行きに乗り込むことになったオバチャンズの前にはまた食べ物。



ポンポコリンのお腹を抱えて何でまた完食しちゃうかがわからない。
ストックホルムまでは2時間半。何だか・・・コペンハーゲンからヨーテボリに行くよりも遠い感じがした。
お尻が疲れちゃうのよね。

またしてもウトウト。
いつの間にか外は北欧白夜。私が子供の頃の3年半を過した北の大地は・・・相も変わらず白夜でもって私を迎えてくれた。
夜9時半ストックホルム・アーランダ空港に到着。





「上野駅には醤油の匂いがする」って言い張る人がいた。
「成田空港の匂いで日本に帰って来たなって実感する」という人もいた。

今はわかるよ、その意味が。
だって・・・ストックホルムのすんごい懐かしい匂いに包まれて、今にも泣き出しそうな気分だったんだもの。
匂いの記憶って・・・本当に鮮烈だ。


北欧珍道中記 パート3  (その2)

2008-07-28 15:46:06 | 北欧珍道中記 パート3-1
「ねえねえ、やっぱり英国人ってお鼻が大きいわよね。ちょっともったいぶった英語に大きなお鼻。みーんなチャールズに見えちゃうわ。(きゃっ、きゃっ)」
いびきを掻いて寝ている二人の耳元でフライトアテンダントの男性の話をし、はしゃいでみた。
『くぴぃー、すぴぴー。』
つまんねえっ、つまんねーんだよ、せっかくの旅!!

そのくせ食事の5分前にはむっくり起き上がって、
「イエース、カフィ プリーズ」
とか言っちゃってる。体内時計ってすごいよ。

さて、お食事。
いつもお写真を撮ってから食べるのに、あまりの空腹で忘れて食べちゃった。
ビーフシチュー ウィズ マッシュポテートッ だったわ。



正直な話、スカンジナビア航空の食事はどこをどういじったらこんなにまずくなるのか?という物だったので、今回も全く期待していなかった。
イギリスだからね(すんごい偏見かもしれないけど)・・・あまり食文化に長けていないイギリスだもんと思って一口食べたら・・・おいしかったよおおおお!
ペロっと完食。ホットティーもホットコーヒーもおいしくて、「さすがはアフタヌーン・ティー(お三時)のイギリス」なんて大喜び。

満腹になったら眠くなっちゃって、グウグウ高いびき。
おばちゃん三人で船漕いで、トイレ行ってまた船漕いで、前方の画面で映画を見ていたらまたお食事。
今度はお夜食。



へんてこりんなスパイシースナックに甘いチョコがかかったビスケット、ハム&チーズサンドを食べたらまたもやおいしくて完食。
お腹いっぱいでまたまた船を漕ぐ東洋のおばちゃん3人。
うとうとしている時間が長くて、奇妙奇天烈な光景を見ることもなく、発見もあまりなかった飛行機の旅であった。
一番の要因は周囲が全て日本人だったこと。それも女性が大変多かったことだ。
目が覚めた瞬間、座席の上に正座をしてお煎餅を食べているおばちゃんと目が合っちゃったりして、「はとバス」の雰囲気がぷんぷんなわけ。
そんなローカルな雰囲気が長旅の緊張を和らげてくれたんだと思う。

そうこうしているうちに飛行機はストックホルム上空を飛び越えイギリスへと向かっていった。
イギリスに着いたらまたスウェーデンに取って返すようなものなので、ついつい呟いてしまう。
『ここで下ろしていただけると助かります。』
無理だわね。

「あと一時間半で当機はヒースロー空港に到着致します。最後のお食事をお楽しみ下さい。」



また食事・・・動いてないからお腹は全く空かない・・・はずなのに・・・何故に間食?

ペンネアラビアータと魚をそれぞれ選んで回し食べるというおばちゃん技で満喫。おいしゅうございました。
満腹のお腹を擦りながら窓の外を眺めれば、そこはイングランド!!



