パトレイバーの法則と聞いて、何を皆さんは思い浮かべるでしょうか?
いろいろ探せばあるんでしょうが、ここでは「レイバーがほぼ出ない話の方が面白いの法則」について話したいと思います。
パトレイバーの熱心なファンなら2つや3つは思い浮かぶでしょう。
有名なものならば、TV版の「特車二課壊滅す」や「地下迷宮物件」が、
後期OVAならば「二人の軽井沢」や「宇宙から来た女」、「火の七日間」などがありますね。
TV版のほうがレイバーが登場する話が多く、パト「レイバー」をしているんですが、意外とほぼ登場しない話があるんですよ。
順に書き出してみると、以下のようになりますね。
・太田が美人とお見合いする「太田惑いの午後」
・相性がよくない野明と香貫花の親睦を深めるべく屋台で?みまくる「あんたの勝ち」
・東京湾に迷い込んだザトウクジラの騒ぎに駆り出される「歌を唄ったクジラ」
・後藤隊長が祖父江元課長に脅され、後藤の生態と過去をさぐる「目標は後藤隊長」
・お別れパーティー先の香貫花宅で見つけたレポートで大騒ぎする「香貫花レポート」
・香貫花の乗った飛行機が離陸前にハイジャックされる「さらば香貫花」
・進士が転職するか否かで迷う「春の嵐」
・川からお金が流れてきて、それを調べると怪しいおっさんが・・・の「野明の冒険」
・特車二課棟にコソ泥が出現。彼のアジトに行き逮捕しようとするが・・・の「地下迷宮物件」
・プレッシーが出るらしい四倉村でのひと騒動を描いた「沿岸警備命令」
2014年3月16日追加
・伝説の「特車二課壊滅す」
・リアルワニワニパニックな「地下迷宮物件」
以上2つもリストアップしておきます。
結構ありましたね。大体10話ですか。もっと幅広く見ればあと2~3話は増えますね。
後期OVAに至っては、グリフォン関連の話である「グリフォン復活」と「逆襲のシャフト」、「史上最大の決戦」、「GAME OVER」以外は、ほぼレイバー登場せずというすごい有様。
特に、『宇宙から来た女』や『二人の軽井沢』、『黒い三連星』は本当に傑作です。
こういうつくり好きですよ。ファーストガンダムの人情話の回(「時間よ、とまれ」)のような面白さがそこにあるって感じで好きだなぁ。
そういうパトレイバーのあほらしい話の脚本がたいてい押井守さんと横手美智子さんだったりする。さすがは日本を代表する映画監督と脚本家さんですね。
そして本題に入ります。
んで、結局のところパトレイバーお得意の何でもアリの世界観、すなわち少々各エピソードによって世界観の違いがあったとしてもそれをあまり意識させない、違和感を与えないというのは、キャラクターが出来上がっているからなのではないかと思うんです。
例えるならば、「太田惑いの午後」ならば時間厳守や規則・階級など礼儀にうるさい太田がデートの待ち合わせで遅刻してしまうであるとか、「闇に呼ぶ声」であれば一応SFのジャンルにあるアニメにおいて幽霊という非科学的な何かが登場するというちょっとオカルトチックな話もあったりと、少し統一感がないようで、それを強く意識させないのはキャラが確立されているからだと思うのです。
そういう話はともかく、すごいと思うのは日常の些細な出来事で話をひとつつくれてしまうすごさというものに感心させられます。
上海亭の料理を食べて食中毒を起こすとか、堅物で女っ毛ゼロの太田がお見合する話であるとか、野明と香貫花のわだかまりを飲み会でなくそうという?みニケーションの話。シゲさんの妄想(夢)の話であるとか、地下道に住むコソ泥を捕まえに行ったらワニに追いかけられる話もあります。
一方、後期OVAに至っては後藤と南雲というくっつきそうでくっつかない微妙な関係の男女がラブホに泊まる話に、職場にエロ本にAVを持ち込み怖い上司がそれを見つけ激怒して厳しい規則を作っ多が故に、それに不満を持つ部下たちが闘争を繰り広げるなど、一般人の我々でも遭遇しそうなシチュエーションでここまで面白い話が作れるのかと、これら話を見るたびに思うのです。(パトレイバーファンの皆さんならそれらタイトルがすぐ思い浮かぶのでは?)
つまり、日常のさりげない一コマをピックアップし、それを個性豊かなキャラクターとぐいぐい引っ張る脚本で面白おかしく描く。それがパトレイバーの魅力ではないかと思うのです。
これはまさに銀魂のようなアニメだとも思うんです。普段はだらしなくって、大丈夫か?と首をかしげたくなる面々が、いざとなったら大活躍する。
真面目な話のときは真面目に、そしてボケるときはとことんボケる。真面目・ボケ・真面目・ボケ・・・と交互に緩急をつけるかのごとく、全47話後期OVAを含めれば63話のエピソードを交互にちりばめて視聴者を引き付ける戦略、それがレイバーが『ほぼ出ない話の方が面白いの法則』だと思うのです。
要するに、日常生活で起こる何気ない出来事を膨らませて面白い話がつくれてしまうという『機動警察パトレイバー』という素材のすごさに本当に感心します。
パトロールレイバーというロボットの活躍を描いたアニメでありながら、実態はレイバーが飾りの何でもアリの警察の日常を描くコメディー調の何でもありのアニメ。
それが『機動警察パトレイバー』なのです。
メインテーマの「レイバー」を出さずして、面白い話を何十話と作り上げるアニメはそうなかなかありません。
このアニメのおかげで私管理人は、他のアニメがどこか物足りなくなってしまいましたよ(苦笑い)。
そうした弊害をもたらす『パトレイバー』は「レイバーがほぼ出ない話の方が面白いの法則」があったからこそ長続きしたのかもしれませんね。
ここからはこんな話があったら面白かったかも・・・というものを挙げてみます。
・整備班が太田のいつもの粗暴な行動に怒り、レイバーの整備をボイコットする話もしくは小さなミスでレイバーが不具合を起こし第二小隊と喧嘩する。(榊整備班長以下整備員の皆さんごめんなさい)
・後藤隊長がひょんなことから一緒に南雲隊長と休日を過ごす話、もしくは南雲さんの休日を後藤隊長が探る話(『目標は後藤隊長』みたいですが)。
・遊馬と父の確執や篠原重工のイングラム開発秘話などを描いた話
・福島課長の日常を描いた話
など思いついたのもを書きだしました。
こんな話があったらどうなっていたのかと考えてみるのも面白いものです。
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