 | カフーを待ちわびて [宝島社文庫] (宝島社文庫 C は 2-1)原田マハ宝島社もし絵馬の言葉が本当なら、
私をあなたのお嫁さんにしてください――。 |
第1回日本ラブストーリー大賞受賞作品。「果報」とか「幸せ」と言う意味での沖縄言葉が“カフー”。「果報は寝て待て」の果報ですね。だから中休み(ナカユクイ)と呼ばれるお昼寝から物語が始まるわけではないのでしょうけど、不器用な島の男:明青の元にお伽噺的な美(チュ)らさん:幸が「お嫁さんにしてほしい」と現れるお話の導入部としてはとてもステキです。舞台は沖縄の離島。日差しと木陰が織りなすコントラストを感じつつ緩やかに流れる時間に身を委ねる。そんな読書でした。
口下手な主人公の所為で(笑)いつまでもミステリアスな幸なのですが、あちこちに張られた伏線は解りやすいので物語の展開はけっこうバレバレ。この辺りはミステリ読みの悪い癖かもしれません。もちろんミステリィではなくラヴストーリィなのだから、王道で良いのでしょう。きれい事でも、真の悪役が登場しなくても、登場人物に感情移入して物語に浸れば良いだけ。しかし歯痒さにちょっとイライラしてしまうのは僕が明青のように純粋では無いんだろうな。不幸な方向に進まないで欲しいなと思いながらの読了。ハッピーエンドとは言えないのでしょうけど、ポジティヴな気持ちに溢れたエンディングが爽やかでしたね。
ここからは普段あまり書く事の無い僕自身のお話。この作品を読んでいて思ったのは、今更文章にすることも恥ずかしいのですが“家族”が苦手、というかもしかすると避けている部分があるのでしょう。主人公とヒロイン、そして裏屋に住むおばあとの関係がじつに家族であって、それ自体は微笑ましく思うのですが、いざ自分に置き換えてみると何故かしっくりこない。たぶん僕に欠けている感情の一つ。自分が自分である事がやっぱり大事で、他者の気持ちの介入が苦手。怒られるかもしれないけど煩わしく感じることもあります。一般常識くらいの人付き合いが精一杯。ここで謝っておきますね。ごめんなさい。それでも大事な気持ちはやっぱり言葉にしなきゃ伝わらないし、相手の気持ちに応えることも大切。この辺りが僕の課題だな。。。