MINOKICHI JP   Tokyo Japan

毛玉生活満喫中?
濃すぎるポーリッシュ・ローランド・シープドッグのお話。

ミノキチ幼稚園4期生⑤

2018-12-31 19:29:12 | 日記
「転がしてみたら出血してた!」

緑色の髪が印象的な歯科医から電話がかかってきました。旅から戻ったらヒートが始まっていたけれど、そんなに日数は経っていないはずだからすぐに連れて行くという連絡です。
前回のフレイとの交配が失敗し、今回が最後のチャンスとばかりに海老名在住のアンズが送り込まれました。正室ピグの方様、側室熊の方様、側室杏の方様そろい踏みですが、同胎なので出自で上下を付けることができない事に気が付きました。

杏の方様は匂いが出ていて家に連れ帰るわけにもいかず、店に寝所を定めて交配に備えていたのですが、私が帰宅する度に漂わせる香りにフレイは気もそぞろ。「あのね、」と声をかける熊の方様に「あ、そ。」とつれなく、私も琵琶をべんべんと掻き鳴らし、平家物語を唄うしかありません。

「祇園精舎の鐘の音、諸行無常の響きあり。ああ、覚めやすき春の夜の夢、風の前の塵~、ううっ。」



この頃から熊の方様は平常心を失われて、食欲に走られていくのです。
お腹が空いた、お腹が空いた~と、餓鬼に取り憑かれたお方様はとうとうみののお局様のバイクの鍵やら1円玉まで食べるようになり、店の1階に降りてはトリミングで落とされた他の犬の毛までむしゃむしゃと食するようになって行ったのです。
妊娠の有無は交配後1月経たないとわかりません。ついには2本目のバイクの鍵を食べるまでになり、少しづつ大きくなっていく腹には子供でなく盗み食いしたアルミ箔などの光り物が貯まっていってるのではないかと、私は疑心暗鬼になっていきます。




本年も大変お世話になりました。来年もどうぞよろしくお願い致します。(有)ディンゴ ミノウラ


ミノキチ幼稚園4期生④

2018-12-30 20:58:25 | 日記
「むーちゃん前回ヒートになってないと思う。だって出血なんてしてなかったもの。」

ご実家がいくら主張しても、熊の方様がおっぱいピューピューの偽妊娠を起こしていた以上ヒートはあったはずです。どうやったらヒートを見落とせるのかと不思議だったのですが、今回でよくわかりました。毎日ひっくり返して陰部の形状を観察していたからこそ気づいただけで、びっくりするほど無臭・無出血のヒートだったのです。これでは普通に見落とします。

しかし犬にはよくわかるのでしょう。正妻が怖くて歯牙にもかけないふりをしていたフレイも朝から晩まで熊の方様にべったり。見ているこっちが恥ずかしくなるようなムードです。ヒートは始まったばかりで時期尚早だといってもタントンタタタントン、深夜早朝構わず熊の方様の上に乗って後足で床を蹴るので安眠妨害です。ご近所迷惑にならないようそっと足下にマットを引いてみたりして、自分がこんなに過保護になるとは思いませんでした。



ヒート開始から10日前後で排卵が始まります。病院でスメア検査をして交配士さんを手配し、11月の1日と3日の2回交配を行いました。「乗れなぃっ!乗りたいのにのれないぃぃ!」と大騒ぎしていたフレイも今回ばかりはうまくいって自信を付けたのか、熊の方様を我が物顔で占有です。
よく「一回寝たからって、彼氏面しないでっ!」なーんて、リベラルなんだか勘違いなんだかわからない台詞がありますが、熊の方様は全てに亘ってご理解されていない節があり、フレイの猛アタックにも「この人だあれ?」くらいのものです。なんせスメア検査の病院でも初めて会った黒プードルを背中に乗せて、「この方どなた?」って言っているくらいなのですから。
慌てた私は黒プードルを引き離し、誰にも見られなかったか周りを確認してしまいました。熊の方様に「あばずれ」の烙印を押して引き吊り落とそうとする輩がいるかもしれないからです。大奥ではちょっとした気の緩みが命取りになります。



そしてフレイと熊の方様の蜜月は1週間をもって終わるのでした・・・。




ミノキチ幼稚園4期生③

2018-12-30 20:54:13 | 日記
みのきち大奥と言うことは、私は春日の局。みのの局様です。で、熊子は側室熊の方様。ピグモンは一応正妻だからピグの方様。語呂悪し。
そんなこんなでフレイを男にすべく、熊の方様のヒート開始をひたすら待ち続ける日々だったのです。

「熊の方様、お体に脂肪が付いていると言うことは、産道(膣)にも脂肪が沢山付いていると言うことです。デブは不妊の元。ヒート開始まで徹底的な管理をさせていただきますのでご覚悟を!」
1日2回のご飯は高タンパク低脂肪食で一握り。朝は軽いトロットでチャリンコ走行、夜は広い場所でボール遊びなどの自由運動。
計画は万全だったのに、熊、全く動かず。生えも生えたり秋田毛が猛暑東京の気候に合わず、上京後一週間は歩くのもやっと。スタッフ総動員で下毛を抜き、腹や脇にバリカンを入れ、アスファルトの照り返しに耐えうる体にしてから計画再開・・・とはならず、トド状態の女をずりずり引っ張って近所を一周するのが精一杯だったのです。
「誰が連れて来たんだ、これ?」
自分で連れてきたにもかかわらず、予想外の展開に大慌てです。

