に彼女は電話

2017-04-25 11:21:16 | 日記

いや、でも今回の件におけるユ鍛練肌肉ナの重要且つ不可解な役回りの一件を考慮しても、ここはその、とりあえずその姉である(と言われていたところの)あのジェシカと言うオンナにその辺もふまえた上で訊いてみると言うのが筋であろう。
そもそもわたしがあのアメジストのクリスタルをあそこで掘り出した時点で、何かあったらすぐにでも連絡がほしいと彼女には言われていたんだっけ。
ってまあ、あの後すぐにでも連絡するべきだった?と言うことなのかもしれない・・・、なんてそれは後の祭なわけで。
いや、むしろそれよりタイミング的には今まさに!と言うことなのかもしれない。

あのリアルなパラレルワールド体験は、わたしにとって言うまでもなく正直ただ事ではなかった。
あの体験が仮にこちらの世界におけるデジャブなのだとすれば・・・。
そしてあのミクがわたしに残したあのフィオレンテと言うキーワードにしても。

わたしはそれから草津温泉ターミナルにおいて午前中すぐのトウキョウ行きのバスの予約を入れ智能廁板ると、その場で財布の中にあったジェシカの名刺を取り出し、即彼女宛に電話を掛けてみることにした。

呼び出し音が3回ほどプルルと鳴った後に彼女は電話に出た。

もしもし」
ああ、あの・・・ホンジョウですが」
ジェシカです」
よかった。
今、ちょっといいですか?」
ええ」
あの・・・、実は」
と言ってわたしは狭山の神社で掘り出したあのアメジスト、そしてそれを抱くことによってわたしとユナが観たあのパラレルワールのことなどをかいつまんで彼女に話しつつ、
と、とりあえず詳しいことは出来れば今夜、何処かで会って話したいのですが?」
と言うと、
わかったわ。
じゃあ、今夜9時に『赤い砂漠』で」
そうジェシカは言うとすぐに電話を切った。

わたしはこれで、とりあえずどんな形にせよ何かしら前に進める、そう確信すると4時間あまりのトウキョウまでのバス旅を熟睡の中で過ごした。
そしてもちろんその時点におい てわたしは、あのアメジストを再び抱いて寝ようとなどは決して思わなかった。

バスは夕方過ぎには新宿に着いてしまい、わたしはそのまま新宿で時間を潰す気にはなれず、一度自宅に帰り荷物を置いて一休みしてから再び夜の8時過ぎに家を出て新宿コールデン街へと向かうことにした。
念のためジェシカに見せようとアメジストのジオードは布切れに包みデイパックに入れ持って出た。


掌の中に包み込

2017-04-12 14:40:41 | 日記

礼拝堂の目の前に来るとスナガワが靴を脱いだので、わたしも自分のを脱ぎスナガワのと並べるようにして置いた。
ジェシカもピンヒールを脱ぐと、その足先にはトレンチコートとお揃いの真っ赤なネールが施されていた。
わたしの視線はその一点に一瞬吸い込まれるようにフリーズしたが、すぐに我に帰るとスナガワが開けた礼拝堂の扉の中へと足を踏み入れた。

そこはまるで別世界のように静まり返った空気が流れており、わたしたち3人はその中の丸い御神鏡のようなものの前で凍り付いたように神妙な表情で立ちすくむ。
その瞬間、一瞬頭頂が割れたかのような頭痛を感じたが、その後すぐに心地よい静寂のベールのようなものに全身が包まれるような感覚に襲われ、自然と呼吸が深くなり、同時に背骨から頭頂に向かって何かエネルギーのようなものが上昇するのがわかった。

ホンジョウさん、例のアメジストを???」
とスナガワに言われ、わたしは背負っていたデイパックを開けると、包んであった布を剥がしそのクリスタルを取り出しスナガワに手渡した。
スナガワはそれを大事そうに両掌の中に包み込んでしばらくの間目を閉じ、何かブツブツと呪文のようなものを唱えた。
そして今度はその石を一度両手で頭上に持ち上げたかと思うと、そのままそっとそれを御神鏡の前の小さな座布団のような布の上に置いた。
そして彼は再び目を閉じて合掌し、今度は祝詞のようなものを唱え始める。
薄めで横を見れば、ジェシカもはもるようにそれを唱えていた。
その日のちょうどその頃のことだった、下馬の住宅街にあるラウンジタイガーアイ」にはめずらしくわたし以外の訪問客があったようで???。
と、その夜そのオトコはやけに上機嫌に盛り上がっている様だった。

とりあえず今日は、3人に1杯づつおごるから飲んで!」
と某プロダクション社長、サクヤマは彼以外の店の従業員3人に向けてそう叫んだ。
いただきま~す」
とナカバヤシ、マキ、トオルの3人が同時にはもるように言い、カチカチッとビールのグラスでサクヤマと乾杯する。

ご機嫌ですねえ?」
とその理由をいかにも聴きたいと言った表情のトオルに、
そりゃあそうさ。
この1週間ばかり生きた心地もしてなかったんだ。
ヘタすりゃあ今頃、俺は東京湾に浮かんでたところさ」
とのサクヤマのリアクションに、
そ、それはまた、ど、どう言うことで?」
と今度はナカバヤシが絶妙のフォローを入れる。
って、まさにサクヤマ社長オンステージが始まろうとしていた。