『水曜の朝、午前三時』

前回の奈良に続いて、今週は京都に仕事で行きました。早く終わって、時間があったので、東福寺まで足を伸ばしました。紅葉の季節と非公開文化財公開もあったので合わせてでありました。もう35年振りくらいでしたが、なんだかずいぶん変わったかな、と思いました。人出も多かったですし…。とか思いながら、通天橋で紅葉を見て、三門と法堂を拝観したのでありました。拝観料は全部で三千円也、でした。ほんとは、京都の中古ＣＤやさんにも行きたかったのですが…。

ということで、今回はサイモンとガーファンクルのＣＤであります。先日、Ｈ○Ｖで『Simon & Garfunkel THE COMPLETE ALBUMS COLLECTION』を買いました。このＢＯＸは、以前から意識していたのですが、まあいいか、って感じで買うのを躊躇しておりました。収められている12枚中５枚は既に持っていることが主な理由でした。オリジナルの５枚についても、『水曜の朝、午前三時』と『Sound of silence』以外は持っているし、ＬＰでもすべて持っているからでありました。

しかし、今回入手したのは、①このＢＯＸには持っていない３種類のライブ盤があること。②音質の改善が期待できること。②このＢＯＸ、入手できなくなったら後悔する。以上３つの理由からでした。①は、セントラルパークと1967年、2003年のライブは持っていないのでした。②については、『パセリ…』と『ブックエンド』は、もう30年ほど前に輸入ＣＤを買ったのですが、音がたいそうよくない。こもっているようで…。今回のはデジタルリマスターであることで、更なる音質向上が期待できるということですね。できたらＳＡＣＤで聴きたいくらいですね。そして、③は、まあいま買っておかないと品切れになったときに後悔する、であります。そんなことでダブりがあってもなんのその、購入したのでありました。

そして古い方から聴いていこう、と思いまして、まず『水曜の朝、午前三時』を聴きました。このファーストアルバムは、ＣＤでも持っていないので、もしかすると40年以上振りに聴いたのかと。それで、「ユー・キャン・テル・ザ・ワールド」、「きのう見た夢（平和の誓い）」ときて、三曲目の「霧のブリーカー街」にさしかかったときの、不覚にも涙ぐんだのでした。それは懐かしさが曲が進むにつれて高まっていき、「霧のブリーカー街」が始まり、最初は気がつかなかったのですが、これはあのブリーカー街だ！と思って…、でありました。

このアルバムは、あとの４枚に比べると個性が乏しい。ポール・サイモンの曲も12曲中5曲のみだし、ギターとベーズのバックにひたすら二人が歌う。サウンド・オブ・サイレンスのヒットまでは無名の2人、有名な曲もほとんどない。ガーファンクルの美声も少ない。私も他のアルバムに比べると、それほど聴かなかったのでありました。でも40年以上振りに聴くと、なんだか初めてこのアルバムの良さがわかったようで、50年以上前の音楽が実に新鮮に聴くことができました。

何かいいのか。まず、私自身がギター一本のバックで歌うというスタイルが好きなんですね。バックのギターがいいですねえ。余分な音がまったくなく、必要最小限での表現がストレートに入って来ます。ポール・サイモンの音楽は、現在に至るまでいろんな音作りがされていますが、私は、こんな組合せが一番好きです。また、ポール・サイモンの５つの曲もどれもいいです。時代性もありますが、こんな曲作りが彼の原点なんだろうと思います。ここから1970年まではそうでもないのですが、80年代以降になると彼の進化と深化が進み、私的にはそれほど魅力を感じなくなるのも事実なのです。そして、名曲「サウンド・オブ・サイレンス」も、後のオーバーダビング版は、これはこれで素晴らしいのですが、かなりに厚化粧であり、曲の本来の姿とは私は思えないし、あの『卒業』のイメージが出てくるのが…、であります。いろんなケースがあると思いますが、最初のアルバムは、やはりひとつの原点なんでしょうね。

この時期の曲は、３分以内の曲が多く、アルバム全体でも30分ほどですねえ。あっという間に聴けますね。このアルバムのあと『サウンド・オブ・サイレンス』が出ますが、その間にポール・サイモンのソロの『ソングブック』がイギリスで発売されています。これもＣＤで欲しいです。
（Columbia 88875009062 輸入盤 2014年）