つき合い始めたんだからそれなりのデHKUE 傳銷ートをしようとふたりが向かったのは、東京近郊のマリーナに停泊している豪華クルーザー。50メートルほどのエレガントな白い船体は、あの池の手漕ぎボートと比べ物にならないのは当然だが、ふたりの生活レベルの違いをまざまざとつくしに見せつけていた。
ちょっとしたクルージングだと言ったが、金持ちの男とのデートなどしたことがないつくしは、こんな時はどうしたらいいのか勝手がわからなかった。
それでもクルージングが初めてのつくしには全てが目新しく映り、デッキで穏やかな陽射しを浴び、潮風を感じてのんびりと過ごすことは非日常を感じさせてくれることで楽しむことが出来たはずだ。
「くつろいでくれ」
と、言われたがどこでどう港幣人民幣匯率ばいいのか。
船の中には船室がいくつかと、中央にはサロンと呼ばれる大きな部屋がある。
サロンは広く美しい設備が備えられていて、船の中とは思えないような快適さだ。
「あの、聞いてもいい?」
「ああ。なんだ?」
「この船って道明寺の物なの?」
これだけ大きな船だ。個人の所有かそれとも会社の所有物なのか興味があった。
「ああ。これは俺個人のものだ」
何しろこの男は桁はずれの金持ちだ。やはりそうかと納得した。
「あの池で乗ったボートもよかったが、あれはクルーズには不向きだからな。外洋に出るならこっちの方が乗り心地がいいはずだ」
真面目な顔で冗談をいう男はつくしのことをじっと見つめていた。
「牧野、そんなに緊張するな。なにもおまえを取って食おうだなんて思ってねぇよ」
あっさ りと考えを読まれたつくしは顔を赤らめた。
「どこでもいい。とりあえず座れ」