実体験からの忠告ですが さて
AC通信 No.768 Andy Chang (2020/01/01)
アイデンティティ詐取
パソコンがハッカーに乗っ取られて酷い目にあった。これまで新聞の報道でアマゾンやベライゾン、社会保障局などがハッカーにやられて数百万の個人データが盗まれたという報道を見たことがあったが、これがまさか自分の個人データが盗まれる元となるとは思ってもいなかった。
アイデンティティセフト(Identity Theft)とは個人の情報が詐取されることである。パソコンがハッカーに乗っ取られたらパソコンの内部にあった個人データがすっかり盗まれ、財産を詐取されたり個人名義で勝手な購買をしたりされる。金を失うのはホンの一部だけで、実際には実に大きな災難である。私の被害にあった状況は皆さんにも降りかかる災難かもしれないので、簡単ながら警告として書くことにした。
ハッカーの攻撃は二度あった。第一回目は十一月初旬で、ある朝パソコンが突然動かなくなり、まもなく電話があってあなたのパソコンが動かなくなったのはマイクロソフトの問題だ。今からすぐ治してあげるという。パソコンが動かないからどうにもならないので、すぐにやってもらうことにして、ハッカーが私のパソコンに入り込んでいろいろ操作して直してくれた。これがハッカーの手口であったが、娘がこれを聞いてハッカーにやられたと警告してくれたので、すぐにパソコン修理の専門店、Geek Squadでウイルスを除去して貰った。
それから一月たった12月11日、メルマガに記事を一つ出したあと日本と台湾の友人にBccメールで転送したところ、200以上のメールが全部受信拒絶されて跳ね返ってきたのである。それで契約しているGeek Squadに電話して治して貰ったが、うまくいかない。すると三日後にGeek Sqadと名乗る男が電話してきて、すぐに治すと言う。実はGeek Sqaadを詐称したハッカーだったのだ。挙げ句は金銭の損失だけでなく、ハッカーが私個人の銀行口座まで侵入すると言うことになった。幸いこれも娘がすぐ気がついたが遅かった。
それからが大変である。アイデンティティーを盗まれたとは全ての個人情報がハッカーに詐取されたことである。すぐにパソコンを専門店に持っていってウイルス除去、銀行に行って口座を凍結し、新しい口座を設置して暗証番号も変更した。だが銀行口座は序の口で、そのあとクレディットカードの変更と暗証番号の変更、社会保険や退職金の毎月の振り込み、水道、電気、ガス、新聞などの毎月の自動支払いの変更と暗証番号の変更など、個人情報一切を変更して20ほどの暗証番号を変更しなくてはならない。これは実に大変な作業である。
しかも、である。これらの個人情報の変更をするにはパソコンが必要だが、パソコンがハッカーに乗っ取られた状態ではパソコンが使えないのだ。パソコンは専門家がウイルスを除去してくれたけれど、ハッカーが二度も勝手に私のパソコンに入り込んだのだから、パソコンを使い出すと忽ちハッカーが入ってくる。
それなら別のパソコンを使えば良いかというとそうではない。専門家の意見では一旦私のメールが乗っ取られたらマイクロソフトのウインドウズ系統パソコンは一切使えないと言う。これは一大事だ。
専門家の話ではWindowsはハッカーが勝手に入り込むんでIdentity を盗むことが出来るが、Apple PCなら殆どこのような被害は起きないそうだ。
有難いことに娘たち三人がみんなApplePCを使っているので、三人が代わる代わる水道電気ガス、クレディット会社、社会保険局などにパソコンや電話で状況を説明して毎月の振り込みや支払いを変更し、二十以上の暗証番号の変更をやってくれた。これが私一人でやったら一ヶ月以上もかかっただろうし、煩雑な手続きで神経衰弱になるところだった。娘たちのお陰でこの災難を切り抜けることができた。金銭の損害は残念だが、娘たちの親孝行が身に染みて有難く、生涯で最も素晴らしいクリスマスギフトだった。
この事件には後遺症がある。今回の災難でつくづく私が歳をとって役立たずになったかと感じた。人を信じやすく無防備で騙されやすい。歳をとって耳も目もダメになり、煩雑な手続きでいろいろな会社の係りに説明したり説明を聞いたりしてもよく聞き取れないし理解力にも限度がある。去年は父親として振る舞うことが出来たのに今ではボケ老人で子供世話になる人間、十歳も余計に歳をとったと感じている。もう一つの後遺症はWindowsパソコンを捨ててアップルのタブレットに替え、アップルのワードを使って記事を書く練習をしている。
最後に読者の皆さんにお伝えしたいことがある。MicrosoftのWindowsはハッカーに侵入され易い。できるなら早々とアップルPCに変更すべきだ。WindowsPCを使うなら煩雑でも1ヶ月そこらで暗証番号を変更すべきです。