もし、あなたが婚活をするとしたら…まず相手のどこが気になりますか?

 フィーリングが合うか、職業や年収、見た目に話し方、人それぞれあると思います。

 ですが、結婚をアセると本来の目的を見失なってしまう場合があるようで…。

 今回は、そんな女性のエピソードをご紹介しましょう。

◆母親の大病きっかけで婚活スタート

 松坂友梨奈さん(仮名・36歳・派遣社員)は、2年前に結婚前提で付き合っていた彼に浮気をされ、破局してからずっとフリーです。

「しかもヤツは、私の友達と浮気していたんですよ。それから人間不信気味になってしまい、とても恋愛するような気持ちになれなくて」

 そして、昨年末に友梨奈さんの母親(60歳)が大腸炎を患ってしまい…。

「私はひとりっ子ですし、高校生の時に父親も交通事故で亡くしているので、母親が『私が死んだら、友梨奈がひとりになっちゃう』と悲しそうにしているのを見てるのが辛くて」

 母親を安心させてあげたいという思いから、友梨奈さんは婚活を始めました。

「今まで断っていた、合コンのような食事会にも参加するようなりましたし、マッチングアプリにも登録して…とにかく結婚してくれそうな男性を探しました」

◆婚活相手から「なんで僕の事好きでもないのに、何度も会おうとするの?」

 友梨奈さんは、なるべく年上で、見た目が地味な男性にターゲットを絞り、声をかけたり“いいね!”をしたりとコミュニケーションをはかりました。

「もう私も36歳ですし、男性に多くは求められないので…とりあえず健康でちゃんと働いている人だったら誰でもいいや、という感じで」

 なので“きっと地味で歳をとっている男性の方が自分を選んでくれるだろう”と考えた友梨奈さん。

「そうやって何人かの男性とデートしてみたのですが、なかなか上手くいかなくて。やっぱり男性は私みたいな中年嫌なのかな?なんて思っていたんですよ」

 そんなある日、友人の紹介で出会った男性と3度目のデート中に、衝撃の発言が。

「『なんで僕の事好きでもないのに、何度も会おうとするの?』って言われて『あ、確かに!』と納得してしまいました。私、とにかくはやく結婚相手を見つけて母親を安心させなくちゃと、そればかり考えて…恋心なんて湧かないまま、自分勝手に突き進んでいたので」

◆今までは眼中になかった年下とマッチング

 そして、見た目が地味で歳をとっていたら、自分を選ぶんじゃないか?というも相当なめた考えで…今まで会ってきた男性に失礼だったと反省をした友梨奈さん。

「そんな時に、たまたまマッチングアプリで“いいね!”をしてくれたYさん(29歳・会社員)とやり取りするようになって。今まで、歳下は私と結婚してくれるはずがないので論外だったのですが」

 猫と料理が好きなYさんと気が合った友梨奈さんは毎日連絡を取り合うようになりました。

「その頃はもうコロナでデートはできなかったので、Zoom飲みをしてYさんの飼い猫のナギちゃんや、手作りおつまみを見せてもらったりして交流を深めました」

 そして緊急事態宣言が明けて、6月頭に初めて実際に会った2人。

◆初対面でプロポーズされた

「そしたら、なんとYさんにプロポーズされたんですよ!初対面で(笑)不思議なものですね、結婚したくてたまらなかった時は全然ダメで、もういいやと肩の力を抜いた途端に上手くいくなんて」

 彼は、明るい友梨奈さんに日々癒されたお陰で、不安な自粛期間を乗り越える事ができたと言ってくれたそう。

「これで母親も安心させられますし、私もまた人を好きになれてとても嬉しいんです。今は猫のナギちゃんとも仲良くなれました」

 コロナが落ち着いたら、おたがいの両親に挨拶に行こうと約束した2人。今は、その日を心待ちにしている友梨奈さんなのでした。

<文&イラスト/鈴木詩子>

【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。