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ぶろぐHELLO,IT’S MIN.

音楽、読書、映画、TV。℃-ute筆頭にハロプロと少しの日記。
そんなスタンスの“ブログはろみん”をよろしく。。。

読了『名前探しの放課後(上・下)』辻村深月

2008年01月13日 | book

名前探しの放課後(上・下)
辻村 深月
講談社

思い出してください、青春の切なさを。


タイムスリップによって3ヶ月先から戻されてしまった依田いつか。戸惑ういつかだったが、何故自分が時を遡ったのか思い当たる事があった。「自分たちの学年の誰かが1人自殺する」いつかはこれから起こるその誰かの自殺をくい止める為に同級生の坂崎あすな等と“放課後の名前探し”を始めるのです。

昨年の『スロウハイツの神様』が大のお気に入りだった辻村さんの最新作が単行本で登場。それも上下巻だなんて価格的にはやや高めですが、やっぱりその面白さに感心してしまいました。彼女特有のウェット感、そして伏線、仕掛けの纏め方が見事なのです。ちょっと斜に構えた主人公いつかと、彼の言葉を信じて自殺を食い止める為に集まった友人たちの関係がじつに青春しているので、共に喜んだり切なかったりとなかなかリアルな学園ミステリィなのではないでしょうか。といっても僕が学生だったのは遥か昔ですが(笑)

下巻の真ん中辺りまでは青春小説なのです。しかしそこからが例によって怒濤の展開。着地点と大枠の仕掛けに気づく事は簡単ですが、まさかここまで仕組まれていたなんて思いませんでしたよ。他作品とのリンクもあり、そういう意味では彼女の作品を読み続けているかたには楽しいかな。もちろん単体としてもしっかりとしたミステリィです。そしてカバー装丁が美しいですね。

しかしデビュー作『冷たい校舎の時は止まる』以降、作風が似通っているので、この辺で新しいタイプのお話も読みたいものです。綾辻氏みたいな館ものとか如何でしょう?(笑)

読了『ぼくらの時代(新装版)』栗本 薫

2008年01月03日 | book
ぼくらの時代 新装版 (講談社文庫 く 2-42)
栗本 薫
講談社



この作品が発表されてから30年になります。講談社文庫から新装版で登場ってことで、やっぱり手にとってしまいました。カバー写真はイマイチ作品のイメージではないなと感じてしまいましたが、すでに20回以上も再読している僕のフェイバリット、いや人格形成に多大な影響を受けたこの作品は何度読んでも飽きる事無く、その度に鼻の奥をツンとさせてくれます。最初に読んだのは高校生の時でした。そして見事に物語りにとり込まれてしまった感じのまま今に至る(笑) この作品に出逢わなければミステリィ中心の読書生活なんて無かっただろうし、グイン・サーガを読み続けることも無かったでしょうね。

某マンモス私大生の栗本薫とそのバンド仲間が巻き込まれる女子高生連続殺人事件。時代が70年代ってことでお話内の風俗や音楽が古く感じることもありますが、「現代ってどう?」と訊ねられると実質は何も変わっていない気がします。“ガキ”が何を考えているか解らない大人。“オトナ”なんて関係ないと虚勢を張る若い世代。読んだ当時、主人公の薫クンは僕よりやや年上でしたが、じつに共感出来たんですよね。ガキがガキでいることってときに切なくて悲しい。再読するたびにヒシヒシと感じてしまう。

やや内容に触れますが“偶然”を信じない恐怖の絵柄人間、“あこぎなハラやん”こと原田ディレクターが僕の性格に近いなと思います。いや、この原田Dのキャラから大いに影響を受けているのでしょう。そして今の僕は紛うことなく彼の世代なわけで。今回の再読でもやっぱりその影響下を感じました(笑)

薫クンが属するバンド名が「ポーの一族」なんですよね。それまでにも幾つか読んでいた萩尾望都作品がグッと身近に感じ、「11人いる!」なんかも再読したっけ。気づけば萩尾作品も僕にとって大切なものばかり。ここにも影響があったんですね。レッド・ツェッペリン、ディープ・パープル等懐かしのハードロック・ナンバーやロッド・スチュアートがBGMだったり、今読むと、ノスタルジックな気持ちにもなります。これらの曲は高校時代の友人に聴かされて知っていましたが、やはり身近に感じるようになったのは『ぼくらの時代』を読んだ所為なのでしょうね。

