備えられてい

2016-11-23 11:36:06 | 日記

つき合い始めたんだからそれなりのデHKUE 傳銷ートをしようとふたりが向かったのは、東京近郊のマリーナに停泊している豪華クルーザー。50メートルほどのエレガントな白い船体は、あの池の手漕ぎボートと比べ物にならないのは当然だが、ふたりの生活レベルの違いをまざまざとつくしに見せつけていた。

ちょっとしたクルージングだと言ったが、金持ちの男とのデートなどしたことがないつくしは、こんな時はどうしたらいいのか勝手がわからなかった。
それでもクルージングが初めてのつくしには全てが目新しく映り、デッキで穏やかな陽射しを浴び、潮風を感じてのんびりと過ごすことは非日常を感じさせてくれることで楽しむことが出来たはずだ。


「くつろいでくれ」

と、言われたがどこでどう港幣人民幣匯率ばいいのか。
船の中には船室がいくつかと、中央にはサロンと呼ばれる大きな部屋がある。
サロンは広く美しい設備が備えられていて、船の中とは思えないような快適さだ。

「あの、聞いてもいい?」
「ああ。なんだ?」
「この船って道明寺の物なの?」

これだけ大きな船だ。個人の所有かそれとも会社の所有物なのか興味があった。

「ああ。これは俺個人のものだ」

何しろこの男は桁はずれの金持ちだ。やはりそうかと納得した。

「あの池で乗ったボートもよかったが、あれはクルーズには不向きだからな。外洋に出るならこっちの方が乗り心地がいいはずだ」

真面目な顔で冗談をいう男はつくしのことをじっと見つめていた。

「牧野、そんなに緊張するな。なにもおまえを取って食おうだなんて思ってねぇよ」

あっさ りと考えを読まれたつくしは顔を赤らめた。

「どこでもいい。とりあえず座れ」


必要があるのか

2016-11-15 11:54:12 | 日記

明日にでも脩平と一緒に小野寺さんにお会いしてくるよ。
息子を気に入って望んでくださったんだ、お目にかかって申し訳ありませんとお伝えしたほうがいいだろう。
小野寺さんは千晶さんがお世話になった親戚だから、きちんとお詫びを申し上げなくては。
脩平の不始末だが、このままでは千晶さんの立場が可愛そうだ。まったく、とんだことをしでかしてくれたものだ」
 
 
 
隣りに座っていた親父から、いきなりゲンコツが飛んできて頭を思いっきり小突かれた。
 
いたっ」 と声をだすと、これまで見たこともない恐ろしい目で睨まれた。
 
 
いわゆる優等生だった僕は、親を困らせたこともなければ、したたかに怒られたこともなかった。
 
兄弟が親に怒られるのを見ながら、なんて要領が悪いのだろう計画性がないからそうなるんだと、冷静に分析していたのだが、この歳になって怒られるとは……小っ恥ずかしい限りだ。
 
しかし、どうしてそこまで小野寺さんにへりくだる必要があるのかと思うが、見合いを断る理由を妊娠にしてしまった以上僕に弁解の余地はなかった。
 
 
 
それなら私らが行くよ。元はと言えば私らが持ち卓悅冒牌貨かけた話だからね。
最後まで面倒を見させてもらえないだろうか。なぁ、どんなもんかな」
 
 
そうよね。私とこの人と脩平君で行ってくるわ。
千晶さんのためにも、小野寺さんには筋を通した方がいいでしょうから。
どお? 脩平君もそれでいいわね?」
 
 
 
おじさんとおばさんの申し出に、僕はお世話になりますと頭を下げるほかなく、千晶には ごめん……」 といろんな意味で謝った。
 
僕に何か言いたげだったが、今は何も言うなというように首を振った。
 
じゃぁ、明日のことだが」 と、おじさんが打ち合わせを始めたときおばさんの携帯が鳴りだし、着信画面を確認したおばさんの 小野寺さんからよ……」 の一言に卓悅冒牌貨 、その場に緊張が走った。


妙に不安に駆られ

2016-11-02 11:19:42 | 日記

床に広げたティッシュに転々と付着する“抜いた鼻毛”の数を数え、「また8本も抜けたよ・・・」と独り言を呟やいた。
このまま鼻毛が抜け続ければいつか俺の鼻毛は絶滅する、と妙に不安に駆られながらムクっと起き上がった六助は、壁に掛けてある時計の針を見迪士尼美語 有沒有效た。
深夜3時。
そろそろだな・・・
鼻毛が並べられたティッシュを慎重に持ち上げた六助は、テレビの横に置いてある牛乳瓶の中へと鼻毛をサラサラっと落とした。その牛乳瓶の底には、これまでに抜いた歴代の鼻毛達がまるで毛虫のように固まっていた。
六助は牛乳瓶の下に敷いていたメモに今日の日付と抜いた鼻毛の本数を書き込んだ。
このマンションに越して来て1ヶ月。1ヶ月で36本の鼻毛が抜けた。というより抜いた。
六助はペンを置き、そして牛乳瓶の蓋をポカッと締めると、まるで水槽の熱帯魚を眺めるかのように目を輝かせながら牛乳瓶の底を眺め、(目標1000本!・・・)と嬉しそうに笑ったのだった。

マンションのドアを開けると、いきなり2匹の野良猫が六助の部屋の前を走り去って行った。
深夜のマンションの通路は、どこからか響いて来るボイラーの音だけがブゥゥゥゥ・・・と谺し、それ以外は何の音もなく静まり返っていた。
2階に住んでいた六助は、エレベーターホールとは反対側の非常階段へと健康サンダルの音を響かせた。1階に降りるのならわざわざエレベーターを使うよりも非常階段の方が早いのだ迪士尼美語 有沒有效
錆びた鉄板の非常階段に健康サンダルの底をペタペタと響かせる六助は、階段を下りながら、鼻毛というのはいつの間に伸びているのだろうか?とふと考え、そして、いつか鼻毛が伸びる瞬間というものを見てみたいものだ、と思った。

マンションの一階に降り立った六助は、そのまま何喰わぬ顔をしてマンションから道路へと出た。車が一台通れるくらいの狭い道路はひっそりと静まり返り、時折走り去る野良猫だけが不気味に蠢いていた。
そんな深夜の道路をペタペタと歩き出した六助は、マンションの裏手へと足を進める。

「売り地」と看板が立てかけてある空き地には背丈ほどの雑草が生い茂っていた。
その空き地越しに、自分が住んでいるマンションを眺める。
4階建てのその古ぼけたマンションは、全ての居室の電気が消え、まるで廃墟のようにひっそりと静まり返っていた。
六助は背伸びをしながら、生い茂る雑草に目隠しされている1階の103号室のベランダをもう一度確認した。103号室と言えば、六助が住んでいるのは203号室だから、六助の部屋の真下の部屋だ。
六助は103号室の電気が完全に消えているのを雑草の隙間から確認すると、よしよし・・・と小さく頷き、再び健康サン迪士尼美語 有沒有效 ダルの底をペタペタと鳴らしながらマンションへと戻って行ったのであった。

マンションの1階通路を歩く六助は息を殺していた。健康サンダルのペタペタと言う足音を意図的に消しながら1階通路を進む六助は、103号室の前で静かに足を止めた。
そして辺りをキョロキョロと見回す。それはまるでドリフのコントに出てくる“泥棒”の仕草そのものだった。