MINOKICHI JP   Tokyo Japan

毛玉生活満喫中?
濃すぎるポーリッシュ・ローランド・シープドッグのお話。

北欧珍道中記 パート3  (その23)

2008-09-30 20:23:04 | 北欧珍道中記 パート3-2

「ワールド・ドッグショー2話目」

ドッグショーは朝の9時より開始。
警察犬訓練公開・麻薬犬捜査訓練公開・スウェーデン特有犬種紹介・ドッグダンス競技会・ジュニアハンドリング競技会・服従訓練競技会等々が会場内いたる所で行われる。



こんなクイズなんかも出されていたりして、当たった人には後日抽選で何かが送られてくるとのことだった。

スウェーデンの特有犬種紹介には非常に熱心に取り組んでいて、それぞれと触れ合うことの出来るブースまで設置してあった。



日本で紀州・川上・甲斐などの日本犬を紹介しているようのものだろうが、12犬種を揃え、個々の特性や歴史をパネルにしたり、簡単なパンフレットを作って普及に努めているようであった。

68リングで行われるブリード戦が終了すると、メインリングでファイナルが行われる。
特有犬種の大きなパネルが飾られたステージには民族衣装を着た人々と犬が出てきて、スウェーデンの歴史・伝統行事といったものを歌や芝居にしてお披露目。



それが終わると、

○ジュニアコンペティション
○ブレースコンペティション
(一番美しいオスメスつがい。オスだけ素晴らしくても駄目だし、両方が素晴らしくても同調性のない美しさは加点されない。バランスも大切。)
○ベテランコンペティション
○ブリーダーコンペティション
(犬舎対抗。作出された犬の色・形などの同調性を見られる。1犬種に1犬舎選ばれる。)
○グループファイナルコンペティション

と続くわけである。

何がいいって、ショーアップされた展開だろう。
音楽や照明がどんどん変わり、一つのエンターテイメントとして成立しているから楽しいのだ。
ピーピーヒューヒュー、お目当ての犬の登場で盛り上がるのも海外っぽい。
クラフトやウエストミンスターに比べると地味だという話もあるが、充分に楽しめる。

ファイナルコンペティションはビッグ・サイズ・ブリードから。
(初日はグループ2と4のブリード戦が行われた。)
犬種紹介のアナウンスの度に歓声が上がり、次から次へと犬が登場。
しかし・・・・グループ2だけで・・・何頭いるんだろうか?



見たことのないような犬もいて、マニアな世界にどんどん引き込まれていく。
参考までに大まかにエントリーした犬種を上げておこう。
これ見ると・・・日本が本当に小さな島国ってわかる。
だって・・・見たことも聞いたことも無い犬、多くない?

○アナトリアンシェパードドッグ 19
○アペンザールキャトルドッグ 27
○アトラスシェパードドッグ 2
○オーストラリアンピンシャー 3
○バーニーズ 237
○ブラックテリア 90
○ブロホルマー 4
○ブルドッグ 132
○ブルマスティフ 10
○カーネコルソ 99
○カオフィラデサオミゲル 1
○コーカシアンシェパードドッグ(カフカスカヤオフチャルカ) 45
○セントラルアジアンシェパードドッグ(スレドニアジアツカヤオフチャルカ) 45
○ダンスク 63
○ドーベルマン 302
○ドゴアルヘンティーノ 95
○ドゴカナリオ 39
○ドーグドボルドー(ボルドーマスティフ) 118
○エントレブッフキャトルドッグ 28
○フィラブラジレイロ 17
○ボクサー 141
○ジャイアントシュナウザー(色2種) 100 
○デーン(色3種) 233
○グレートスイスマウンテンドッグ 36
○ホファバルト 115
○ランドシーア 27
○レオンベルガー 138
○マヨルカマスティフ 10
○マスティフ 49
○ナポリタンマスティフ 45
○ニューファン 134
○ピレニアンマスティフ 18
○ピレニアンマウンテンドッグ 49
○ロットワイラー 221
○セントバーナード ロング 53
○セントバーナード ショート 37
○エストレラ 25
○シャーペイ 82
○スパニッシュマスティフ 17
○ティベタンマスティフ 46
○トサ 21
○ウルグアイヤンシマロン 1
○ユーゴスラビアンシェパードドッグ(サルプラニナッチ) 16

※シュナウザー・ピンシャー・ダックス 省略

すごい数の犬をジャッジはどうさばくのか?1頭づつ走らせていたら日が暮れてしまうからね。
犬を横目に、ゆっくりと自分が1週しながらこれぞという犬をピックアップしていき、1/3にする。
次はステージ上をグルグルと連なって走らせ10頭ほどを選ぶ。
最後に4頭選んでファイナルだ。