今回の新装版にはハードカヴァー発刊時に付録として付いていた赤川次郎氏と筆者の対談が収録されています。僕が古書で手に入れたハードカヴァーにも付いていたので内容は知っているのですがやっぱり購入してしまったのは、僕のオールタイム・ベスト上位に必ず入る大好きな物語だから、なのでしょうね。

読了『プリズムの瞳』管 浩江

2008年01月02日 | book
プリズムの瞳
菅 浩江
東京創元社

滅ぼしようもなく、消しようもなく、
私たちに残されるもの。


ロボット研究が生み出した最先端のロボット“ピイ”シリーズはかつて危険を伴う特殊作業や精密な外科手術を行うプロフェッショナルだった。しかし現在ではただ絵を描くだけの無用な存在として各地を放浪している彼ら。感情も使命も持たない彼らの瞳には何が映っているのか?

“ピイ”というロボットが登場する連作短編ですが、彼らの存在に対する人間たちの感情の機微がテーマ。ひと型をしていても無機質な対応しか出来ない彼らを蔑んだり暴力の対象にしたり、または嫉んだり利用したり。時に同情したりノスタルジィに浸ったり。とにかく登場人物の人間臭い感情がオンパレード。お話のどれもが切ないのですが、ピイの瞳に映る微かな希望があるので救われます。

『永遠の森 博物館惑星』がお気に入りだった管さん。その他の作品も好み度は高いのですが、この作品も僕にとって大切な一冊になりそうです。

読了『クリスタルの再会 GUIN SAGA 118』栗本薫

2007年12月11日 | book
クリスタルの再会 (ハヤカワ文庫JA ク1-118 グイン・サーガ118) (ハヤカワ文庫 JA ク 1-118 グイン・サーガ 118)
栗本 薫,丹野 忍
早川書房

終わりとはじまり

前巻にてタイスを脱出したグイン一行は、それぞれの思いを胸にパロを目指します。苦難を一つ乗り越えた彼らであったが、目の前にはまた新たな運命の流れが横たわっているのです。マリウスは相変わらずマリウスだな~とか、フロリーとスーティーが平和に暮らせる場所なんてあるのか、とか、記憶を失ったグインとリンダのこれからは・・・とか。やっぱり目が離せませんね。


読了『ナナフシの恋-Mimetic Girl-』黒田研二

2007年12月10日 | book
ナナフシの恋~Mimetic Girl~ (講談社ノベルス クM- 7)
黒田 研二
講談社
メールの発信者は
意識不明で入院中のクラスメイトだった。

自殺を図り、意識不明の重体で入院中のクラスメート:麻帆。「新しい教室で待っています」との呼び出しメールは彼女のアドレスからだった! 集められた6人の高校生たちが彼女の自殺の謎に迫ります。

学園ミステリとして、散りばめられた謎と伏線が如何にも黒田氏らしいですね。そして力技の真実。面白いですね。限られた登場人物による室内劇、いや舞台劇かな。皆が少しずつ何かを隠していて、情報が明るみに出る毎にここに居ない人のキャラが少しずつ姿を現す。そして事件の真相は・・・。推理合戦は本格ふうですしね(笑)


読了『舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵』歌野晶午

2007年12月06日 | book
舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵 (カッパ・ノベルス)
歌野 晶午
光文社

優秀な刑事の武器は、
地道な捜査とかわいい姪。

難事件に頭を抱える刑事の叔父に代わって、11歳の姪が八面六臂の大活躍、ってタイトルからは思われそうですが、内容はちょっと違います。おしゃまで可愛い姪っ子の素直な子供らしい反応から難事件解決のヒントを得る刑事のお話、って感じでしょうか。連作短編のスタイルが大きな意味を持っていますね。事件と事件、短編と短編の関連性が見事に仕掛けとして成り立っています。事件自体も面白いのですが、姪:ひとみと叔父さんの会話が「ゆるミス」たる所以なのでしょう。しかしヒントはそこに! 面白いですね。そして歌野氏らしいですね。

読了『少し変わった子あります』森 博嗣

2007年11月21日 | book
少し変わった子あります
森 博嗣
文藝春秋

ここは、
美しい孤独の
生まれる場所

森センセの名前と西島大介氏の装画に迷わず手にとってしまいました。ノベルス落ち作品なんですね。こんな本が出ているなんて知りませんでしたよ。しかし文春のノベルスなんて初めて見たかもしれない。マメにノベルス版を出してくれる森センセ、好きですよ^^

さてお話はというと、主人公の小山が友人から勧められたちょっと変わった料理店を舞台にした連作短編集。予約を入れ、訪れるたびに場所が変わり、顔を見せるのは女将一人だけ。しかし、毎回違う若い女性が食事に相伴してくれるのです。戸惑いつつも彼女らと会話を続ける主人公は、その静かな店の雰囲気に惹かれ始めるのですが・・・。

人と人の繋がりとか、立ち位置、駆け引き。物語に登場する女性と主人公の関係ってあらゆる人間関係のそれ、ですよね。彼女らとのお喋りが特に弾むわけでもなく、逆にその静けさが心地よかったりする気持ちもわかります。で、このオチ!