「あれがかの有名なビッグベン。あれはロンドン塔です。」
後部座席で日本人ツアー客に説明をしている添乗員さんに、
「どれどれ?どれがロンドン塔??」
ってツアー客のふりして聞いてもバレバレなんだけどね。

そう言えば・・・小学校の修学旅行の時の事。
皆がガイドさんを「テンジョウインさん、テンジョウインさん」と呼んでいるのを聞いて、勘違いしてたっけ。
『何て高貴なお名前の人だろう。』

すんごく馬鹿にされたのを・・・思い出した。


北欧珍道中記 パート3  (その1)

2008-07-27 20:55:05 | 北欧珍道中記 パート3-1
毎日事件が起こるので、なかなか始められなかった「北欧珍道中記」、はじまりはじまり~。
後が詰まっているので、今回はかい摘む程度で終わると思っていただきたい。
又しても「生保詐欺事件」に巻き込まれている私は、明日大きな局面にぶち当たる予定で、そんなも話もてんこ盛りにあるのだ。


6月27日の早朝5時起床。
でっかい荷物を持ってタクシーに乗り込み、新宿駅西口へ。
ここでバスの切符を購入し、向かうは成田第一ターミナル。

またなの?
そう、このところ毎年のように行っているスウェーデンへ・・・またしても行ってしまうというしつこさ。
何でか?
「ワールドドッグショー・イン・スウェーデン・ストックホルム」に行くからなんだけど・・・何となくこじつけ。

子犬を連れ帰ることを念頭に去年・一昨年はスカンジナビア航空にしていたのだが、今回持って帰ってくるものは大量のお土産のみ。



お安い航空会社を選んだつもりでも、サーチャージと空港使用料で5万円突破。夏休み前の渡航で往復13万3000円じゃ・・・都合18万5000円で全然お安くないじゃんっ!
イサックの時の人間航空代金が11万でヴォッコの時が15万、今回が18万で・・・2年で1.6倍以上!?・・・なんだっつーのよ。

どうせ行くんだったら楽しまないと駄目。
目指すはいつものスウェーデン・ヨーテボリでなく、首都ストックホルムなのだからしてっ!

でも気分はとってもブルー。
何でか?

いつものあの人登場。それもおまけまでつけて。



「おひさしぶりぶり~、やっぱり旅は多くないとね~。一人よりは二人。二人よりは三人。楽しみましょーねー!!」



楽しむのは賛成。
だけど・・・やっぱりこの人・・・寝るのよ。



機内に入って着席して、シートベルトつけた途端・・・・「くぴー・・・んっく(ちょっとした痙攣)・・・グゥウウ~」って絶対に何か病気を持っていそうな熟睡状態。
機内で会話に花が咲くってことはないの・・・この人とは・・・。

じゃ、おまけのこの人。
ポン仲間の「いずさん」は?

よく考えたらこの人もそうだったの。あまり反応が無いなと思うと寝入っているタイプの人だったのよおおおおおっ!

「皆様、本日はブリティッシュエアラインをご利用下さいまして、誠にありがとうございます。」
『クピー、ズズズピー、スピー』
「当機は現在なんちゃらかんちゃらで、機長マーク、チーフ・アテンダントのパティ以下、皆様のうんちゃらかんちゃら・・・」
『ぎゅうぅう~すぴープップー』
安定飛行前に東洋のおばさん二名は爆睡で、なーんにも面白くないわけ。

そのくせ最初のお飲み物のサービング数分前にはむっくり起きちゃって、
「ビヤー プリーズ!」
って・・・旅慣れてるよ、カブカブ。

前回耳下腺だか舌下腺だかが腫れて死ぬ思いをした「プリッツェル ビール事件」にならないよう、私は敢えてジャパニーズティーをお願いしてみた。
「ジャーパーニーズティー プリーズ」
「オーマーム イィ~エモ~ン オーケィ?」

パックに入った「伊衛門」・・・初めて見たよ。