日本が中国の「自治区」になる

宮崎正弘 書評
板東忠信『日本が中国の「自治区」になる』(産経新聞出版)
 
http://www.amazon.co.jp/dp/4819111051/

筆者は、警視庁で、通訳捜査官を務められていた。通訳捜査官というのは、外国人が警察に捕まった際に行う尋問や捜索の通訳である。単なる通訳ではなく、容疑者の文化的背景をふまえて、捜査の一環として通訳を行う人である。 
さて、その現場からの問題提起が本書だ。一昨年、国籍法が改正され、昨年1月施行された。「日本人男性に認知してもらうだけで、婚姻関係の無い外国人女性との間にできた子供に対しても、 本人たちがそうだと名乗り疑わしくなければ誰にでも 、日本国籍を与えることができ、その母も条件を満たせば日本国籍を与えられる」 時の国会では、現法務大臣の千葉景子が法務委員長を務めており、強行採決した案件である。 

当時から、これはヤバイと、警告は発せられていた。 
案の定、とんでもないことになっていますよ、 と本書は、犯罪捜査現場から「告発」している。 
さて日中関係には、歴史問題や領土問題あるいは企業進出にともなう様々な問題、そして「偽装移民」の問題・・・等、様々な問題が横たわっている。 
ある人は、こんな問題を「根本的に解決」したいと思うかもしれない。もし、日中がひとつの国になれば、歴史は統合され、領土問題はなくなり、移民はただの引越しになるから、「問題は解決」される・・・。果たしてそうだろうか。 
60年前に、チベットと中国は「統合」された。その結果生じたことは、「チベット」の消滅だった。いま、我々の台湾が「統合」されようとしている。その結果生じることは、もちろん「台湾」の消滅だ。日本が東アジア共同体という名前の「中華帝国」に踏み出すことは、「日本」の消滅とイコールである。 

しかし策略を仕込んでいる人々は、硬軟両面で仕掛けている。経済からいくなら「東アジア共同体」、軍事でいくなら「太平洋分割」。そして、もうひとつ、思想でいくなら、この本が告発する、ローマ方式なのである。 
ローマは、蛮族にローマ式の教育を施し、ローマの市民権を与えていった。徐々に起こったことは、その「蛮族」市民のご機嫌をとらなければ、物事がすすまなくなっていったことだ。純粋なローマ人はパンとサーカスにうつつを抜かす。頼りになるのは「蛮族」市民。そして、「蛮族」市民は、外部にいる「蛮族」本隊と、通牒する・・・。 
このローマを日本と置き換えれば、本書の告発は、単なる杞憂ではなく、「歴史的にも証明されている」亡国現象であることが分かる。いかなる詭弁を労しようと、「国籍法破壊」や「多文化強制」「外国人参政権」「移民1000万人」、「子供手当ての国籍条項なし」「人権擁護法の国籍条項なし」などは、日本をローマ帝国末期に直行させる、死刑執行の法律なのである。 

「合法的」に内部から「日本を消滅」させる策略、気がつけば、「自治区」になっている策略。そんな策略が張り巡らされている。これは、無色透明の思想戦である。共産主義の形態に見えないから、あっという間に蔓延し、ひとの「偽善」に付け込んで拡大していく。ちょうど、家を内側から食いつくし、崩壊させる、「シロアリ」であろうか。 
亡国への警告から、目をそらすな。「シロアリ」が蔓延している。 
聖徳太子の時代から、対中独立は、わが国の「国是」である。 本書を読み、事実を知った上で、いかにすべきかを考え、行動すべき時にきている。筆者からの憂国の警告だ。
             (評 平岡憲人)

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