森センセ、これがやりたかったのか~(にこっ)

読了『暁の脱出 GUIN SAGA 117』栗本 薫

2007年11月15日 | book
暁の脱出 (ハヤカワ文庫 JA ク 1-117 グイン・サーガ 117)
栗本 薫
早川書房

祭りのさなかにひそかに準備していた、
グインたちのタイス脱出作戦がついに発動する!


タイトルが物語っていますが、長かったタイス編がいよいよ終ります。ガンダルとの大闘王決定戦に辛くも勝ったグインだったが、そのダメージも大きなものでしたね。身体的にここまで追いつめられたグインも珍しいな。それでもタイス脱出、つまり一行はパロへ向かうこととなります。あのキャラも姿を見せるなんて、振り返ればタイスでの冒険も大切な思い出だったりするのでしょうね。

読了『探偵伯爵と僕』森 博嗣

2007年11月13日 | book
探偵伯爵と僕 (講談社ノベルス モF- 40)
森 博嗣
講談社

親友が連続して行方不明に。
新太と伯爵の調査がはじまった!


夏休みの直前“僕”新太が公演で出会ったのは探偵伯爵だった。いつも真っ黒な服装で奇妙な行動をとる彼と友達になった僕だったが、やがて事件に巻き込まれることとなります。親友たちが次々と行方不明となり、さらには僕にも魔の手がせまるのです。

ミステリーランドで発表されていた森センセの作品が講談社ノベルスになりました。新書好きな僕としては、ちゃんとノベルス化してくれる森センセって好きですよ。きれいな挿絵も含み、ひと夏の冒険がサスペンスフルで、面白く読ませて頂きました。主人公が少年とはいえ、文章がやっぱり森センセらしくてニコニコしてしまいます。犯人は容易に気づいてしまうのですが(他にいないじゃん!)、最後の最後で、仕掛けてきましたね(笑)

読了『ルームシェア 私立探偵・桐山真紀子』宗形キメラ

2007年11月10日 | book
ルームシェア 私立探偵・桐山真紀子 (講談社ノベルス ムB- 1)
宗形 キメラ
講談社

消えたルームメイト、
部屋に残された狂気。


失踪したルームメイトを探して欲しい、と姪からの依頼を受けた私立探偵の桐山真紀子。名前以外の素性が一切不明な失踪者の部屋で真紀子は身の毛もよだつ醜悪な落書きに驚愕するのだった。

宗形キメラ名義による合作ユニットのデビュー作。一人はご存知二階堂黎人氏。そして新鋭千澤のり子氏。女性の私立探偵というと、まずV・I・ウォーショースキーをイメージしてしまうのですが、この桐山真紀子もハードボイルドながら人間臭いキャラですね。二階堂氏らしくない、女性の視点がリアルに感じられる文章がきっと千澤さんの文体なのでしょう。特にセリフにはそれが感じられます。お話のサスペンス感が常に持続している事と、後に絡みそうな個性的な脇キャラの登場で、とても面白く読ませて頂きました。リアルな感情をぶつけられることが苦手な僕にとっては身につまされる内容に「怖いな~」と思いながら、ね。

最後にのりりんへ
小説家デビューおめでとうございます。
この本を手に取ることが出来てとても嬉しいです。
シリーズ第2弾も楽しみにしていますからね(にこっ)


読了『十角館の殺人〈新装改訂版〉』綾辻行人

2007年10月28日 | book
十角館の殺人 新装改訂版 (講談社文庫 あ 52-14)
綾辻 行人
講談社

“たった1行”が世界を変える

僕が初めて綾辻氏の名前を認識したのは'95年に発刊された『グイン・サーガ読本』で50巻達成の祝辞文だったと思います。調べたら初版発行が11月。明けて'96年、帰郷する新幹線内で読もうとブックストアで手にしたのが『十角館の殺人』でした。当時はもう文庫で『時計館の殺人』まで出ていましたね。