結局この日は4位にブラックロシアンテリアが選ばれて、3位デーン、2位ジャイアントシュナウザー、1位ブルドッグ。
4位と2位の犬種違いに気づかず、「何でファイナルに同じ犬種が二頭も残ってるんだ?」てな具合。
だってだって・・・そっくりなんだもん。

点在する物販店の総数は129。
ヨーロッパ各国から出稼ぎに来ているらしく、ユーロ・ドル・クローネ混在。
スウェーデン語も英語も話せないドイツ人の犬種グッズ屋さんや、ロシア訛がきつくて意思の疎通不可な首輪屋さん。
日本には絶対にない犬種グッズが豊富で、びっくりしたけど・・・値段にもビックリよ。

歩き疲れと値段交渉疲れでさっさか帰路につく私達。
何故か・・・グループ4のファイナルを見たいと言う者も出ず。
皆、小型犬に興味が無いのだね。



さて、明日はグループ1を堪能するぞ!!


北欧珍道中記 パート3  (その22)

2008-09-30 12:09:06 | 北欧珍道中記 パート3-2

「ワールド・ドッグショー1話目」

本日から4日間の日程で行われるワールドドッグショー。
イギリス・クラフト展、アメリカ・ウエストミンスター展という二大ドッグショーに比べて日本では知名度の低いショーだが、3大ドッグショーの一つである。

毎年開催国が変わり、それによってどこの国の犬の参加が多い少ないという動きがあるのが特徴かもしれない。
来年はブラジルだそうだが、今回はスカンジナビアのスウェーデン。
アクセスが簡易なヨーロッパ各地より2万頭ものの犬達が参加したという。
日本からも13頭エントリーしていてびっくり。

この膨大な数のエントリー犬と観戦者が連れてくる犬・・・これら全てが入り口で獣医達のチェックを受けるのだ。



ワクチン摂取証明書の提示やら皮膚・歯等の目視触診を経て入場を認められるのだから気が遠くなる。

入るなりあちらこちらで大型・超大型犬が倒れているのは日本のドッグショー会場と一緒。



ところが会場内はかなり空いているのか、犬がひしめき合っているという感じはしないし、騒がしさも全く無い。
中に入って納得。広大すぎてまばらに見えていただけなのだ。





入り口は一つなのに、中は3会場。全部あわせるとリング数、何と68個!!
体は一つなのに、どう見たらいいのだろう?
どこに何があってどこで何が行われているのか・・・皆目見当つかず。
お目あてのポンのブリード戦は明日。
じっくり見るために、今日中にお買い物を済ませておこうと思っていたのに・・・ショップも至る所に点在してるし、数は多いし・・どこから手をつければいいのか。



とにかく隅から隅まで歩き回れば全ての店を見て回れそうだ。

『!』

何かが違う。
その違いに気づいた時、本当に感激したよ。
こんなに沢山の犬がいるのに・・・泣き声があまりしないなんて!

日本の会場では当たり前のように聞こえてくるヒステリックな鳴き声も、オス同士の喧嘩吠えも聞こえない会場。
興奮して多少吠える子がいても、継続的な吠え声は一切してこないのだ。

感動しながら歩いていてもう一つ気づいたこと。
犬の・・・犬の名前がわかんないのっ!
私・・・誰よりも犬種知ってるはずなのに・・・マニアなのに・・・知らないし、見たことの無い犬ばかりなのっ!
世界って本当に広いわっ!

特に断尾・断耳が禁じられているスウェーデンでは、該当犬のショー会場への入場どころか入国まで規制していたくらいなので、皆尻尾つき耳つき。



ドーベルマンの垂れ耳はよく見るけど、しっぽそのままなんてあまり見ないから、両方あると不思議な感じがするわけ。
一瞬「何犬なのかしら?」って思ってしまう。

更には名称の問題。
英語名と原産国名にかなりの違いがあって、ちんぷんかんぷん。



「この犬は何ですか?」
「うんたらかんたらすんたらオフチャッカ」
「・・・?・・・ワン モア タイム プリーズ」
「ふんふんたらすんたらふんふんオフチャッカ」
「・・・・・サンキュー。」

英語も通じないし、発音も聞き取れない東欧諸国・ロシアの人々が異様に多いのだ。
いたる所で「スパシーバ、スパシーバ!」「ズドラーシトビ」と怒ったような発音のロシア語が飛び交っている。
経済的好況をバックグラウンドに、潤沢な資金を犬につぎ込んでいるようだ。
何たって犬の質は大変いいし、ハンドリングしているプロハンドラーも素晴らしい。
オーナー達は真夏のスウェーデンで毛皮着てるしっ!

