被害者名非公表 国民が危機感を共有すべき事態に全てを政府に任せろというのか?

産経

被害者名非公表 国民が危機感を共有すべき事態に全てを政府に任せろというのか? 社会部長・三笠博志

 バングラデシュのテロで、政府は犠牲者の氏名や年齢といった重要な「事実」を国民に公表していない。報じられているのは、全て報道機関の独自取材によるものだ。

  非道なテロで命を奪われたわれわれの同胞は、発表された「男性5人、女性2人」という数字だけの存在ではない。身元が伏せられたままでは、誰がなぜ惨劇の 犠牲になったのかという経緯はおろか、本当に日本人が殺されたのかということさえ検証できない。国民全体が危機感を共有すべき事態に、全てを政府に任せろ ということだろうか。

 例えば、岡村誠さん(32)には婚約者がいた。結婚に向け慎重に行動していたはずだ。トルコやインドネシアで海外業務の経験も積んでいた。それでもテロに巻き込まれたのはなぜなのか。「事実」を積み重ねることで、国全体で共有すべき教訓も見つかるのではないか。

 こうしたことは今回に限らない。平成17年に全面施行された個人情報保護法の影響で、近年、公的機関が重要情報を発表しない事案があまりに目立つ

 同法では、報道機関への情報提供や「生命、身体または財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき」などは 規制されていないのに、過剰な萎縮が蔓延(まんえん)している。昨年9月の東日本豪雨では、茨城県常総市が行方不明者について「15人」という「数字」し か発表せず、全員の無事を確認するのに数日かかるという混乱を招いた。

 今回のテロについて、安倍晋三首相や菅義偉(すがよしひで)官房長 官は「痛恨の極み」と口をそろえ、テロ根絶に向けた努力の必要性を訴えた。同感だ。そのために相応の公費や制度も必要だろう。もちろん国として犠牲者家族 への配慮も十分に行われなければならない。その前提となるのは、誰もが納得できる「事実」が示されることだ。

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