カミソリ後藤とは非常に勘が鋭く頭が切れる後藤喜一警部補のことを的確に表した言葉である。
後藤隊長が公安時代にこう呼ばれていた。何も考えていない楽観主義者で昼行燈を装っているが、実際には第二小隊の面々や南雲隊長よりも先に事件の核心部分に迫っている。警官としての勘が鋭い時の後藤隊長をよく表した言葉。
まさしく「能ある鷹は爪を隠す」といえる。
TV版において『カミソリ後藤』という言葉が出たのは、TV版23話「香貫花レポート」である。
参考までに、劇場版パトレイバーでも松井刑事が「切れすぎたんだよ・・・」というセリフがあり、かなりのワルだったらしい。
さすがは公安出身なだけあり、陰謀じみたことにはめっぽう強いらしく組織的な陰謀や裏工作には勘が鋭い。
事件の真相やその意図を特車二課の面々の誰よりも先に見破ることができる。
『カミソリ後藤』ぶりはたとえば以下の通りである。
■TV版7話「栄光の97式改」では新型レイバーSRX70導入のいきさつの不可解さと、その裏に潜む特車二課の重火器使用データを収集し、軍用レイバーに利用しようとするトヨハタオート(実質シャフトエンタープライズ社)の陰謀に気付く。
■TV版9話「上陸 赤いレイバー」では、公安の外事一課の高畑の特車二課酒井港への出動要請の裏に隠された公安の思惑にいち早く気づき真相を突き止め、対処する。
■TV版と後期OVAの2シリーズを通じての内海を中心とするシャフトエンタープライズ企画七課の執拗にイングラムとの対決を画策する動きに気づき、高木刑事と組んで探りを入れる。また、彼らのペースに乗せられていたことや、後期OVA7話「GAME OVER」にて内海・黒崎たちがとっくに現場から逃げたことも感付いていた。
そのほかにもTV版「ジオフロントの影」にて東京ジオシティー建設現場に爆弾を仕掛けたテロリストの爆弾設置場所を突き止める
・TV版「目標は後藤隊長」における一連の迷惑行為の犯人を祖父江元課長と突き止める
・野明の拾った子猫『ゴマ』を野明・遊馬・山崎が隠れて飼っていることに気付く
・プレッシー騒ぎの首謀者を突き止めるなどあらゆる事件の真相にいち早く近づいている。
一方で、責任逃れや特車二課の面目を守るなどの方面に利用されていることも多く、その一番の被害者が祖父江元課長だったのかもしれない。
普段は昼行燈を装い、何も考えていなくどこか頼りなく見えるが実は部下の行動から犯人のことまですべてお見通し。彼の近くで下手なことはできない。そしてなぜか彼のお願いはみんな聞いてしまうんだからすごい。
そういうマネジメント力の高さも含めて『カミソリ後藤』だといえる。