一昔前にはジャパンマネーで、最近までは中国マネー。
しかし今はロシア・マネーなんだよっ!
店頭でどんどこお金を出して犬種グッズを買い漁るのは皆ロシア人だもの。
ロシア人が通った後に商品は残らない。
「スパシーバ!スパシーバ!(ありがとね、ありがと!)」
と言いながら商品だけでなく、賞も根こそぎ持っていっているような感じだった。
やはり最後には・・・資源を大量に持つ国が強いのだ・・・。

それと典型的なおもしろ話。
私の横をある犬が通ったので、わからなかった私は飼い主さんに犬種名を聞いたわけ。

「トゥーサだよ、トゥーサ。」
「へ~・・・初めて見るわ。」
「そう?いい犬だよ。日本の固有犬種なんだ。」
「へっ?日本?私日本人なんだけど・・・見たこと無い・・・。」
「えー、そう?トゥーサっていうんだけど・・・・。」



土佐だよっ!土佐!!
でもこれ、日本で言うところの土佐犬じゃないよね。
ちょっと見ローデシアンじゃない?全然違う犬だよ。

日本ではつい最近また土佐犬が飼い主を殺しちゃった話があったばかりだ。
こんなに人出の多い場所に連れてくるなんてっ!
あなたっ!この子はどんな性格?何の問題も無い?

日本での悲惨な事件を聞いて、トゥーサのママは軽い悲鳴を上げながら口元を押さえて言った。
「うちの子はパーフェクトで最高の犬よ!とても温和でやさしくて・・・ありえない、そんな話。」
「そうさ、日本ではいまだに闘犬を行っているからそういう気性が受け継がれているんだよ。幸せなことに私達の国では禁止されているから、彼らはもう戦う必要はないんだ。家庭犬として最高のパートナーになっているよ。」

パパの腕の刺青がエキサイティングで、その口から『土佐犬は家庭犬として最高!』とか言われちゃっても・・・微妙。
でも確かに・・・この子は可愛かった。
ナデナデするとスリスリしちゃって、日本に帰ってきてから『私は土佐犬を手玉に取った女』って自慢しちゃったくらいだ。

日本では凶暴の代名詞の「土佐」。
海外では家庭犬として最適なDNAだけが残され、更には変更されて受け継がれていったわけだ。
「土佐」は「トゥーサ」として生まれ変わったんだよ、海を超えて。
単に発音だけの問題じゃなく、これは明らかに別犬種の作出なんだと思う。
「秋田犬(ハチ公)」と「アメリカン秋田」だって全然違うもんねぇ。(話とぶとぶ)


北欧珍道中記 パート3  (その21)

2008-09-28 19:07:34 | 北欧珍道中記 パート3-2
スカンセンのもう一つの見所は動物園。



起伏のある広大な敷地を利用して、スカンジナビア特有種や大型特殊動物を展示しているのだ。

特有種と言えばトナカイやムースであろう。



ソリを引く美しいトナカイを想像してしまうが、実際はこんな感じ。
換毛期には悲惨な状態になるようだ。

絶対に見なくてはいけないのがムース。私は見るたびに感動してしまう。



寓話に出てきそうな生き物っぽくはないか?思いの他でかくて、荘厳な感じが漂う生き物である。

現在スカンセンでは、WWF事業として狼の保護にも力を入れているらしい。
「狼棟」を建て、足型や毛皮の展示をするなど、並々ならぬ力の入れようだ。



丸いくり貫きの中に置かれた狼の毛皮は誰でも触ることが出来る。
シェパードとかの感触を想像していたら、とっても柔らかく、やさしい風合いにびっくり。
あえて言うならば、7ヶ月くらいのレオンベルガーのお尻部分のような感触だった。

狼はただでさえ神経質であまり姿を現さない上に、出産をしたばかりだという。
まず見ることは出来ないだろうと思われたが、偶然にも4頭の子狼を遊ばせる母狼を観察することができたじゃないの!



一定の距離を置き、じーっと子狼達が遊んでいるのを見ている姿は野生そのもの。
母狼の周りだけ空気がピンと張り詰めていて・・・息苦しいくらいの緊張感なのだ。
一分の隙も無く佇む姿には鬼気迫るものを感じるが、これが野生の本能というものなのだろう。

そんな母親とは違って子狼は無邪気そのもの。
柴犬の子犬みたいな感じで、かわいかった。
しかし・・・走り方は親にそっくりで狼なんだよね。

「君達はラッキーだね。こんな狼の姿を見ることが出来るなんて珍しいよ。」

そうだね、狼の赤ちゃんを見れたなんて本当にラッキーだった!