元々、乱歩や横溝作品が好きなミステリ読みでしたが、ずいぶん読書からも離れていた頃だったので、この大技トリックにひっくり返るが如く驚いた事を憶えています。以来綾辻作品を読み漁り、本格ミステリに取り憑かれては法月、我孫子、歌野から有栖川、山口作品へとまっしぐら(笑) つまりはこの『十角館の殺人』が僕にとってもエポックメイキングなミステリであった事は確かなようです。

その作品が新装改訂版として文庫発売されました。作品自体は何度か再読していますが、新しい“本”としてあらためて読んでみました。メイントリックは知っているので、そういう意味ではビックリしないのですが、あちこち忘れている記述もあるな。もちろん加筆もされているのでしょうが、あえて読み比べはしない方向で、と。孤島:角島で大学ミステリ研の7人を襲う連続殺人事件。未読のかたがいらっしゃるなら「なんてもったいないことを」と思わないではいられません。。。

『火の接吻(キス・オブ・ファイア)』戸川昌子

2007年10月26日 | book
火の接吻 (講談社ノベルス トA-3 綾辻・有栖川復刊セレクション)
戸川 昌子
講談社

26年目の不信の再会

講談社ノベルス:綾辻・有栖川セレクションの一冊。'84年発表のなのでもう23年も前の作品なのですね。連続放火事件と重なる奇妙な殺人事件。事件を追う刑事、消防士、そして保険会社の重役には幼い頃、火遊びのからの放火という記憶の片隅へと隠された体験があったのです。事件が連鎖するサスペンス感に惹き込まれてしまうと、もう著者の罠にかかってしまいます。じつにトリッキーな仕掛けにもビックリすると同時に、事件をこういう見せ方があるのかと感心してしまいます。ときにエロティックな描写もありますが、それさえも仕掛けであったりと。う~ん、さすがです。

新本格あたりからミステリィに傾倒し始めた読書ですが、こういう旧作に出逢える機会を得たことも講談社ノベルスに感謝です。

読了『心臓と左手』石持浅海

2007年10月18日 | book
心臓と左手 座間味くんの推理 (カッパ・ノベルス)
石持 浅海
光文社

『月の扉』事件、11年後の決着。

石持氏の短編集。『月の扉』事件で知り合った警視庁の大迫警視と座間味クンがお酒を飲み交わしながら、既に決着のついた事件の話をすると・・・。そう座間味クンは終ったはずの事件の姿を変えてしまうのです。安楽椅子探偵型のお話ですが、ちょっとヒネリがありますね。石持氏らしいヒューマニズムに溢れた短編ミステリィの切れ味を楽しむことが出来ました。

『月の扉』再読したくなりましたよ。。。

読了『天帝の愛でたまう孤島』古野まほろ

2007年10月14日 | book
天帝の愛でたまう孤島 (講談社ノベルス フJ- 3)
古野 まほろ
講談社

厳然たる! 言語と! 衒学の! 限界突破!
お見事としか言いようがない。
                   ―――魔夜峰央氏推薦!


早くもまほまほシリーズの第3弾。嵐の孤島にして館もの、そして怪人跋扈。なんて本格なんでしょう。前2作もまほろ節炸裂しつつもロジックによる謎解きメインでしたが、今作も納得の読後感を得ることが出来ました。

例によってまほろら吹奏楽部の面々(の精鋭?)と学友(今作では生徒会関係)が学園祭の舞台劇のリハーサルにとやってくる孤島で、事件に巻き込まれるのです。嵐がやってくる、外部との連絡手段は破壊される、というのはお約束。祈歌に秘められた財宝の在り処、謎の死神仮面登場! 連鎖する密室殺人! 本格以外の何ものでもないですね。

しかしこのシリーズは3部作らしいのですが、このエンディングは切ない。続きがあることを望みます。。。

読了『闘鬼 GUIN SAGA 116』栗本 薫

2007年10月12日 | book
闘鬼 (ハヤカワ文庫 JA ク 1-116 グイン・サーガ 116)
栗本 薫
早川書房

狂乱の祭りのさなか、
強靭な肉体同士が激突する闘技大会も
クライマックスを迎えていた。


快楽の都:タイスの人々が誇る水神の祭が始まります。そしてついにグインはクムの英雄:ガンダルとの決戦に臨む事となるのです。このクム篇、というかタイス篇もかなり長くなりましたね。それでもエンディングは近づいているようです。グインたちは無事タイスを脱出する事ができるのでしょうか? と、その前にやはりガンダル戦です。相見えるべくして対峙したグインとガンダル。この試合は見逃せない! そして来月も正篇117巻が発売になります。月刊グイン顕在ですね。。。