そう言えば以前、藤沢のヤンキーをお嬢様に仕立てる「マイフェアレイディープロジェクト」を行ったことがありましたが、あれは結構簡単だったような気がします。それに比べ、今回は秋田の山奥で育ったツキノワグマをペットにするべく都心に連れて来るような、無謀なプロジェクトです。
名前を呼んでも来ない。草木の生い茂る場所にぐいぐい入り込んで姿を消す。食べ物を探して家の中を徘徊してはアルミ箔などの光り物を食らう。あまりにも自由で野性的な行動に面食らうばかりです。
道ばたでもどこででも丸まって、事態が推移するまで身動きしないアルマジロ生態も間近に観察することができました。地面から犬を剥がすという奇妙な経験もできて、毎日がとーっても楽しくありません。そんな私の気持ちを知ってか、ご飯もくれないご奉公は嫌だと勝手に店のドアを開けて逃亡しようとしたりするので、「足抜け注意!」がスタッフの合い言葉になり、品の無い感じです。

そんな熊もしたたかな雌であることに変わりはありません。時間はかかりましたが、ここで生きていくしかないと悟った後の順応は早く、みのの局様のご寵愛をいただきたいがために「伊作!」「でこ!」「ピグ!」と呼んでも「下駄!」「ハト!」「カツ丼!」と叫んでも飛んできて、丸い体を押しつけては撫でろと催促するようになりました。しかもいたずらは加速していきます。

毎日帰宅するとゴミ箱がやっつけられていて、台所の物が一つ無くなっているのです。
ある日はオリーブ油。頭の上に瓶を落とされたのか、伊作の黒い御髪が7:3にぴっちりとセットされていてびっくりしました。またある日は「にんべんのつゆの素」の池がリビングの中央にできているではないですか。動くなと叫ベば叫ぶほど犬達が部屋を走り抜けるのは何故でしょう。つゆの素をたっぷり含ませた尾で床に書き付ける文字は前衛過ぎて私には全く理解できず、悲しみが膨らみます。

自分の犬ならばいざ知らず、人様の犬を叩くわけにはいきません。子供を授かるまでの我慢と自分に言い聞かせ、熊を睨みながら掃除を続ける午前2時。心なしか茶色に変色した床に一粒の涙をこぼしてしまった丑三つ時でした。


ミノキチ幼稚園4期生②

2018-12-30 20:49:20 | 日記
小さいくせに頭がいいピグモンはいつもフレイの背後で悪さをします。雄の庇護の元に生きる雌と違い、雄を操りながら生きていくタイプの雌なのです。この時も「やーい、やい!デーブ、わーい、熊女!」と、フレイに援護してもらうつもりで悪態をついたのでした。ところが肝心の男は椅子の陰に隠れてしまい、逃げるタイミングまで逸したピグモンは部屋の中央で仁王立ちになった熊女にあたふたするしかありません。数秒の仁王立ちの後、無言でピグモンに覆い被さったムーちゃんは体重をかけてフォールディングの体勢に入ったのです。
「ぎょえーーーーー!!」

ピグモンの絶叫が響く中、フレイはと言うと・・・椅子と完全なる一体化。気配を消していました。
仲裁に入った私が渾身の力を振り絞ってもムーちゃんは微動だにせず、あたかも漬け物石のようです。体重自体は23.8キロと驚愕するほどのものではありませんが、水袋のような体はどこを持てばいいのかわかりません。必死になって引き剥がしたものの、ピグモンは「殺されるー!」と興奮状態ですし、最初から最後まで無言のムーちゃんは薄気味悪く、今後皆で仲良くやっていけるのだろうかと不安がよぎった夜でした。



その晩からピグモンは変りました。部屋を横切ることを止めて、中央に鎮座する熊女を横目に壁伝いに移動するようになったのです。

そしてここに女帝熊子が誕生。正妻の座を狙う新たな女の登場までしばしの君臨を見せるのです・・・みのきち大奥はじまり、はぁじまりぃ~。


ミノキチ幼稚園4期生①

2018-12-30 20:46:24 | 日記
なんだかんだと日々は過ぎ、今年もあと少し。てなことは、大変!!あと1週間くらいで子犬が生まれてきてしまうんだ!!

そーなのです。秘密裏に(でもないか)行ってきた「第4期ミノキチ幼稚園」プロジェクトが実を結びました。
苦節5年。女の子に乗るのが怖かったフレイくん、ようやく本能に目覚めてお仕事を果たしてくれたのです。

結局、「女の子に乗るとママに蹴られるから乗りたくない!」という事だったみたい。交配に私が立ち会わなくなった前回から積極的になっちゃって、今では交配士さんを見るだけで雄叫びを上げるようになっちゃった。。。もう今回でお役御免なのに。。。目覚めが遅いって悲しいわねえ。



で、お相手は青森に貰われて行ったP-KO OF MINOKICHI JP、通称ムーちゃん(ライム)5歳です。5歳と言っても年明けての3月で6歳だから、よく頑張ってくれました。
前回のアンズとの自然交配が失敗に終わり、もう後が無いと慌てた私の要請で急遽6月に上京。そろそろヒートを迎えるという話だったので、暫くお預かりすることになったのですが。。。ヒート来ず。だけど、おっぱいぴゅーぴゅーの大異変。ヒートを見過ごして、想像妊娠期に上京しちゃったという計算ミス。
なんということでしょう。私を自分の子供と勘違いした秋田女はそこから半年、次のヒートまで東京に滞在することになってしまったのです。

涼しい秋田から異常気象の猛暑東京へ。アスファルトに馴染めないだけでなく、とんでもない肥満体を持て余していたむーちゃんには、「肥満は不妊の始まり!」のスローガンの元、ダイエットが課せられました。しかしそこはポーリッシュ。ダイエット生活を甘んじて受け入れることはなかったのです・・・。