大満足で路面電車(トラム)に乗ってホテルへ帰還。
昔ながらの木造電車はとってもムードがあって、素敵だった。



さーて、明日はメインイベントの「ワールドドッグショー観戦」だ。
楽しみ。


北欧珍道中記 パート3 (その20)

2008-09-22 22:27:45 | 北欧珍道中記 パート3-2
スウェーデン滞在6日目。又しても午前中はホテル内でお仕事。
ストックホルム市内観光を堪能しに出たカブカブ・いずさん二人とは、午後に待ち合わせ。

いざ行かん、スカンセン!だ。

自然公園・ユールゴーデン島に位置するスカンセンは、1891年に開館したという、100年以上の歴史をもつ世界初の野外博物館である。
当時、急激な工業化が進むなか、創設者ハッセリウスが伝統的な生活を保存・展示しようと試みた場所だ。

広大な園内には、100年前の商店や工房、1600年代の農家、ラップ人のテント、木造の教会、領主の邸宅など、スウェーデン各地から集められた家屋が立ち並ぶ。



強いて言うなれば日本の明治村とかのような雰囲気の中に、スカンジナビア特有の動物がいる動物園も併設されているって感じ。
夏には夏至祭等に合わせて様々なイベントが開催されたり、同じ島には小さなチボリ(遊園地)があるので、子供達がしばしば訪れる場所となっている。
私もしょっちゅう訪れ、何をするでもなく時間を費やしていた思い出がある。



最初はあまり興味を示していなかったカブカブとイズさんだったが、気持ちの良い景色や風変わりな建物、変わった動物を見て俄然興味が湧いたようだ。

まずは腹ごしらえとばかりに、古い建造物を利用したカフェへ。



ここでは伝統的なスウェーデン料理が提供されていて、心ならずも「懐かしい味」を思い出させてもらった。

○赤カブ(ビーツ)のソースはうまいんだかうまくないんだかわからないけど、フォークの背で潰したジャガイモに吸わせて平らげる。
○強烈な味のニシンの酢づけはさっさと口に放り込む。
○クネッケにはバターを多めに塗って、塩をパラパラと振る。(給食で毎日のように出ていたよ!)
○スモークサーモンにはレモンを絞り、香草ディルをまぶして食す。

ああっ!この味、この味。


食事の後は早々に場内散策。



さまざまな建築物の間を歩くと、まるで過去へタイムトリップしたかのようだ。
内部には用具なども展示されており、織物、パン焼きなどを実演していて、商店などでは購入することも出来る。




それぞれの建物の内外には当時の服装をしたガイドさんが常駐していて、当時の生活様式等を事細かに説明してくれたりする。



「いやあ、まいった。おれの親父は○○の職人だったんだけど、あそこにある機械は紛れも無くうちにあった物と同じだよっ!何て懐かしいんだっ!」



「ロシアから渡ってきた父親が大切にしていた家具とそっくり同じものだよ!ああ、父は素晴らしい男だったよ、アイ ミス ヒム ベリーマッチ。」

子供の時分に使っていたものに感動しているおじいさん達も結構いて、もらい泣きしそうな場面もあった。
子供時代の思い出というのは誰にとっても鮮烈なものなのかもしれないね。




女優ヴォッコ誕生

2008-09-20 19:10:54 | インポート
我が家の5頭目のヴォッコ。
実際我が家でなく神奈川のおうちの子になっているのだが、色んな所に出没する彼女は誰かの所有物ではない気ままな暮らしをしている。
そうね・・・例えて言うなら、「寅さん」。
昨日はあっちにいたかと思えば、今日はあそこ。明日はどこかしら?

