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パンダが狼になった
AC通信 No.853(2021/08/01)
AC 論説No.853 パンダが狼になった
トランプ政権の時は大人しくしていた中国は、バイデン政権になった途端に本性を現して「戦狼外交」と言い出してアラスカの駐米会談でブリンケン国務長官に噛み付くまで強硬になった。その後も米国を恐れない挑戦的な行動を繰り返している。
バイデンは大統領になった途端に反トランプをむき出しにして「ロシアこそ本当のアメリカの敵で中国は競争相手である」と宣言したが、中国が本性を現したことに驚いて、こっそりとロシア宥和に切り替えて中国に対抗する政策を取り出した。バイデンの政策とはスーザン・ライス、ロン・クレインなどのオバマの代言人だが、対中政策の変更は米国軍部の影響が強かったと言われている。軍部は対中強硬派が多く、バイデンは中国に買収された実証があるし、DSなどグローバリストは中国に強い態度が取れない。しかもバイデンは国内の危機、BLM黒人問題、違法移民、犯罪増加、インフレ、コロナ対策などに対処できない。アメリカの衰退は明らかである。
トランプは中国の急速な覇権拡張を抑えるため中国に対し強い態度をとったが、トランプの「アメリカファースト、諸国ファースト」政策は欧州連合であまり歓迎されなかった。バイデン政権はひたすらトランプの政策を抹殺する態度を取っていたが軍部の圧力で対中路線の変更を余儀なくされ、Rush Doshi氏の「Blunting and Building(鈍化させ、発展する)」政策を採用したと言われている。
Doshi氏はBrookings Institutionの研究員だったが今は国家安全委員会(NSC)のカート・キャンベル委員長の下で働いている。つまり中国の覇権拡張を抑え、自国の発展を急ぐということだ。聞こえは良いけれど中長期政策としてはこれ以外になく、強硬路線は取らないと言うより取れないのだ。
具体的に何ができるかというと、Blunting(鈍化)政策では真っ先に中国の新疆(東トルキスタン)におけるウイグル人種抹殺(Genocide)を取り上げて諸国の合作に期待する。バイデン政権は諸国の合作でアメリカのリーダーシップを維持できると思っている。ウイグル問題はEU諸国で一応の同情を得たし、英国とオーストラリアは南シナ海における米軍の軍事演習に参加した。最近はドイツも南シナ海に軍艦を派遣した。だがアメリカは中国の香港における強引な民主運動制圧について沈黙している。
EU諸国はトランプが嫌いだったがトランプの業績、北朝鮮やイランの核開発をストップさせたこと、中国の輸入品に25%の関税をかけたこと、台湾問題で強硬な態度を取ったことなどは高く評価している。バイデンのリーダーシップとなると問題は別である。G7とプーチン会談に於けるバイデンの失言や最近のボケぶりがハッキリして彼が世界のリーダーでないことはわかっている。
Blunt and Buildと言っても、中国の強権を鈍化させるには諸国の合作が大前提となる。バイデン政権は諸国の合作を呼びかける「より良き世界を取り戻す」、B3W(Build Back Better World)と呼ぶスローガンを掲げた。中国の一帯一路に対抗してQUADと呼ぶ日本、米国、オーストラリアとインドの連盟を作り、更に世界各国にワクチンを配布する政策などを実施した。
だが貿易戦争で諸国がアメリカと合作するとは限らない。EU諸国は中国との商業関係を重視しているし、日本と韓国、東南アジア諸国も中国との商業関係を維持したい。ドイツのメルケルは中国との貿易を重視しているしフランスのマクロンも中国封じ込めに曖昧な態度を取っている。日本は対中貿易を重視しているし韓国も同様だ。ドイツやフランスがアメリカを裏切って対中貿易を続ける可能性が高い。
おまけに米国の対中貿易は五分五分で決して米国に有利とは言えない。アメリカだって中国貿易に依存するものが多い。米国の対中輸出は主に農産品と精密機械だが、中国の対米輸出は衣類、学用品、電化製品、日常用品や薬品などの他にリチウム、コバルト、シリコンなどレアアースなど重要戦略物資を含み、これがストップさせられたら大変だ。トランプは中国からの輸入品に25%の関税をかけたが中国も同様の処置を取ることが出来るから関税制裁は効果が薄い。アメリカは対中輸入を他国に切り替える必要があると同時に自国の生産を急ぐ必要がある。アメリカは今になってからグローバリゼーションによって自国の生産を労賃の安い他国に移したつけを負わされているのだ。
バイデンは国内に大きな問題をいくつも抱えている上に危機に対応する意欲が見られない。国境を解放したため違法入国者、麻薬や犯罪者、スパイの入国を止められなくなった。その上に最近大きな問題になっている違法入国者のコロナ感染にも沈黙を守っている。国内各都市では殺人や掠奪など重大犯罪事件が急増しているが、バイデンはBLM、アンチファなどを取り締まらず逆に警察予算をカットした。Building(発展)をスローガンに据えたのに、国内に於けるチップ生産やAI研究でなく、ソーラーパネル、気候温暖化とかワクチン注射、学費ローンを帳消しにするなどに無駄金を注ぎ込んでいる。
中国の「野狼外交」の喫緊問題は中国の台湾併呑の恫喝である。野狼が本性を現して香港の民主運動を制圧したのにアメリカや英国は手出しができなかった。次は台湾である。中国は武力でアメリカに対抗できないが、台湾は中国の領土であると言う勝手な主張に誰も反対しなかった。中国が台湾を攻撃したら米国は台湾を守れるか。QUADの国々は参戦するだろうか。
中国はパンダではなく本性は狼だったが諸国が覚醒したとは思えない。諸国が中国の本性を見極めなければ中国の覇権拡張は無制限となる。台湾の次は尖閣諸島、次は南シナ海、そして太平洋制覇である。バイデンの米国が頼りない「紙老虎」とわかったら北朝鮮、イランは中国の支援を得て核開発を進めるに違いない。アメリカの衰退と中国の覇権拡張は世界の動乱と地球の破滅を招く恐れが現実となる。
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