宮崎正弘
日本列島に寄生し中枢を蚕食するガン細胞
チャイニーズの脅威は地球規模であり、世界中で嫌われているのに
河添恵子『中国人の世界乗っ取り計画』(産経新聞出版)
あるとき、気がつけば周囲はみんな中国人。ゴミの仕分けはしない、階段で排便するのは水洗がもったいないから。自治会費を支払う理由がない。自分勝手、自分だけが良ければコミュニティがどうなろうと知ったこっちゃないさ。
埼玉県川口市にある公団住宅はかくて中国人に乗っ取られつつある。
池袋北口はその典型、いまやチャイナタウンが混在している。周辺の居酒屋の仲居はほぼ中国人、スナックも風俗も中国人専用がある。中国食材店、中国映画テレビのDVD屋、中国語新聞は無料配布。飛びかう言葉は北京語。
ことほど左様な現象が日本だけではない。世界的規模で同時進行中である。
なんと、パキスタンでもスーダンでもアンゴラでも!
本書の強みは世界中を所狭しと駆け歩いてきた河添さんの経験が堆積されている点にある。
アンゴラは数万の中国人がやってきて華字新聞を四種類発行し、独特の臭いの食材が街を覆い尽くし、ついには反中国デモ。パキスタンでは中国人殺害、誘拐が多発したため、高い壁を張り巡らした一角に中国人が暮らし住民との接触は皆無。どうやら新興国でも嫌われているのだ。
評者はかつて下記のコメントを書いた。
「中国はアフリカの「庶民」に嫌われていますが。しかしアフリカ各地では「高級官僚」と政権のトップから好かれています。ゲンナマと特権。その独裁的体制を守るための武器を呉れるんですから。石油やガスや、レアメタルの権利を中国にくれてやっても、いいんですよ。つまり図式的にはアフリカ国民は、腐敗した政府を恨み、その政権を背後で操るチャイナを恨むということになります」
さて本書の著者、河添恵子さんとは台湾の共通の友人を介してかれこれ二十年の付き合いになるが、北京と大連に留学し、中国語の翻訳本もある才媛。しかし中国だけが対象ではなく世界二十四カ国の教育事情をしらべてシリーズ世界の教育現場(学研)を四十冊。こつこつと仕上げてきたノンフィクション作家。
評者(宮!))は嘗て貿易会社を経営していたので世界中に知り合いがいる。いまもかなりの人とクリスマスカードを交換している。もちろん中国、香港、台湾にいる中国人とも取引があった。
1980年代のこと。貿易相手の香港人がいうには『97香港返還』を前に英国へ渡るのは25万人の制限が設けられているので豪州へ移民する。あそこで5000万円ほど持ち込み、一年暮らすと永住権が取れる、という。
もうひとりの知り合いは「カナダは移民制限がもっと緩いし、大英連邦の一員でもあり、カナダで市民権を得る」と行って実際に移住した。場所は言わずと知れたバンクーバー。この街はすっかり「ホンクーバー」となった(ホンコン人の街だからである)。
こうやって外国の永住権は市民権をえた中国人があちこちで中国と貿易をやり、親戚の保証人となり、あるいは外国の工場へよびこみ労働をさせる。
台湾のビジネス・パートナーだったTさんは、いつのまにかロスへ移住し、市民権を得た。かれはしかも東京にマンションを二軒買った。
逆に米国の友人や知り合いに尋ねると「そういえばチャイニーズが増えたなぁ」という。
有名なNYのチャイナタウンを最初に見に行ったのは1978年頃だったが、まだ寂しい、あまり活気のない街だった。83年に最初に『中国之春』のメンバーと会食した場所はチャイナタウンの第一ホテル。路上にはみ出した物売り、屋台、雑踏の阿鼻叫喚に懼れをなしたものだった。90年代になると、チャイナタウンでは収容しきれなくなり、福建省出身者等はラガーディア空港近くのフラッシングへ移動して新しいチャイナタウンを作った。
旧来のチャイナタウンの北隣はあのゴッドファアザーの舞台、「リトル・イタリア」だった。あっという間にイタリア街を蚕食し始めたチャイニーズはあらかたのレストランなどを買収し、つまりイタリア街は消滅し、ついでブロードウェイ対岸のソーホー地区へ侵入し、ここもチャイナタウンとしてしまった。
凄まじい繁殖力、移民の爆発が何をもたらしたか?
米国は移民の国ゆえに寛大にみえてそうではない。不法移民は追い返す。脱税は許さない。しかし中国系アメリカ人の法律事務所が乱立して商売繁盛。殆どが裁判に訴えて、勝訴し、合法的に居座っている。
日本は間違いなく、明日のNYチャイナタウンのようになる。
しかも子供手当を納税しない中国人にも支払い、これから外国人永住者へ地方参政権を認める方向にあり、とてつもない勢いで日本がチャイナに染まる日が来る。
あまつさえ、その方向へ現政権が誘導しているのだから、鳩山政権が売国奴と非難されるのも無理のないことであろう。
中国人を地域的に叩き出した国がある。
ロシアだ。ナホトカのチャイナタウンは幽霊屋敷化しつつあるのも、プーチン政権は意図的に外国人労働者を北朝鮮とアゼルバイジャンから移入させ、相対的に中国人を減らし、韓国からの資本進出に大甘な姿勢を取り、要するにバランスをとった。
イタリアでは厳しい中国人の入国制限を取っているがEUのどこかから入ってしまえば移動の自由があり、円滑に行っていない。
オランダは至る所でチャイナタウンが出現し、住民との軋轢は日々深刻になっている。
本書はそういう無策、無謀な日本の政策にするどく警鐘を乱打する、憂国の書である。そして本書の推薦文に西尾幹二氏はこう書いた。
「有害有毒な蟻をこれ以上増やさず、排除することが日本の国家基本政策でなければならないことを本書は教えてくれている」と
ここに紹介されていることぐらいは 知っておきたい