そんな彼女が銀幕デビューをすることになった。

10月8日(水) テレビ東京 21時~
神楽坂署生活安全課⑤
「高級和菓子屋・桜餅連続殺人事件!女将の愛犬モックン誘拐捜査に潜む“親知らず子知らず”の甘い罠とは」

「珍しい小型犬を探しているということなので、ヴォッコを推薦しといたよ。」
とイサックの訓練士さんから聞いたのが2月頃。
「ヴォッコは既に16キロ超えてますよ。どう見ても小型犬じゃないんじゃないですかね?」
「小型じゃないか・・・でも子犬でしょ。大丈夫じゃないかなあ。」

そんな会話から数ヶ月後のある日、スケジュール表を渡されてびっくり。
飼い主のカブカブも、私も知らないうちにヴォッコの出演は決まっていたようだ。

撮影は5月頭。
忘れかけていた頃、「どっかで見たような犬」の予告編が流れて、OAするんだとわかった次第。

ヴォッコという名前だと言ったら、「モッコ」って聞き間違えられたんだよね・・・。
ついでに何だか雌っぽくないから雄だと思われて「モックン」という役名になっちゃったらしいんだよね・・・。
でもさ・・・「モッコ」って・・・そんな変な名前付けないでしょ普通。マリモッコリみたいだもん。

ともかく、皆さん見てね~!

↓劇中で使用されたチラシ


北欧珍道中記 パート3 (その19)

2008-09-13 19:15:19 | 北欧珍道中記 パート3-2
王宮から少し歩くとストックホルム最古の教会「大聖堂」にぶち当たる。



拝観料は高いが、安置してある「セントジョーンズと龍」像は木彫りの域を超えていて、一見の価値どころのものではない。(だったら拝観料が高いなんていわなきゃいいのにね)

ストックホルムはこじんまりした都市なので、のんびりゆっくり歩けば市内は電車もバスも使わず観光ができる。
小腹が空けば適当にカフェに入ればいいのだろうが、ただでさえ高い食べ物に25%もの税金がつくのではいいものは食べられない。
90人もの貴族達が断頭の刑に処せられ、血で赤く染まったという言い伝えの残る大広場でフレンチホットドッグなるものを購入。



筒状のパンの中にソーセージが突き刺さっているホットドッグ。
溶けたチーズの感じがホットサンドっぽかった。これと500mlの飲料水で1000円也。
ノーベル記念博物館の階段で食べていたのだが、この時偶然にもカブカブといずさんは館内のカフェでお茶をしていたらしい。
ノーベル賞の晩餐会で提供されるディナーのデザートが食べられると聞いて、早速頼んでみたとのこと。



「今ひとつだったわよ~。これあなたにお土産。」
とカブカブがくれたのは、デザートに載っていたコインチョコ。
お写真だけ撮れればいいのよと遠慮して返したら、いずさんが「あらそ~お」とその場でもぐもぐ食っちゃった!

しかし、このガムラスタンは本当に美しい街である。



旧市街というだけあって建物は古いが、その分趣があり散策には適している。
観光客が最も多く訪れる地域ということもあり、土産物屋が軒を連ねる道は長い。



イギリスの影響も色濃く残っていて、PUBが点在するのも特徴かもしれない。


あっという間に時間は過ぎ、夜。白夜は時間的感覚が麻痺する。
中央駅に戻って地下街でお目当てのキャロットケーキを買った。



すったにんじんをふんだんに練りこんだケーキの上にはホイップクリーム。
ホイップクリームの上にはにんじんの千切り。
歩きつかれた体に染み込んでくるようなやさしい甘さがいいのだ。

しかし何だね。海外の日本食(寿司)ブームってすごいんだね。
至る所で寿司が店頭に飾られているんだけど・・・握っているのは全てタイ人。



味の好みなのか、酢飯も極端に甘いらしい。
ランチプレートには寿司と焼肉飯。
この焼肉も甘い照り焼き風なのが人気なんだって。
この緑色の物体は何かと思ったら、アボカド。
中身がアボカドなんじゃなくて、乗っかってるのがアボカドなの。
お国が変われば違う食べ物になっちゃうんだね~。

さーて、きっとカブカブといずさんが首を長くして待っていることだろう。
帰ったら皆で晩御飯だね・・・なんて思って帰ったら・・・帰ってなかった二人。
帰ってきたのは1時間も後だったよ。(買い物に夢中だったんだとさ)


北欧珍道中記 パート3 (その18)

2008-09-12 17:29:03 | 北欧珍道中記 パート3-2
王宮内には博物館が点在している。

居室や財宝を全て見て回るには2日は必要だ。
子供の頃に数回見ているはずなので、うっすらと覚えている場所はさっさっと通り過ぎないと日が暮れてしまう。
こっちを見てあっちへ向かおうとした矢先にポツポツと雨が降ってきた。
雨宿りをしている時間はないねとばかりに次の博物館入り口を目指して走り出してしまったのが間違いだった。

本年日本各地で猛威を振るっているゲリラ雨、ストックホルムにても猛威。

積雪が減って雨が多くなってきたと聞いたのは2年前。
自然環境保全に力を入れるスウェーデンにさえも温暖化は忍び寄っているのかと驚いたものだった。
忍び寄っていたのではなく、もう既に到達していたのだ。
北欧にてこんなスコールに遭遇してしまうという現実に愕然とするしかなかった。

街中ならいざ知らず、王宮であることを忘れていた私。
ポツポツと降る雨が大粒になり、バケツをひっくり返した状況になっても入り口一つ、更には屋根も見つけられない。
だって・・・王宮だもの。
侵入を防ぐ為に作られた石造りの堅固な城壁に屋根は無いよ。
入り口がいっぱいあるはずも無い。
城には急坂っていうのがお決まりだしね。

坂という坂を伝って川となった雨は、城壁の石にセミのようにやっとこさ捉まっている観光客の足を捕らえるような深さとなって急流を作っていた。
洗面器大の装飾の真下に大きな体をくっつけ、雨風をしのいでいるつもりのおばさんが2名。
城壁にもたれたまま心筋梗塞で逝っちゃってるかのような雰囲気が心配になって声をかけてみた。

「アーユーOK!?キャンユーヒヤーミー!?」
「ノォオオオオオオ!ヌォオオオオオ~!ヘッ、ヘルプミィイイイイ!」

正直自分自身も死んでしまうかもしれないと思うほどの豪雨だ。
声をかけてはみたけど、心中は出来ないからと二人を捨てて坂の上まで駆け上がってみた。
駆け上がってみてびっくり。
豪雨で前が見えなかっただけで、上がったところに博物館の入り口があったのだ。
緊急避難して中に入ったはいいが・・・心が痛い。
あのおばちゃん達は未だ外で雨に打たれているのだ。
またしても豪雨の坂を下りるのは嫌だったが、今後ずっと後悔し続ける人生もごめんだ。

「おばちゃんたち!入り口を見つけたよっ!頑張って走ろう。カモーン!!ラーン!」
馬鹿みたいにまた現場に戻っちゃったよ。殺人犯みたいにさ。


バッグの中に忍ばせておいた洗濯したてのT-シャツを皆に回し、ビショビショの顔と頭を拭いてひと心地。
生き返ったおばちゃんがおもむろにデジカメを握って、記念撮影をしようと言い出した。
「あなたはどこから?」
「日本よ。」
「やっぱりね~、そうじゃないかと思ったわ。私達はノルウェーから来たんだけど、こんな雨はノルウェーでは降らない。人生で始めての経験よ。この旅でこんなことがあって、こんな日本人に助けられたって思い出にしたいから、一緒に写真を撮りましょう。」
どーする?
何がどうって、私ノルウェーで有名な日本人になっちゃうかもよ。
ノルウェーで「日本人は親切でやさしい」と聞いたら、私がイメージアップに貢献したと思って欲しい。



私にとっても大切な思い出の一枚になったが・・・このゲリラ雨がノルウェーを襲うのも時間の問題なんだろううな・・・。


北欧珍道中記 パート3 (その17)

2008-09-11 14:50:46 | 北欧珍道中記 パート3-2
旅と言えば観光。
せっかくスウェーデンの首都に来て、何もしないという手は無い。

ところが本当の意味での観光とは違う動きばかりする私だ。
今回も2日続けて午前中はパソコン操作や日本の検疫所と連絡を取ったりで時間を潰してしまった。
精子の採取はストックホルムではなくウプサラ(大学の街)で行うと当日になって判明し、採取書類に必要な内容を補填したりする業務に追われてしまったのだ。
2時間から4時間の移動を「ちょっとした距離」と言ってのけるスウェーデンと私とでは時間的感覚や距離的感覚が違いすぎて戸惑うばかりだ。
「電車ですぐの街よ。2時間半くらいだと思う。」
と簡単に言われても「名古屋!?」って感じだ。
挙句に
「友人の獣医が、日本では凍結精子の輸入は認められてないから加担は出来ないって。だから今日のウプサラ行きは無くなったわ。ええっ?OKになったのは今年から?じゃあ、まだ彼女(獣医)にはその情報が入ってないのね。」
という顛末。

更に大きな問題が勃発だ。
スウェーデン全土でバスの組合がストライキに入り、バスが全く動いていないというタイミングの悪さ。
ワールドドッグショーに先行して行われるサーキット・ショー現地へ向かう足が確保できず、諦めざるおえなくなってしまった。

「今のストックホルムは観光バスや市内バスが動いていないから人が多いよ。あっちもこっちも人・人・人。みんな歩いているから賑やかさ。」
とホテルのフロントが言っていたが、確かに歩いている人の数は多い。

午前中のバタバタでカブカブ&いずさんとは別行動となってしまった私は又しても一人で観光である。

てけてけ歩いて15分。
王宮の入り口でアイスクリームを食べる。



そこで馬車発見 → 絶対に乗ってみたいと思う → 乗っちゃった → 乗客は私と4人家族の2組 → ガイドさんがつきっきりで案内 → 爽快かつ素敵な50分間でストックホルム市街メイン部分を巡る → 満足・満足





いやあ、高かったけど(8000円くらい)乗って良かった。
車道部分は邪魔にならないよう、馬達も全速力になるのでスリル満点。
その晩カブちゃん達に自慢したら、早速次の日の午前中に2人で乗車してたよ。

その後は王宮内観光。
スウェーデンには王室があり(王室ホームページ見てね)、丁度私がスウェーデンに住んでいた時にご成婚されたカール・グスタフ国王とシルビア女王との間には既に成人となった3人のお子様がいらっしゃる。
ビクトリア王女、カールフィリップ王子、マデリーン王女の順番なのだが、ビクトリア王女が王位継承者(クラウンプリンセス)となっているのがすごい。
男女同権のスウェーデンでは最初に生まれた子供が王位継承権を得るというふうに近年法律改正されたのだ。
皆美男美女だが、次女のマデリーン様は(このサイトの画像は本当に美しいと思う)ヨーロッパ王室中で一番美しいとされている。

実際王室の方々はこの王宮には住んでいらっしゃらず、国王が日々の執務を遂行するだけの場所だが、敷地内にある数々の博物館や全国各地から徴兵で集められた青年達による衛兵交代はストックホルム観光の目玉となっている。
永世中立国のスウェーデンに徴兵制度があるというのも変な感じだが、愛国心や道徳心を育てる上で大きな役割を担っているらしい。

女性兵もいるが、皆眉目秀麗。
衛兵交代の後、大砲に括り付けておいたロットワイラーと共に帰っていった男性がいたが・・・衛兵の出入り口から出てきたということは衛兵関係者なのだろう。

皇居警備隊関係者が皇居内の古井戸のツルベに秋田犬をつないで待たせていたって感じ?
日本じゃありえないね。



北欧珍道中記 パート3 (その16)

2008-09-05 19:32:25 | 北欧珍道中記 パート3-2
そう、ここはオーデンホテル。
1階には生活必需品の揃うスーパーがあったっけ。
この道はベストマンナガータン。最初に住んだマンションのある道だ。
おおっ!みーっけ。



そこに1年ちょっと住んで、近所のフレーガータンに移ったんだった。



雪が凍結しないように撒かれた塩に見とれて横転した道や、自転車に乗って渡ろうとした途端バスに轢かれそうになった道。
毎日のように食べていたパンを買いに行っていたパン屋。可愛がってくれたばあさんが住んでいた部屋の窓。
何でこんなにも変わらずに私を迎えてくれるのだろう。(別に迎えているわけじゃないんだろうけど)



吸い込まれるように入っていったフレイガータンのマンション。
二つの棟に挟まれた中庭の中央に立つと30年前の喧騒が聞こえてくるようだったよ。
「いい加減になさいな。ご飯よ~!!」「早くしなさい!いつまで遊ぶつもりなんだ!」
子供達はキャアキャア言いながら各々の扉の奥に消えていったものだった。



スウェーデンでは日本の1階が0階となるので、3階に住んでいた私たちの部屋は2階の表記になる。
私達の真下には私と同い年の女の子「アンネ」と20歳くらいのお兄ちゃん「アンデッシュ」、ドイツ系のお父さんとフィンランド系のお母さんのヴェスケンパー一家が住んでいた。
同い年ということもあって仲が良く、私とアンネの家族は頻繁に交流していた。
今になって思うと、第二次世界大戦同盟国の日本とドイツという関連もあったのか、アンネの父は私を至極可愛がってくれていた。

グランドホテル(国賓対応のホテル。現在1泊8万円以上するらしい。)の料理長を努めていたアンネの父が非番の日、私とアンネを勤務先に連れて行ってくれた事があった。
「プリンセス・ミチコに作って差し上げたステーキを今焼いてあげるよ。」
巨大でステンレスのテーブルが所狭しと置かれた厨房で焼いてくれたステーキは何故か噛み切れないほどの固さで、あまり美味しくはなかった。
『美智子様・・・歯が丈夫なのね・・・。』
こんなことを思いながら必死になって肉片を飲み込んだ思い出がある。

「プリンセス・ミチコが乗ったエレベーターだよ。普通の人は乗っちゃ駄目なんだ。特別な人だけが乗れるエレベーターだから、見るだけだよ。でもね、僕は料理長だから一緒に乗ったんだ。」
ちょっとした自慢話だったのだが、通常では見ることも出来ない素晴らしい細工が施された内部は一見の価値があった。
何がビックリって、エレベーター内にはロココ調だか何だかの長椅子が置かれていて、たった少しの間も立っていられない高貴な方々を想像してたまげたものだった。



思い出に浸りながらインターフォンのネームプレートを確認してびっくり仰天。
どう見てもアンネの家の場所に同じ「ヴェスケンパー」の苗字が書かれているじゃないの!!
次の瞬間何も考えずに人差し指で黒いボタンをビービー鳴らしちゃった。
何度押しても何の反応もないインターフォン。留守だったの。

帰りゃあいいのに中庭中央に戻って思案に暮れる私の目に入ったのは、ベランダで物干し竿をいじっている老人だった。
こんなチャンスをモノにしないでどうする!!
「ミスター!!ヘイッ!ミスター!!こっちを見て!あなたはミスター・ヴェスケンパーを知ってる?私は知ってるの。彼は今何歳?」
知ってるのに年齢は知らないというヘンテコリンな事を叫ぶ女。
このヴェスケンパーが80歳くらいであれば確実にアンネのパパだと思って、確認したかったのだ。

「ヤーヤー。ミスター・ヴェスケンパー!ヤーヤー。彼は50歳くらいだよ。」
50!?頭が混乱してしまって、意味不明なことを繰り返し言ってしまった。
「ミスター!私は日本人なの。このマンションに住んでいたの。ヴェスケンパーさんに会いたいの。アンネはどこなの?アンネに会わせて!(涙)」

最初は怪訝そうに見ていた老人も何だか深い理由がありそうだと思ったのか、わざわざ確認しに行ってくれたりもしたのだろう。
残念そうに下りてきてヴェスケンパー宅の不在を報告してくれた。
「何かお手伝いはできるかね?良かったら僕の部屋にいらっしゃいな。」

海外ではとても危険なことなのに、知りもしない人の部屋に吸い込まれるように入ってしまった。
入ってから気づいた事・・・私はここに来たことがある・・・この部屋・・・見たことがある。
老人をじっくり見て気づいたよ・・・マティ・・・マティおじさんだよね。

「気づかなかったけど、私をあなたは覚えている?30年前、日本の家族がここで暮らしていたこと覚えている?」
「・・・私は既に70を超えた老人だ。全てがモヤモヤとした霧の中なんだがね・・・何となく思い出してきたよ・・・同じ階だったね。」
「うん、そう。あなたはいくつになったの?」
「75」
「まだまだ全然若いわ。老人なんて言わないで。私はあの時10歳の女の子だったけど、40を過ぎたおばさんになっちゃった。」
「時はそうやって流れるものだよ。」
「で、あなたは私を覚えているの?」
「ふふふっ・・・霧の中だ。でもね、君のお父さんの事は何となく覚えているよ。」

30年の時を超えて、マティと机を挟んでこんな会話をするとは思わなかった。

アンネは結婚をしてストックホルム北部で暮らしているとの事。
パパとママは既に他界。今マンションに住んでいるのは息子のアンデッシュで、彼も50を過ぎたんだと!(私が40過ぎたんだから当然だね)
当時のアンデッシュも背が180センチを超えていたと思うが、彼の息子は2メートルもの身長があるそうだ。(スウェーデン人は平均身長自体とても高い)
市外に別荘を持っているので、夏の間はそっちに行っているとのことだった。

メモに携帯の電話番号とメールアドレス、『土曜日に日本に戻ります』と書いてマティに託すことにした。



惜しむらくは携帯の番号に国番号をつけずに渡してしまったこと。

アンデッシュから連絡が来たのは帰国した次の日だった。
『あなたがアンネと連絡を取りたがっているとの事、マティから聞きました。この年月を経て、何て素晴らしいことと思います。アンネの連絡先は・・・云々』
嬉しくなった私は余計なことを書いて返信してしまった。

今考えると気持ちもよくわかるのだが、あの頃のアンデッシュは来るべき徴兵に荒れていて、ガキンチョだった妹と私に当り散らしている時期があった。
その事を恨んでいるつもりは無かったのだが・・・。
『マティから色々話を聞きました。あなたに20歳を過ぎた子供がいるなんて驚きです。あの頃のあなたは私達にとても嫌味で意地悪でしたね・・・云々』

その後・・・アンデッシュからメールの返信・・・ないの。